晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

藤沢周平 『たそがれ清兵衛』

2019-04-22 | 日本人作家 は
あやうく今月の投稿を忘れるところでした。
この本を読み終わったのが、たしか先週のはじめごろ。
出先で読み終えて、カバンにしまって、そのまま放置。
で、昨夜、そのカバンを開いたら、中に文庫本が入ってる
じゃあーりませんか。

唐突にチャーリー浜さんも登場するってもんです。

それはさておき、藤沢周平さんって、もっと古い、戦前く
らいの人かと勝手に思ってたんですが、たしかにお生まれ
こそ戦前ですが、作家デビューは昭和40年代で、お亡く
なりになったのが平成になってから。

『たそがれ清兵衛』ですが、短編集となっております。
表題作をはじめとして、どの作品も、窓際というか、あま
り目立たない、軽んじられている、そんなしがないお侍さ
んなのですが、じつは優れた剣の使い手で、それが本人の
望まないうちに藩のゴタゴタや家の問題に巻き込まれ・・・
といった話。

藩内の勢力がふたつに割れて一触即発状態の中、討手を探
しているときに「そういえば井口がいた」と思い出します。
勘定方勤務の五十石取りの、井口清兵衛は、周りから「た
そがれ清兵衛」と呼ばれているのです。ちょっと古いCM
の「5時から男」みたいに日暮れてから元気になるタイプ
かと思いきや、下城の太鼓が鳴るとそそくさと帰り、病気
の妻の代わりに家事の一切をしています。
そんな清兵衛がかつて無形流という派の道場で師をしのぐ
ほどの腕前だったのを、藩の重役は思い出し・・・
という表題作『たそがれ清兵衛』。

他、損な顔立ちの「うらなり与右衛門」、誰彼なくへつら
う「ごますり甚内」、隠居して物忘れのはげしい「ど忘れ
万六」、極端な無口の「だんまり弥助」、泣き言ばかりい
う「かが泣き半平」、藩のゴタゴタのどちらのも与しない
「日和見与次郎」、身なりが汚く風呂にも入らない「祝い
人助八」。

いずれも、そこまで後味の悪い結末というわけではありま
せん。かといって、スカッとするかといえばそれもない。

まさに地味であり滋味。
コメント
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