晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

佐伯泰英 『吉原裏同心(二十四)始末』

2021-10-30 | 日本人作家 さ

本当にどうでもいい話で恐縮ですが、家から仕事に行くのに車通勤してまして、千葉の片田舎なのに途中にスターバックスが2店舗もあるというアーバンライフをリードしちゃってるわけですが、とうとう先日、仕事に行く途中にスターバックスに寄ってコーヒーを買うというスノッブ野郎のようなことをしてしまいました。しかもマグカップ持参して私SDGs実践してますよドヤ系で。で、そのスターバックスの向かいに7月にバーガーキングがオープンしたばかりなので、次はスタバ寄ってからのバーガーキングでワッパー買ってというアメリカかぶれ野郎にも挑戦したいなと。

 

以上、勝手にしやがれ。

 

吉原には「地廻り」または「吉原雀」という、妓楼に上がらず見て回るだけの、いわゆる「素見(ひやかし)」をする者がいるのですが、ある晩のこと、一人の地廻りが吉原を歩いていると顔見知りの女郎が「地廻り仲間の葉三郎を知ってるか」と聞いてきます。その葉三郎が、羅生門河岸見世という時間も数十分間という安女郎の部屋から何時間も出てこないというので、入ってみると、そこには葉三郎の首吊り死体が。

会所に連絡があって幹次郎らが駆けつけると、その部屋にいるはずの女郎がいません。客を殺して首吊りに見せかけて、客の服を着て男になりすまして吉原を抜け出たのか。この女郎は(おこう)といって、もとは面倒見が良いと評判の小見世にいたのですが、本人の希望で羅生門河岸に行くことになったというのです。殺された葉三郎という男を調べると、瓦焼きの職人で、吹けば飛ぶようなオンボロ長屋に住んで、ケチで有名で、小金を貯めてたらしいのです。瓦焼きの親方に話を聞くと、どうやら四十両は貯めてただろうというのです。これは計画的犯行なのか。とすると、女性ひとりで実行するには難しく、おそらく仲間の男がいるに違いないはずで、おこうの出身を調べると川越で・・・

 

この話と、会所の仙右衛門に待望の娘が誕生して、幹次郎が名付け親になったり、いきなり「四郎兵衛の息子」を名乗る男が現れたりと、内外で問題が山積。ですが、今回は、吉原の利権を狙う影というのは出てきませんでした。

 

次はとうとうシリーズ最終巻。長かったような、短かったような。

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髙田郁 『あきない世傳金と銀(十)合流編』

2021-10-28 | 日本人作家 た

最近、というかここ2年くらい、お風呂に入るときに必ずと言っていいほど入浴剤を入れてます。全国の有名温泉、名湯が何か所か詰め合わせになってるやつ。といってもその温泉の成分が同じというわけではなく、あくまで「気分」を味わうのですが、「今日はどこの温泉に入ろうかな」と選んでるときが一日の中で一番幸せ。なんて安上がりなんでしょう。

 

以上、幸せってなんだっけ。

 

前の巻で、幸の唯一の肉親、妹の結のとんでもない裏切り行為が起きたり、さらに呉服仲間の寄合から除名処分が下されて絹織物が売れなくなってしまったりと、まさに踏んだり蹴ったり、泣きっ面にハチ。というわけでこれからは木綿か麻しか売れず、そこで、木綿の浴衣で新商品を作って起死回生といきたいところですが、これが難しい。

浴衣とは、もともと「湯帷子(ゆかたびら)」といって、蒸し風呂に入る際に着用していたもので、江戸時代のちょっと前くらいに裸でお湯に浸かるという入浴スタイルになり、湯上りに体についた水分を吸収するために着るものになったそうです。今でこそ普通ですが、まだこの当時は浴衣で外を歩くという風習は無かったのですね。現代で考えると、バスローブだけで外を歩いてるといった感じですかね。ここに目を付けたのはいいのですが、はたして出来るのか・・・

 

この話とは別に、大坂から、幸が女中奉公に入った時の指導係で今でも五鈴屋本店で女中をやっているお梅と、そして、五鈴屋四代目主人の元妻の菊栄もいっしょに江戸に来ます。菊栄は離縁したあと実家に戻ったのですが、実家の商売がうまくいってないのを菊栄の力で盛り返した、のはいいのですが、出戻りにいい顔されてたまるかと主人夫婦が辛く当たるようになって、もういいやと江戸に来た、とうわけ。江戸で新しい商売をはじめようとする菊栄ですが・・・

