晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宇江佐真理 『さらば深川 髪結い伊三次捕物余話』

2015-03-28 | 日本人作家 あ
なんだかんだでシリーズ3作目。今回の主題はなにやら剣呑ですね。

「因果堀」では、髪結い伊三次の恋人、深川芸者のお文が
スリに遭います。その手口を聞くと、どうやら犯人は
「すっ転びお絹」というスリ。しかし、そのなまえを聞いた
岡っ引きの増蔵の様子がおかしく・・・

「ただ遠い空」では、お文の女中、おみつが結婚するので
お文もそろそろ新しい女中を探さないといけないところに、
先輩芸者の喜久壽がお文の家に突然やって来ます。
なんでもお文が女中を探してることを聞いて、おこなという
女中を紹介します。
が、このおこなという女性、話を聞けばかなりの”いわくつき”
で、厄介ごとに巻き込まれたくないお文は、せっかくの喜久壽
からの話を断ります。が、おこなが勝手にお文の家に・・・

「竹とんぼ、ひらりと飛べ」では、ある宿で岡場所の女と呉服屋の
手代が心中していたのが見つかります。で、この呉服屋「美濃屋」
というのですが、まだ若い主が、不破に、ある人捜しをお願いして
いるというのです。それは、主の母親が昔、女の子を産んだのですが
当時は育てられずに他の人に面倒を見てもらうことで手放した、
その女の子にもう一度会いたいという雲をつかむような話で・・・

「護持院ヶ原」では、秋津源之丞という浪人が神田にある護持院ヶ原
という林の中で人を斬ります。秋津は過去にも何度か人を斬っている
のですが、このとき、ある男に見られていたのです・・・
その男、岸和田鏡泉という、ある大名に仕えてる人物だったのですが、
この鏡泉、ふしぎな術を使い、秋津は鏡泉の命令でまた人斬りを・・・

「さらば深川」では前作でも登場したお文の上客、材木仲買いの大店、
伊勢屋忠兵衛が、お文に後添えになってくれと、いわば正式にプロポーズ
してきます。しかしお文は決まった人(伊三次)がいることは忠兵衛には
伝えてあるのですが、流しの髪結い風情ではお文を幸せに出来ないと
今回は強引です。
お文は断りますが、後日、ある男がお分の家を訪ねてきて、伊勢屋から
もらった着物やら何やら、さらに今住んでる家までも伊勢屋に返して
もらおうと・・・

最初はどうも読みにくいなあと思っていたのですが、だんだんと読み
進めていくうちに面白くなってきました。サブタイトルに「捕物余話」
とある以上、今後伊三次がお文と所帯をかまえて自分の髪床を持っても
不破の手伝いは辞めないのでしょうね。今後が楽しみ。

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宇江佐真理 『紫紺のつばめ 髪結い伊三次捕物余話』

2015-03-10 | 日本人作家 あ
なにか時代小説が読みたいなと思って本屋に行って、棚に並んでるのを見てると、
ああ、このタイトル知ってる、ドラマか映画であったなあ、と言った感じで手に
取ってみる、といった買い方をたまにしたりします。

映像化されてれば絶対に面白いというわけでもないのですが、まあハズレは少ない
ですよね。

そんな中で、名前の聞いた事のない作家さんの小説を買うというのはそこそこの
冒険でして、この宇江佐真理さんの本を手にしたときも10分ぐらい迷いました。
まあ結果、買って良かったんですけどね。

そんなこんなでこの「髪結い伊三次」シリーズの2巻、読みました。ついでに
もう3巻も買ってあります。

おおまかに説明しますと、髪結いの伊三次は、自分の店(床)を持ってない、
今風にいえばフリーのヘアメイク。
そんな伊三次は不破という同心の手下となって事件解決のために働きます。
というのも、伊三次は早くに両親をなくし、姉の嫁ぎ先である髪床に弟子入り
しますが修行が厳しく師匠と衝突し家を出て、禁じられていた「忍び髪結い」
をやって捕まり、不破が伊三次を助けたということ。

あと、伊三次には文吉という深川芸者の恋人がいますが、かたや売れっ子で
贔屓に家まで与えられるほどのお文に、いつか自分の床を構えたいと金を
貯めてる伊三次。世間は「つりあわない」などと言いますが、いつか夫婦と
なるその日まで・・・といったところですが、この「紫紺のつばめ」では、
お文が材木商仲買人の伊勢屋に言い寄られてちょっと心が揺らいだりします。

が、ここ最近、江戸では幼い女の子のかどわかしが多発していて伊三次は
そっちの捜査に出かけて、お文を放ったらかし状態。

「紫紺のつばめ」では、お文が伊勢屋からの申し出にちょっと困ってると
ころからはじまります。お文が住んでる今の家や高い着物は伊勢屋の先代
に出してもらったもので、その息子に言い寄られたらいくらなんでも・・・
といったものですが、伊勢屋はきっぷのいいところを見せるだけなのか、
家の建て替えと着物の新調だけで愛人になれとかそういうのではないと
言います。
お文はその言葉を信じて伊勢屋のお世話になるのですが、これが伊三次の
耳には「お文がとうとう伊三次に愛想を尽かして伊勢屋の女になった」
という噂が入り、巷で多発している女の子のかどわかし事件の捜査の途中で
バッタリ出会ったお文と伊三次ですが・・・

「ひで」は、伊三次のお得意さんで大工の丁兵衛の髪を結いに出かけます。
この丁兵衛、短気で腕っ節が強いことで有名。
そんな丁兵衛の仕事場に、伊三次の友達の日出吉がいるではありませんか。
日出吉はたしか料理人になるべく、板前修業をしているはずですが・・・

「菜の花の戦ぐ岸辺」では、伊三次が殺しの容疑者となって捕まってしまい
ます。
ある日、伊三次は小間物問屋「糸惣」の前をたまたま通りかかります。
ここの大旦那の惣兵衛は前に伊三次の客で、今は隠居した大旦那に顔を見せようと
立ち寄ります。
そこでちょっと話をして伊三次は帰ったのですが、その日の夜に大旦那は何者か
に殺されます。
そして、それを発見した女中が、大旦那が最後に発した言葉が「伊三次・・・」
と言ったことで、伊三次は捕まります。
ところが不破は助けに来てくれるどころか、自分が取り調べたらいろいろ支障を
きたすということで知り合いに取り調べを頼み・・・

「鳥瞰図」では、前の「菜の花の~」で無実の罪を着せられそうになった伊三次
ですが、この一件で不破のことが信じられなくなり、伊三次は不破の屋敷に髪結い
に行くのをやめます。
そんなある日、伊三次は不破の妻、いなみと偶然街で出会い、なんといなみは
伊三次に自分の髪を結ってくれと頼みます。
が、いなみは実家の敵とされている武家殺害の計画を企ててると聞き、伊三次は不破に
内緒で奥様の計画をやめさせようとしますが・・・

「摩利支天横丁の月」では、お文の家の女中、おみつが、何者かに連れ去られます。
どうやら犯人はお武家らしいのですが、こうなると同心といった町方役人は手が出せ
ません。
そこで不破の子分の中の一人、弥八がいてもたってもいられない様子。そう、弥八は
おみつに惚れていて、弥八は怪しいとされる武家屋敷をじっと見張り続けるのですが・・・

2巻にして、伊三次とお文が別れて、さらに不破の髪結いもやめて、けっこう波乱。
不破の手伝いもやめたら「捕物余話」っていうシリーズタイトルが無くなる?
こりゃ3巻が楽しみ。

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