晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

中山七里 『おやすみラフマニノフ』

2013-11-03 | 日本人作家 な
「このミステリーがすごい!大賞」の受賞作品はほぼ読んでるのですが、
もちろん大賞受賞作は数多くの候補の中から選ばれているだけあって
(賞金額も国内トップですから選ぶ方もプレッシャー凄そう)クォリティ
は高くてどれも読み応えあります。

が、2作目を読みたいかどうか、となると、これがどうにも。

デビュー作「おやすみドビュッシー」を読み終わって、ああもう次の作品
が読みたくていてもたってもいられない、なんて気持ちになったのは、「この
ミス」受賞作では久しぶり、というか海堂尊以来。

前作で見事に事件を解決した新進気鋭の若手ピアニストの岬洋介が、今作では
名古屋にある音楽大学の臨時講師として登場します。

物語は、この音大で、時価2億円といわれるチェロが、侵入不可能の密室(防音
の練習部屋」から消えた、というところから始まります。

主人公は貧乏音大生の城戸晶。城戸は学費滞納で前期分を納めなければ学籍抹消
させられてしまいます。ぶっちゃけ音大なんて卒業してもプロになれるのは国内
や海外のコンクールで優勝したりできるひと握りの人たち、あるいは特別なコネ
のある人。教職で音楽の先生も狭き門。そんな中で音大中退なんて、苦労して
学費を工面してくれた母親に申し訳ありません。
トンカツ屋で夜遅くまでバイトをしていますが、店長から「良かったら社員に」
なんて言われて、嬉しい半面、音楽家としての自分の進路が見えない自分に苛立ち
ます。

さて、この音大ですが、学長は国内トップピアニストの柘植彰良。学長の孫の初音
もこの音大に通っていて城戸とは仲良し。
年に1回、定期演奏会が開催されるのですが、もう高齢で現在はコンサートで弾いたり
しない柘植学長が演奏会で弾くとあって注目度が高く、この演奏会に選ばれる学生は、
卒業後にプロの楽団に就職できたりするのです。

さらに城戸にとってはありがたいことに、ここに選ばれれば学費免除という特典が。

バイトで練習時間もありませんがオーディションを受け、なんと第一ヴァイオリンに
合格。さらにコンサートマスターに選ばれます。

ところが、定期演奏会の練習がはじまろうかというときに、チェロが紛失したのです・・・

犯人の目的は金か、あるいは定期演奏会を妨害しようとしているのか。学校側は警察には
届けず、学校内に調査委員会を作るというのです。というのも、初音がいうには、祖父の
柘植彰良は芸術院に入ることが確定していて、変なスキャンダルは起こしたくない、との
こと。

演奏会のオーケストラの指揮をする教授は調査委員会に入ってしまい、代わりに来たのは
嫌われ者の准教授。これによってオケの雰囲気は最悪、仲間同士でもいがみ合い。
コンマスとして城戸はなんとかしようと、音楽講師の岬洋介と犯人探しをしようとしますが、
第2の事件が学内で起きて・・・

文庫のあとがき解説でプロも認めるほど、この作品の演奏描写は息を呑むほど臨場感に
あふれてグッと引き込まれます。

そして、岬洋介の素性も明らかに。3作目はどこか舞台でどんな事件が起こるのか。
はやく読みたい、と思ったら今年の1月に「いつまでもショパン」という作品が出てる
ではありませんか。わー。



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