 

五鈴屋が寄合から外され意気消沈しているところ、あるお世話になってる人が「三井越後屋ももともと呉服仲間の寄合から外されてから大きくなった」というアドバイスしたのですが、もうちょっと先の話で三井越後屋が出てきたりするんでしょうかね。

 

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佐伯泰英 『吉原裏同心(二十三)狐舞』

2021-10-25 | 日本人作家 さ

じつに今さらな話ですが、一ヶ月ほど前にサブで使用するパソコンを買い替えまして、今までずっとウインドウズを使ってきてたのですが、とうとうChromebookデビューしました。ちなみにこれはChromebookで書き込んでいます。学校のオンライン授業で使ったり当ブログを更新したりSNSを見たり動画を見たりとか専用に使うには素晴らしく動作が軽く快適。ネット用語ではヌルヌル動くっていうんでしたっけ。まさにヌルヌル。

 

以上、インフォメーションテクノロジーについて。

 

吉原裏同心です。簡単にあらすじを書くときに「九州の某藩の下級藩士、神守幹次郎は幼馴染で上役の妻の汀女を連れて脱藩し・・・」といつも書いていますが、話の冒頭、幹次郎が吉原会所に顔を出すと、その「九州の某藩」の人がいます。なんでも、先代の藩主が亡くなって新藩主となり、恩赦でなんと藩に戻れることが決まったそうな。ところが幹次郎は今さら戻るのもめんどくさいので断ります。

 

ただ今吉原ではある議論中でして、紋日(記念日)を減らそうというのですが、この日は値段が倍になるということで、見世側からすれば儲かるので紋日をバンバン増やしていって結果、客が減少という、まあよくある話。これに賛成反対いまして、なかなかまとまりません。

そんな中、吉原内で遊女ではない女性が襲われたとの一報が。その女性とは、日本橋に本店がある呉服屋が吉原に支店を出してまして、そこの番頭さんの娘だそうで、番頭は病気で娘が看病のために奉公先から戻ってきたのですが、呉服屋の主人は番頭にはやく出ていけと不人情なことをいっているようです。しかもその呉服屋からは退職金も出ないそうで、会所が協力して吉原支店の売上の半金をもらって番頭と娘を匿うことに。ところが数日後、その呉服屋の主人が死体で発見され・・・

 

番頭の娘を襲ったのは誰なのか。そして主人殺害の犯人は。どうやらとある旗本家が絡んでいるようです、さらに、この話が紋日削減反対の急先鋒の見世と関わってきて・・・

 

ところで冒頭の藩に復帰するがどうのという話、幹次郎と汀女の幼なじみで同じく吉原で働く甚吉に調べてもらい、その内実が判明します。

 

二十三巻まで読み終わっていよいよ残り二巻。早く読みたいやら終わってほしくないやら。

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髙田郁 『あきない世傳金と銀(九)淵泉編』

2021-10-23 | 日本人作家 た

秋ですね。といって何か秋にまつわる風流な話など特にありません。車を運転してて、直射日光がツラいので車内にサングラスを置いてあるのですが、夏はあまり使用せず、秋から冬にかけてよく使用します。この時期の夕陽はキツイですからサングラスをかけるのですが、そういえばまだ運転免許すら持っていなかった若い頃、大人がサングラスして車を運転してるのを見ると「なにカッコつけてるんだよダサいな」と思っていたものですが、実際に大人になって見て運転して気付いたのですが、眩しいので仕方ありません。

 

大人の階段上る 君はまだシンデレラさ。

 

さて、とうとう九巻まで来てしまいました。摂津(現在の兵庫県)に生まれた幸(さち)、若くして大坂の呉服商(五鈴屋)に女中奉公に入ったのはいいのですが、そこの番頭に商売の才能を見出されてなんと四代目主人と結婚することに。ところがこの四代目、幸と結婚して早々にあっけなく死んでしまい、弟の惣次が五代目に。なんと幸はこの五代目と再婚。で、この五代目、「商いに情けは無用」のスタンスで己の才覚だけで突っ走り、信用を失い、勝手に隠居してどこかに失踪。そこで、物書きになりたいと家を出た三男を五鈴屋に呼び戻して、六代目に。商売のことは全くわからず、幸に任せて自分は後方支援しますと宣言、そして幸は六代目と再々婚。商売も順調で江戸に支店を出す目処もついた矢先、六代目が病死。新天地の江戸で商売をしていくことになった幸は・・・といった、今までの流れ。

