晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ジョン・グリシャム 『最後の陪審員』

2011-03-21 | 海外作家 カ
こういっては何ですが、移動しなくていい、あまりお金をかけない、
それでいてけっこう時間を費やす、一人で楽しめる、読書という習慣
があって、ここ数日は助かりました。
まあ、ちょっとした現実逃避にもなりますしね。

それよりなにより、家に未読本がけっこうたくさんあったことが
良かったというか。

時は1970年、アメリカのミシシッピ州フォード郡で、ある
残忍な事件が発生。この地に住む未亡人ローダが、深夜、何者
かに家に侵入され、暴行され刺殺されます。
恐ろしいことに、その一部始終を残された2人の子どもたちが
見ていたのです。
騒ぎを聞きつけた隣の家の住人が向かうと、そこには血まみれの
ローダが。そして「やったのはダニー、ダニー・パジット」と
いう言葉を残して、命を落としたのです。

すぐに警察か駆けつけて、近くに車内にいた返り血を浴びたダニー
を逮捕。子どもたちは親戚の家に。

この事件が起こる少し前、メンフィス出身で北部の大学を卒業した
ばかりのウィリー・トレイナーは、祖母から借りた5万ドルで、
フォード郡にある小さな新聞社を買い取ります。
小さな街ではちょっとした”ニュース”となり、それまで赤字続き
だったこのタイムズをてこ入れし、発行部数を増やそうと試行錯誤
していた時期に起きたのがローダの事件。

この地域にはある”聖域”があり、それは逮捕されたダニーの一族
のパジット家が、長い間、裏に表に手を回して違法な商売を続けて
(権力)を持っていたのです。住民は苦々しく思うものの、警察も
パジットの手によって腐敗しているありさま。

これはもう、ダニーは死刑に間違いない、これを皮切りにパジット
家の裏支配からこの街が解放されると住民は裁判の話題で持ちきり。

そして、陪審員の選定に入ることになるのですが、なんとその中に、
一人の黒人女性が。全米じゅうが公民権運動の嵐が吹き荒れるこの
1970年代でも南部のミシシッピ州はいまだに差別意識が根強く、
この陪審員に選ばれたカリア・ラフィンという女性は、以前タイムズ
で、子どもたちをみな大学に進学させ、彼らは教授など立派な職に
就いているというラフィン家を取材したことがあり、ウィリーが個人的
に仲良くしていたのです。

当然、被告側弁護士ウィルバンクスは、あからさまに差別は口にしな
いものの、黒人で女性は被害者に同情的という理由で陪審から外そうと
しますが、最終的に12人の陪審員のひとりにカリアは選ばれます。

小さな街が大騒動の中、裁判ははじまります・・・

しかし、いまだかつて、どんな悪行でも、捕まったことのないパジット
一族。あらゆる汚い手を使ってダニーの死刑回避を企てますが・・

相変わらずといっては法廷サスペンスの巨匠に申し訳ないですが、裁判
の緊迫感は読んでいて手に汗握るほど。
そして、物語後半になって次々に起こる事件。法廷の内でも外でもドキドキ
しっぱなしで、寝しなに読むには途中でやめられなくなりオススメできません
(寝不足覚悟の上でなら、どうぞ)。

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