晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

キョウコ・モリ 『めぐみ』

2014-02-21 | 日本人作家 ま
日本で生まれてアメリカへ移住し、日本語ではなく英語で作家デビュー
したキョウコ・モリ。デビュー作「シズコズ・ドーター」のあとがきで、
翻訳は自分ではやらない理由は書いてありましたけど思い出せません。

主人公めぐみは、ミッション系の学校に通う高校一年生。母に連れられて
小さいころから日曜日に教会に通いますが、成長するにつれて神を信じら
れなくなってきます。

そんな母親は、めぐみを置いて家を出ます。

理由は、父親の浮気、姑が厳しい、などなどありますが、それはいいとして
多感な娘にとっては、母親に捨てられたと思ってしまいます。

祖母は自分の孫がミッション系の学校に通ってることが気に入らない様子。
父は家に帰ってこず、教会の人たちはめぐみに優しくしてくれますが、教会
はもう心の拠り所ではなくなっています。

ある日のこと、めぐみは近所の女性獣医と知り合うことになり、獣医といっしょ
に鳥の世話をすることに。身の上話もするようになります。

同じ年頃の友達や異性を意識したり衝突したり、薄氷みたいなハートが今にも
壊れてしまいそうなで、強がってみたり弱がってみたり、若い子が「私たち
だっていろいろ大変なんだよ」なんて言っちゃうと「ガキのくせに」と思ってしまい
ますが、よく考えれば自分だってそうだったんだよなあ、なんてセンチメンタル
になってしまいました。


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乾緑郎 『完全なる首長竜の日』

2014-02-09 | 日本人作家 あ
小説を読むことは旅をすることだ、というのは自論なのですが、
「んな文字読んでアメリカとか行けるのかよ」と言われた日には
そうですよねすみません、とそこで話はおしまい。面倒みれん。

「旅」といっても地理的なことだけじゃなくて、たとえば知らない
分野、敢えて避けてきた苦手分野を知ることも「旅」といってもいい
のではないでしょうか。

そういった意味では、今回読んだ『完全なる首長竜の日』は、ちょい
苦手な分野の話。といっても、あとがきによれば本作はデビュー2作目
という、新人とは思えない文体のなめらかさで、苦手も克服できるって
もんです。

”私”こと漫画家の淳美は、長年連載してきた漫画「ルクソール」が、
このたび終了するということで、骨休みに旅行でも、と考えます。

淳美には弟がいて、数年前に自殺未遂で意識が戻らず、湘南の特殊な
病院に入院しています。その病院では、「SCインターフェース」という
意識不明の患者と脳意識レベルでコミュニケーションが取れる医療機器
を導入していて、淳美は、なぜ弟が自殺をしようとしたのか、その原因
を探ろうとしますが、分かりません。

ふたりの共通の記憶である、幼いころに出かけた奄美大島近くの”島”
での出来事がよみがえります。それは、磯にできた潮だまりに微量の
毒を入れて魚を獲る漁があって、ここに毒を撒いたという印の竹竿が
満ち潮で沖に流されていって、それを追いかけようと弟が海に入って
沖まで行ってしまい、助けようと姉の淳美もいっしょに流され、大人
たちに助けられた、というもの。

そして、弟がスケッチブックに描いた首長竜の絵。こちらの記憶は、
母方の祖父との思い出がよみがえってきます。

さて、淳美は漫画の連載が終了し、家でパーティーを開こうとする
のですが、そこで奇妙なことが起こります。これは夢なのか現実なのか。

淳美は、意を決して、小学生のころに行ったきりの”島”へと向かう
のですが・・・

なんでしょうか、SFともちょっと違う、ミステリともちょっと違う、
話の運び方というか展開が日本の小説を読んでるという感じではない
といいますか、読み終わったあとに不思議な気持ちになりました。


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平岩弓枝 御宿かわせみ『幽霊殺し』

2014-02-07 | 日本人作家 は
二日連続の投稿なんて珍しいですが、そんなにはやく読んだわけではなく、
たんに続けて読んで、投稿をほったらかしにしてただけですスミマセン。

というわけで、「御宿かわせみ」シリーズ5作目の『幽霊殺し』。

表題作『幽霊殺し』では、八丁堀同心の源三郎の手下、蕎麦屋の長助が
奇妙な話を持ち込んできます。なんでも、浅草の橋場にある家で、主人
のもとに死んだ奥さんの幽霊が出て、生前大事にしていた着物を取りに
来た、というのです。するとまた幽霊が出て、今度はさすがにおかしいと
主人が障子越しに刀を刺すと、そこには女中が倒れていた、というもの。

ところが話はこれで終わりではなく、ここ数日、本所界隈の大名屋敷に
盗人が入る事件が頻発していて、でも武家は盗人に入られたことを恥と
思ってか被害届を出しません。

先の幽霊殺しと、大名屋敷の盗人とのつながりは・・・

他にも、水戸藩に長く勤めて暇をもらった女中の話「奥女中の死」、
堅物で知られる同心の源三郎が恋?その相手はなんと尼さん・・・?
という話の「源三郎の恋」など、切なくなったりジーンときたり、
内容豊富で読み応えがあります。
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平岩弓枝 御宿かわせみ『山茶花は見た』

2014-02-06 | 日本人作家 は
本を読みたいといっても、なんでもいいというわけではなく、たとえば
今日の気分はミステリだなとか時代小説だなとかあったりします。

そんな中で「今日は時代小説の短編って気分」な時にうってつけなのが
「御宿かわせみ」シリーズ。
まあ、しょっちゅう時代小説の短編って気分になるものでもないので、
シリーズの7巻まで一応買っておいてはいるのですが、なかなか読み
進まず、ようやく4巻目。

八丁堀与力、神林家の次男の東吾。ゆくゆくは兄の家督を継ぐとされて
いるのですが当座は冷や飯食いという立場。
そんな東吾の恋人が、旅館「かわせみ」の女将、るい。
るいは、同心であった父が死んで家督を継がず、旅館の経営に。東吾とは
幼馴染で、ふたりは互いの立場上、結婚こそしていませんが、まあ実質
夫婦みたいな状態。

表題『山茶花は見た」他7作あって、パターンとしては、江戸である事件
が起こって(その舞台の中心がかわせみの場合もある)、東吾と同心の
源三郎が事件を解決、あるいは事件のあらましをかわせみの従業員たちに
聞かせる、その合間にるいと東吾の恋物語が発展するかしないかモヤモヤ、
まあだいたいそんな感じ。

「江戸の怪猫」「鬼女」が特に面白かったですね」。
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