 

で、またまた豪快にネタバレをぶっ込んでしまうわけですが、幸の唯一の肉親である妹の結(ゆい)も江戸に来ていまして、幸は将来的に結と手代の賢輔と添い遂げさせようとし、結もその気になってたのですが、じつは賢輔、五鈴屋に奉公に入って小僧のときからずっと幸に初恋というか憧れというか、想い続けてまして、それが結に気づかれてしまって、大事な反物の型紙を持ってあろうことかライバル店に勝手に嫁いでしまいます。

 

さらに、呉服商仲間の寄合に呼び出され、大名家のお武家さんに反物を売ったことが、もともとその大名家と取引をしていた同じ寄合に属する呉服商になんの報告もなかったことが(暗黙のルール)に反するということで、なんと寄合を脱退させられます。これで五鈴屋は絹織物を扱うことができなくなってしまいます。まるで五鈴屋の商売を何者かが邪魔をしているようなのですが、とはいっても店は開けなければいけないということで、売ることができる木綿で、なにか新商品を考えなければ・・・

 

まあ、なんといいますか、なかなかドラマチックな展開です。ただ、このシリーズも、「みをつくし料理帖」もそうですが、主人公が自分からみすみす不幸になる選択をしておきながら「はあ、私ってなんでこうなんだろう」みたいな(悲劇のヒロイン)のように描いてはないんですね。そこが救いといいますか。

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髙田郁 『あきない世傳金と銀(八)瀑布編』

2021-10-20 | 日本人作家 た

本を読んでるときや今まさにブログを更新しているときによくコーヒーを飲んでるのですが、もともとはそんなに好きではありませんでした。まあ「砂糖とミルクを入れれば飲んであげてもいいよ」という謎の上から目線でたまに飲んではいましたが、何年くらい前でしょうかね、砂糖ミルク抜きのいわゆるブラックで飲むことが普通になってしまいました。そうすると、いっぱしに家でもドリップで淹れたりなんかしちゃったりして、でもなかなかお店のようにうまくいかなくて、はじめこそ「泥水よりはマシ」なレベルでしたが、いろいろ聞いたり調べたりして、今ではそこそこなレベルにはなったと自負しております。

 

以上、コーヒーと私。

 

さて、シリーズ八巻。大坂の呉服商「五鈴屋」は江戸に支店を出したのはいいですが、勝算があったわけではなく、要望があって来たわけでもなく、さてどうしようと七代目(暫定)主人の幸をはじめ奉公人一同アイデアを出し合い、無料で着付けの指南をやったり、端切れで作ったお土産を配ったり、小さなことからコツコツとはじめ、やがて、縁というか出会いといいますか、人気の歌舞伎役者のお披露目で着る衣装を手掛けることとなり、それまで武士しか着ることが許されなかった「小紋」を、紋様を変えて小さくして、遠くから見たら無地に見え、近くで見るとはじめて柄がわかるといった反物を考案し、それが話題となります。しかし、いくら「武士ではなく町人が着るもの」といっても、絹織物など高くて一般の町人(職人など)には手が出ません。

 

さらに、江戸だけではなく全国的に疫病が大流行し、世間ではとても反物など買ってる余裕などありません。そんな中、あり一人の客が「あの歌舞伎役者が着ていた小紋を切り売りしてほしい」とやって来ます。店先で売る商売ですと、一反を丸々買っていく人は少なく、半分で売ったりすることもありますが、この女性客は「四寸(約十二センチ)」というではありませんか。話を聞けば、江戸紫に染めた反物はもともと虫除けに効果があり、転じて熱や痛みが取れると病気見舞いに使われるそうで、気位の高い呉服屋などでは売ってくれないと思ったのか「やっぱりいいや」と帰ろうとしますが、幸は「お子さん用の鉢巻きに作りやすい長さで切りましょう」と売ることに。

これが話題を呼んで、どこの店も売り上げは冷え込んでいますが、五鈴屋は大賑わい。しかし一人につき端切れ程度の長さを売っても一日の売り上げが一反分に届くか届かないか。それでも嫌な顔ひとつせずに切り売りに応じます。

 

それはそうと、五鈴屋の七代目はあくまで暫定。八代目を決めなければならず、幸は、自分にとって「商いの師匠」といえる、元番頭の治兵衛の息子で今は江戸にいる賢輔を八代目に、と推挙しますが、これに父親の治兵衛は反対。

