晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

服部真澄 『鷲の驕り』(再読)

2019-09-28 | 日本人作家 は
先日の千葉県を直撃した台風15号で、我が家も「一部損壊」
の被害がありまして、まあ停電と断水は1日か2日で復旧した
のでそこまで深刻ではありませんでしたが、いろいろあって
台風から10日~2週間くらいは本を読むような状況ではあり
ませんでした。

現在はだいぶ落ち着いています。

さて、服部真澄さんの初期の3作は当ブログで10年ほど前に
まとめて感想を投稿したのですが、なにせ読書ブログをはじ
めた頃でして、その内容は「面白かった」的な。

さすがにそれはヒドイのと、ぶっちゃけ内容を忘れてるので
ちょいと再読をば。

デビュー作の「龍の契り」はついこの前読みまして、こりゃ
面白いと再読ながら新鮮な気持ちで夢中になって読んだので、
楽しみ。

サブタイトルというか英語タイトルは「The Seacret Patent」
つまり「秘密の特許」ということで、特許にまつわる話。

舞台はアメリカ。イタリア系の青年ヴィト―は、刑務所から
出所してきたケビンという男と会います。
じつはケビンはハッカーで、(その道)では超有名人。
ヴィト―はというと、(ファミリー)が云々というとマフィア
となにやら関係が・・・

話は変わって、ジーン・ケアリという女性弁護士が、発明家の
エリス・クレイソンと仕事の話。
クレイソンは500近くの特許を持っていて、外国企業相手に訴訟
をして使用料、ライセンスで大金持ち。

また話は変わって今度はハワイで、日本人のコンピュータセキュ
リティの専門家、笹生勁史のもとに、通産省の官僚がたずねてき
て、ある仕事の依頼をするのです。それはアメリカのある発明家
の特許に関することで、その発明家の名前は「エリス・クレイソ
ン」。

そして、CIAは出てくるわ、アメリカ副大統領も国防長官も
出てくるわ、世界のダイヤモンド市場を独占している「ダイヤ
モンド・コンソリデ―テッド」は絡んでくるわ、アメリカを
代表する巨大企業「ユナイテッド・エレクトリック」も絡んで
くるわ、もう大変。

CIAはいいとして、アメリカ政府とダイヤモンドと巨大企業、
そして発明家がどう関係してくるのか。さらにイタリアマフィア
と凄腕ハッカー、何か重大な「特許」とは・・・

ちょっと詰め込み過ぎな感はありますが、それでもしっかりと
構成されていて途中でややこしくなるというようなことはあり
ませんでした。

何も関係ありませんが、『鷲の驕り』と書き込もうとしたら
「ワシのオゴリ」と変換されてしまって、急激にダサくなって
笑ってしまいました。
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熊谷達也 『邂逅の森』

2019-09-07 | 日本人作家 か
とうとう先月は投稿ナシ。慙愧に堪えません。まあ
そこまで大げさな話でもありませんが。

読書じたいを飽きたとかそういうのは一切ありません。
いやむしろ移動や待ち時間が長いと予想されるときに
本を持っていかないとパニックに陥ります。

さて『邂逅の森』です。直木賞と山本周五郎賞をダブル
受賞されてますね。
なんでもこの作品は「マタギ三部作」の二作目なのだそ
うで、今後機会がありましたら一、三作目を読みたいな
と思っております。

舞台は山形県の月山近く、肘折温泉の山奥からスタート。
主人公の富治は(善之助組)という狩猟組に所属する野生
動物の猟を生業とする(マタギ)の一員。

ですが、富治も善之助組も地元は山形ではなく、秋田の山
奥の打当(うっとう)という集落が地元。
もう地元ではカモシカもクマもあまり取れなくなってしま
い、わざわざ旅マタギ(遠征)に。

そんな富治ですが、地元の村のあるイベントで恋に落ちます。

ところがその娘、地主の娘で、しかし富治はドントストップ
マイラブということでなんと文枝という娘を夜這いしようと
地主の家に深夜忍び込みます。ところが文枝はなんと富治を
受け入れるのです・・・

しかしこれが地主つまり文枝の父親にバレてしまいます。

そうして富治は罰として鉱山に行くことに。

さまざまなトラブルに遭ったりもしますが、富治はマタギだけ
あって体力はありチームワークもあるので頭角を現します。
しかしそんな富治に山形県の鉱山に行ってほしいと・・・

なんだかんだで山形の鉱山に行った富治ですが、そこで見習い
鉱夫の(兄貴分)として面倒をみることに。ところがこの小太
郎という名前の弟分、名前とは反対で図体がでかく、おまけに
態度もでかく、富治にいきなりタメ口。
こりゃあハメられたと悔しがる富治でしたが、ある日、小太郎
がどこかに出かけるのを見かけます。しかも銃を持って。
跡をつけていくと小太郎は山に入っていき、なんとクマを仕留
めようとしているのです。ですが富治の目には小太郎の猟はあ
きらかにシロウト。そこで富治は小太郎に声をかけ・・・

この出会いがふたたび富治をマタギの世界に。

性描写やバイオレンスを描いてはいるのですが、エログロな
印象はまったく残らず、なんといいますか、自然の営みのよ
うに淡々と描いているのがとても印象的でした。
よく考えたら子孫を残そうとする繁殖行為も食うか食われる
かの生き残りの戦いもまさに自然そのものなんですよね。
それを人間が(見てはいけないもの・タブー)と勝手に決め
ただけで。

なんだか久しぶりに「強烈な小説」を読んだような気がしました。



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