晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

平岩弓枝 『恋文心中 御宿かわせみ〔十五〕』

2015-05-23 | 日本人作家 は
この「御宿かわせみ」シリーズ、当ブログに投稿したのはいつだったかいな・・・と調べてみたら、去年の5月、しかもシリーズ6巻(!)。ということは、9巻分もブログに書かずに読みっぱなし・・・。今さら7巻を引っ張りだしてきてもあれなので、そこらへんはご容赦下さいませ。

さて、この15巻、今までの設定からガラリと変わります。
まず、神林東吾が次男坊の冷や飯食いから講武所教授方と軍艦操練所通いと、まあ役職というか仕事というか、今までは剣術道場の通い先生と、町方役人の手助けしかやってこなかったので、ここにきて、兄が与力を引退して弟に継がせるという計画はオジャンに。

ちなみに、講武所と軍艦操練所というのは、このシリーズの舞台のなっているのが幕末で、黒船来航がきっかけで、旗本や御家人の子弟に武芸奨励の学校を新設するということで、東吾が教授方、つまり先生に推挙されたのです。で、砲術や軍艦の操練もやることになります。

するとここにきて、今まで先延ばしにしてきた「かわせみ」の女将、るいと正式に夫婦になるというのも、なんの障壁も無くなり、とうとうふたりは祝言をあげることに。 
8編収録されていて、その中の「祝言」に東吾とるいの祝言の様子が描かれていますが、序盤のほうだけ。ここでは姫路藩の武士が20年ぶりに江戸に来て、当時、畳表問屋の女中と恋仲にあったのに、大火があって、武士は国許に帰り、20年ぶりに問屋を探しても無くなっていて、もしよかったらその問屋を探してほしい、と頼まれて、問屋と女中探しがメイン。
このシリーズにおいてふたりの結婚というのは読者も待ち望んでいただろうし、さぞビッグイベントになるだろうと思ってたのですが、サラッと書かれていたので、いささか拍子抜け。
まあでもそれによって関係性が激変するわけでもないので、それでいいのでしょう。

そんなことより、この時代が幕末だったというのを15巻にして初めて知りました。たぶん前にも幕末とわかる出来事といいますか、そういう表現があったんでしょうけどね。

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池波正太郎 『仕掛人・藤枝梅安 殺しの四人』

2015-05-13 | 日本人作家 あ
当ブログでは読み終わった感想などは書いてませんが、なんだかんだで
「鬼平」と「剣客商売」はシリーズ全冊読みました。じゃあなんで途中
は書いてないのよ?ということなのですが、例えば10巻まで読んでたと
すると、次は11~15巻まで5冊まとめて買ってきて、5冊一気にサーっと
流し読みしてしまい、はじめのほうで読んだ話が忘れてしまって、また
読み返すのも面倒なので、そのまま放置してしまった、というわけ。

さて、池波正太郎の「鬼平~」「剣客~」と並ぶ人気のシリーズである
『藤枝梅安』。
読む前に、正直「殺し屋の話はちょっと・・・」と読まず嫌いでいたも
のですが、シリーズ2つは読み終えてしまったので、またちょいと「池波
ワールド」に浸りたいと思い、読んでみることに。

品川に住む、鍼医者、藤枝梅安。医者としての信頼は厚く、ひとり暮らしなの
で、近所の農家さんが家の掃除をしてくれたり、診てあげて快復した患者などから
届け物があったりします。

しかし、そんな梅安にはもうひとつの顔が。それは「仕掛人」という、殺し屋。

アウトローの世界での大物のもとに「殺し」の依頼がまず入り、これを「起り」
と呼び、次にこのミッションにうってつけの殺し屋のもとに依頼をします。これを
「蔓」と呼びます。

で、梅安たち「仕掛人」は「起り」がどんな事情で対象人物に死んでもらいたいかは
聞かないのが暗黙のルールで、ようはミッションが成功したら「蔓」から報酬をもらう
だけ。

赤坂、田町一帯の娼家を束ねている顔役、〔赤大黒の市兵衛〕からの依頼で、
薬研堀(今の東京都中央区東日本橋)にある料理屋「万七」の女将、おみのを
殺してもらいたい、というのですが、梅安、ちょっと不思議に思います。
「その、おみのというのは後妻ですよね?」などとは聞きません。
というのも、三年前、こちらもアウトローの大物、両国界隈の香具師の元締、
〔羽沢の嘉兵衛〕からの依頼で「万七」の女房、おしずを梅安が殺していたから
です。

この依頼を受けて、梅安はとりあえず「万七」に行って見ますが、かつては人気
のあった料理屋は今は雰囲気が悪くなってしまっていて、女中に聞くと、女将
が変わってから酷くなった、というのです。
そこで「前の女将を殺してほしいと依頼したのは、誰だろう?」と考えます。

おみの殺害の下準備をしているところへ、〔羽沢の嘉兵衛〕から、別件で殺しの
依頼が。聞けば、大名の家臣つまり武士だというのです。
梅安は、この難しい依頼を引き受ける代わりに、三年前、おしず殺害の依頼主を
聞くのですが・・・

という、最初の「おんなごろし」という話。もうこれで引き付けられてしまいました。
他に収録されている「殺しの四人」「秋風二人旅」「後は知らない」「梅安晦日蕎麦」
どれも夢中になってあっというまに読んでしまいました。

孤独な殺し屋、梅安ですが、心を許しあってる同業者がいます。浅草に住んで、表の
仕事は楊枝職人の彦次郎。お互いの依頼の助け合いをしたり、相談に乗ったりします。
「秋風二人旅」では梅安と彦次郎が京都旅行に出かけます。というのも、梅安の医者と
しての師匠は京都に住んでいて、その墓参りも兼ねて。

「鬼平~」でも平蔵は父について京都に住んでいたことがあるし、「剣客~」の大治郎も
修業は京都でやっていますね。三人に共通するのが京都というのも面白いですね。
まあ、当時の首都は京都※でしたし、そこらへんは当然かも。

※江戸時代のあくまで機能的な首都は江戸で
天皇の住んでいた京都が江戸時代までの日本の首都。
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