 

そんな話もある中、なんと公儀から「上納金」を払えと言われます。その額なんと千五百両。表向きは「貸す」ことになっていますが、まず戻ってはきません。新しい小紋の図柄も考えなければならないのですが・・・

 

この巻のラスト、とんでもないことが起こります。それまで商い上の問題ばかりでしたが、ここにきて人間関係の問題が大爆発。まさに大映ドラマ、韓流ドラマ、昼ドラ。

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佐伯泰英 『吉原裏同心(二十二)夢幻』

2021-10-17 | 日本人作家 さ
ここ一月ほどずっと連続で「あきない世傳金と銀」と「吉原裏同心」のルーティーン。だってまとめてドカンと買ったのだから仕方がありません。さすがにこのルーティーンで今年の投稿が終わるなんてことは、たぶんありません。きっとありません。

頑張ります。

さて、このシリーズも二十五巻で一旦終わる(続編シリーズがありますからね)ということで、残りあとわずか。

「未決」「髪結」「遺文」と三巻通してひとつの話という、ひょっとして最後までぶっ通しで行くのかしらと思いつつもとりあえず終わって次の話へ。
木枯しの吹く夜、吉原の廓内に住む按摩の孫市は、豆腐屋の親方の揉み療治をやってお土産に油揚げをもらってぱくぱく食べながら家に帰ろうとしたところ、人の気配が。「どなたさんで」と訊ねても返事はなく、孫市は息絶えます。

翌朝、神守幹次郎と汀女の夫婦が住む家に吉原会所の金次がやって来て「按摩の孫市さんが殺された」と報告。幹次郎は急いで吉原に駆け付け、殺害現場へ。「蜘蛛道」と呼ばれる入り組んだ細い裏道を抜けると「天女池」という池があり、そのほとりで背中から斬られたような状態で絶命した孫市が。孫市は吉原で女郎相手に金貸しをしていたようなのですが、悪どい金貸しではなく、どちらかというと人助け。借金をしていた何者かの逆恨みの犯行とは考えにくく、金目的の犯行か。

会所に報告すると、「何か気になることは」と訊かれ、幹次郎は、孫市が持っていた食べかけの油揚げの匂いの他に、鬢付け油のような匂いがしたのを思い出します。

孫市は、なぜ吉原に住んで按摩をやることになったのか。彼の素性は。調べていくと、孫市はたまに吉原を出て深川の寺に墓参りをして、そのあとに駄菓子屋に寄っていたことが分かります。駄菓子屋のお婆さんに「孫市の話を聞きたい」と話しかけると・・・

江戸時代、幕府は視覚障がい者の保護政策の一環で、組合を形成して按摩や鍼灸の独占事業を容認していました。彼らの中には金貸しをしていたものもいたそうで、そのトップの位「検校」とかになりますと時代小説ではたいてい「悪者」として出てきますね。

なんといいますか、とても悲しい話ではありますが、物語としてはとても良いです。
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髙田郁 『あきない世傳金と銀(七)碧流編』

2021-10-14 | 日本人作家 た
我が家ではテレビを見るのは朝と夕方のニュース(メインは天気予報)と、BSの旅番組か動物番組、料理番組ぐらいしかなく、それでもごくたまにチャンネルをザッピングして歌番組で懐メロとか演歌とかやってるとつい見てしまいます。歳なんですね。歌のときに画面に歌詞のテロップがあって、それを見ると、演歌なんかで「酒と語る」みたいな歌詞があったりしますよね。でもあれ、もはや心療内科とか精神科の領域ですね。あるいはアルコール専門外来がありましたらそちらへどうぞ。
自分は酒は好きというか「いける口」だと思うのですが、記憶がなくなるまで飲んだりはしないので、よかったなあ、と。

わかるか なぁ 酒よ。

さて、本題。

いよいよ「五鈴屋」江戸店がオープン、したのはいいのですが、ぶっちゃけこれといって勝算があったわけではなく、立地もさほど良いとはいえず、となると、お客は来るはずもなく、さてどうしようと七代目主人の幸と奉公人一同は考えます。なにはともあれ足を運んでもらおうということで、「帯締め指南」をはじめます。京や大坂と江戸では帯の締め方の主流が違って、どっちが良い悪いというわけではないですが、いろんな締め方を無料で教えます。

