晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

服部真澄 『ディール・メイカー』(再読)

2019-10-29 | 日本人作家 は
台風15号の傷も癒えないのに、今度もまた台風19号が
千葉県に、そして我が家にも被害をもたらしまして、
そして個人的なことではありますが環境がガラリと変
わりまして、落ち着いて本を読める状態ではなかった
のですが、ここんところ最近はどうにか時間ができて
きたので、ようやく投稿。

当ブログで開始直後くらいに投稿した服部真澄さんの
初期3作。しかしその感想というか書評は「面白かった」
という読書感想文が嫌いな中学生でももうちょいマシ
なこと書くだろというアレでして、そしてなにより、
内容をうろ覚えということで、再読してみることに。

「龍の契り」「鷲の驕り」ではフレデリック・フォー
サイスばりのアクションエンタテインメント感が満載
でしたが、この『ディール・メイカー』は、スリル感
やスピード感というよりは「じっくり読ませる」系と
いいますか。

アメリカの、いや世界じゅうで大人気のキャラクター
「クマのデニー」の生みの親の漫画家ジェイク・ハリス
が立ち上げた映画製作会社「ハリス・ブラザーズ」は
今やメガメディア企業。その大株主のスタン・ウィン
ストンは、商品部門担当副社長のシェリル・ハサウェイ
の運転する車で、治安のよろしくない託児所に向かい
ます。その託児所とハリス・ブラザーズは現在係争中。
その理由は、託児所の壁にクマのデニーが一面に描か
れているというもの。つまり「著作権侵害」。
大株主のスタンはなぜここに来たがったのか。そして
スタンの目には涙が・・・。

権利関係には厳しい姿勢方針のハリス・ブラザーズの
最高執行責任者ノックス・ブレイガーは、シェリルに
託児所の件を訪ねますが、なぜかスタンは何か言って
なかったかをしきりに知りたがります。

話は変わり、コンピューターソフト関連の超巨大企業
「マジコム」のトップ、ビル・ブロックは妊娠中の妻
に「君とこの子に『クマのデニー』をプレゼントする」
と言うではありませんか。つまり、企業買収。

この話はブレイガーの耳に入り、さっそく対抗策に。

そんな中、シェリルは、反健斗という日本人の男に、
ある「お願い」をします。このふたりはネットのオン
ラインチャットで知り合いになって、いつしか恋人
関係に。健斗は現在何もしていません。
健斗は、ここ最近のスタン・ウィンストンの動向を
探ります。すると、スタンは自分の子を探していた
ことがわかり、さらに遺言状の書き換えをしようと
していたこともわかります。

いよいよ「マジコム」は「ハリス・ブラザーズ」社
株の公開買い付けを公表します。ノックスら経営陣
はどうするのか。

「マジコム」の調査チームは、ハリス・ブラザーズ
にある「お宝」が眠っていることを突き止めます。
その「お宝」が企業買収ゲームの行方を左右するこ
とになるのか・・・

あれは何年前でしょうか、日本のIT企業がラジオ局
とテレビ局を買収しようとしたことでやれTOBだの
LBOだのホワイトナイトだのポイズンピルだのとい
った専門用語がワイドショーや巷の会話で賑やか
でしたね。

この作品を読んで思わずニヤリとしてしまったのが
「ビル・ブロックのコーク伝説」。まあ本筋とはな
んの関係も無いのですが、こういう小ネタの入れ方
なんかは上手いですよね。
コメント
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