ある日のこと、奉公人のひとりが、街中で五代目主人の惣次が歩いているのを見た、というのですが・・・
そんな中、幸にとってたったひとりの肉親である妹の結が江戸に着いたり、有名な歌舞伎役者を紹介してもらったりと、いろいろあり、大変です。

「奢侈禁止」の世の中で、お咎めのない、江戸っ子が好きそうな、遊び心のある「粋」な商品は作れないものか・・・

この巻では、幸や五鈴屋に強烈な試練が降りかかるといったことはなく、また人間模様にもさほど大きな動きはありません。というわけで、次の巻が楽しみ。
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髙田郁 『あきない世傳金と銀(六)本流編』

2021-10-10 | 日本人作家 た
気が付いたら十月。気が付くのが遅すぎるという話ですが、我が家には居間や寝室、トイレに玄関とだいたい五、六か所くらいにカレンダーを壁につけてまして、月めくりのカレンダーだと十日くらいになって「あ、まだ先月のままだ」と気付いてようやく剥がすといっただらしなさ。もっとも、もはやスマホのカレンダーに一存してるといいますか、「壁に飾ってる絵」状態。予定の書き込みとかしなくなっちゃいましたね。

以上、だれでも陥るスマホ依存。

さて、シリーズ六巻に突入。摂津(現在の兵庫県)から大坂の呉服商(五鈴屋)に女中奉公に入った幸(さち)。番頭に商才を認められ四代目主人の後添いになるも、四代目は事故死。その弟が五代目を継ぐのですが、五代目と再婚。しかし商いを大きくすることだけに熱心になり取引先から信用を失い、プライドの高い五代目は失踪、勝手に隠居してしまいます。そこで六代目となったのは、物書きになるといって家を出た三男。商売に興味はないけど幸といっしょならなんとかなるということで再再婚。
で、豪快にネタバレをブッコミますが、いよいよ五鈴屋も江戸進出か、という直前に三男は病死。

店の奉公人の誰もが「七代目はご寮さん(幸)」と思っているのですが、じつはこの当時の大坂の商習慣に「女名前禁止」というのがあり、まあひらたくいうと、女性が代表にはなれなかったんですね。しかし、あくまで「次が決まるまで暫定的」に三年と期限を決めて、ということで特例で認めてもらいます。この間に次の店主つまり八代目を決めなければなりません。

五鈴屋は呉服商、つまり絹の反物をメインに扱っていますが、これからは木綿も扱っていこうとしたり、江戸にいい物件が見つかったということもあり、そんなこんなで、幸はいったん江戸へ。で、女中のお竹もいっしょに行くことに。これから江戸でどう商いをしていくのか・・・

前巻までの昼ドラというか韓流ドラマというか大映ドラマというか、これでもかというくらい主人公に困難が襲いかかるというのはやや収まって、代わりに商売での悩みが増えます。こうなってくると経済小説かってなもんですが、そこまで堅苦しくはありません。
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佐伯泰英『吉原裏同心(二十一)遺文』

2021-10-06 | 日本人作家 さ
秋といえばですが、サンマの漁獲量が年々減少傾向にあって、大衆魚じゃなくなりつつありますね。一説には中国や台湾による乱獲なんて話もありますが、そもそも中国や台湾ではサンマを食べるという習慣が無かったそうで、日本企業が進出したときに日本人駐在員が「あーサンマ食いてー」といって冷凍で取り寄せて日本人向けスーパーで売り始めたんですね。で、現地の人を家に呼んだりして「日本では秋にこの魚を食べるんだよ」といって振舞ったら「こんなうまい魚がこの世にあったのか」ということで噂が広まって今では大人気なんだそうですね。まあサンマが取れなくなったのは乱獲なのか環境の変化なのか特定はできてませんけど、もし乱獲だとしたらこれこそ「自分らで蒔いた種」ですね。

以上、グローバル化による弊害。

「未決」「髪結」と完結せずにとうとう三巻目に突入。「吉原裏同心」シリーズは全二十五巻なので、まさかこのまま二十五巻まで引っ張るなんてことにはならないでしょうか。

今までたびたび吉原は乗っ取られそうになってきましたが、四郎兵衛会所と神守幹次郎で危機を防いできたのですが、今度の「敵」は手ごわく、黒幕の正体を知った四郎兵衛は、今回ばかりは手も足も出せない、といった様子。といって手をこまねいているわけにもいきません。前作で傷を負った四郎兵衛は、回復して吉原に戻ると思いきや、幹次郎といっしょに鎌倉へ。

「いざ鎌倉」ならぬ「なぜ鎌倉」という話ですが、吉原の歴史が関わってきます。そもそも吉原は江戸初期、現在の中央区北部、日本橋人形町の辺りにありまして、それが明暦の大火で丸焼けになって浅草寺裏、日本堤に移転します。ですから移転して以降の吉原を「新吉原」と表記するのはこういうわけ。で、どうやら移転に関する吉原側と幕府側との間に書付があったそうで、なんとその条文には「移転して百年のち、新吉原は川向こう(隅田川の東側)に移転せよ」というのがあり、これが幕府側の「ある人物」にとっては吉原乗っ取りに使えるということで、彼らは躍起になって探しています。ですが、四郎兵衛はこの書付のありかを遠い昔に聞いていたのです。

鎌倉に着いて、四郎兵衛は目的地に用事があり、幹次郎は鎌倉の「切通し」を歩いていると怪しい人物とすれ違います。そしていきなり斬りかかったきて・・・

書付は、これを知る人物が不在で、鎌倉に戻ってくるまでしばらくあります。そうこうしているうちに続々と刺客たちが襲いかかって・・・

「未決」から続いてきたこの話は、これで「解決」となります。ですが、「日に千両」という巨大利権を放っておくはずがなく、あと残すところ四巻、どうなるんでしょうか。
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髙田郁 『あきない世傳金と銀(五)転流編』

2021-10-02 | 日本人作家 た
十月に入って初投稿。このシリーズの前の作品「みをつくし料理帖」がドラマ化されて映画化もということで、「あきない世傳金と銀」も映像化の話とかあるんかいな、などと思ったのですが、ちょっと今作は、公共放送でやるのはちと難しいかな、と思いました。ああでも「吉原裏同心」も公共放送でやったことですし、やれますかね。タイプ的に昼ドラのドロドロ系っぽいですが。

五鈴屋にとって恩のある同じ天満の呉服商「桔梗屋」が、川向こうの「真澄屋」との業務提携の話と思いきや、じっさいはほぼ乗っ取られるような話で、これを知った桔梗屋の主の孫六は卒中で倒れます。(川向こう)とは、天満から見て大川(淀川)の向こう、北と南の商業エリア。川向こうのほうが商業地として歴史も古く、商売の規模も川向こうのほうが大きく、天満は格下扱いされています。同じ呉服商でも天満は(掛け売り)といって期日を設けて後で支払ってもらう信用取引で、金利手数料(掛け値)が価格に上乗せされますが、この営業スタイルがほとんどで、一方北と南は(店前現銀売り)といって客が店に来てその場で決済する、いわゆる(掛け値なし)の営業スタイルがほとんど。真澄屋は販路拡大でほとんど騙し討ちのようなかたちで桔梗屋を手に入れようとしますが、天満の呉服商仲間は猛反対。結局「契約金の銀二十貫を戻してくれれば話をチャラにしてやってもいい」というので、幸が「うちが出します」と宣言。どうにか桔梗屋を守ることに成功します。

話はそれますが、江戸では主に金貨を用い、単位は(両、分、朱、文)で、大坂では主に銀貨で、単位は(貫、匁)でした。交換レートは一両が六十匁なので、銀一貫だと約十六両(一貫=千匁)。現在の金額に換算すると江戸のいつごろかにもよりますが、分かり易く「一両=十万円」とすると、銀二十貫とはけっこうな額ですね。

ここで問題が。「桔梗屋」の屋号をどうするか。主の孫六は「五鈴屋が買い取ったんだから五鈴屋になる」というのですが、奉公人たちはかわいそう。かといって桔梗屋を残すのも「上納金逃れのためだろう」なんて痛くもない腹を探られるのもいやなので、幸は「当面は五鈴屋を名乗ってもらい、今の桔梗屋の奉公人たちが頑張って独立したら屋号を桔梗屋にすればいい」と提案。これで幸は桔梗屋の番頭をはじめ奉公人たちのハートをがっちりキャッチ。

江戸進出を具体的に考え出したり、幸の故郷の津門村から妹の結が五鈴屋にやって来て暮らし始めたり、反物ではなく帯を主力商品にしたりと大忙し。
というわけで「次巻につづく」と平和に終わってほしかったのですが、そうは問屋が卸しません。いちおう背表紙では「新たな試練」と書いてありましたが、うーん、どうなんでしょ。
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