晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ケン・フォレット 『自由の地を求めて』

2018-01-06 | 海外作家 カ
だいぶ遅ればせながらハッピーニューイヤー。
今年も拙い書評の当ブログですがよろしくお願いします。

さて、この『自由の地を求めて』は、去年の年末に読んだ
本でして、読み始めたのがたしか大掃除を本格的にやりは
じめた前日の28日の夜から、読み終わったのが31日。
じゃあとっととブログ更新せえやってなもんですが、元日
の夜から「鬼平犯科帳」を再読しはじめてしまい、まあ
ひらたくいえば、ブログの投稿を忘れてたわけですね。

ま、そんなわけで。

この小説の時代と舞台は、18世紀のイギリス、スコット
ランド、ロンドン、そしてアメリカ。

主人公はスコットランドの炭鉱夫、マック・マカッシュ。
ハイ・グレンという地で、劣悪で過酷な毎日。
マックはロンドンの急進派の弁護士に手紙を送り、返事を
もらって、その返事の内容を日曜礼拝で読み上げようとし
ています。
その内容とは、今の自分たちの奴隷的な搾取労働は憲法に
違反している、というもの。
この当時の法律では「炭鉱夫は炭鉱主の所有物」となって
いますが、子供まで働かされていて、ロンドンの弁護士に
よれば、子供は奴隷にはできない、さらに成人(21歳)
になったら、(所有物)ではなく(自由)になれるのです。

これに怒ったのが、領主のサー・ジョージ・ジェイミスン。
「ここでは領主が法律だ」と、弁護士からの手紙を破って
しまいます。

そこへ、マックを呼び止める美しい女性。リジ-・ハリム
というお嬢さま。リジ-は、サー・ジョージの長男ロバート
と近々結婚することになっています。
マックとは幼馴染みで「賃仕事をいただけてるだけでも幸せ
だと思いなさい」と。
するとマックは「坑道に入ったことも無いくせに、入ったら
俺たちが幸せだなんて口が裂けても言えないはずだ」とやり
返します。

さて、このリジー、こうと決めたら行動せずにはいられない
性格で、婚約中のロバートよりも、弟のジェイと仲良くして
います。ジェイに「炭鉱の中に行ってみたい」とお願いし、
連れてってもらうことに。
奥まで行くと、天然ガスに引火して坑内で爆発、マックに助
けれらます。

サー・ジョージはマックに罰として「わたしはジェイミスン家
の所有物です。」という鉄の首輪をはめさせられて、馬に乗せ
られて晒し者に。
これにリジーは怒り、罰を止めさせます。そしてマックが領地
を脱走する夜、リジーは脱走を手助けします。マックの荷物の
中に鉄の首輪を見つけます。村の鍛冶屋に叩き切ってもらった
のですが、リジーは「なぜこんなものを持ってるの?」と聞く
と、マックは「(屈辱と怒りを)忘れないためだ」と持って
行くことに。

マックは、命からがらロンドンにたどり着きます。ある日のこ
と、懸賞金付きの殴り合いに参加したマックは、相手を簡単に
倒し、1ポンドを手にします。そして、次に賞金20ポンドの
大会に出ることに。
マックは負けますが、なんとそこにいたのは男装したリジー・
ハリムでした。
リジーはロバートとの婚約を解消し、ジェイと結婚することに
なり、サー・ジョージからロンドンに呼ばれていたのです。

マックは、港の荷役夫となりますが、ここでも搾取労働される
ことに怒り、マックは組合を結成しストライキをします。
これには貿易事業をしているサー・ジョージが怒り、ストの
首謀者はあのスコットランドで自分に盾ついてきた若者と知り、
ジェイにスト鎮圧を命じます。

マックは捕まり、マックを匿っていた娼婦のコーラと掏摸のペグ
も捕まります。コーラとペグはアメリカに流刑で済みそうですが、
マックは死刑の可能性も。そこで、マックがスコットランド時代
に手紙を出した弁護士ゴードンスンがマックの弁護に。ゴードン
スンはリジーに彼の弁護をお願いします。

そこに、スコットランドの教会の牧師が訪ねてきて、ハリム家の
炭鉱で事故があって大勢の人が亡くなったと言うのです。
リジーは、ハリム家の領地が勝手に炭鉱になっていたことに激怒
し、ジェイとの結婚を解消、マックの弁護に行こうとします。
しかし、この時リジーは妊娠していて、サー・ジョージとリジー
の母親が結託して、ジェイとリジーにジェイミスン家の所有する
アメリカ・ヴァージニアにあるタバコ農園を相続させて、離婚を
踏みとどまらせようとします。そして、ゴードンスンは、リジー
に証言台に立つのを止めさせて、代わりにジェイにマックの助命
歎願をさせようと・・・

この時代に起きた出来事としては、産業革命で仕事を奪われた人
たちがいっせいにロンドンに押し寄せます。そしてジョン・ウィ
ルクスが時の政権と国王を批判し、これをきっかけに民衆運動が
ひろがりを見せます。それから数年後に植民地アメリカで、かの
有名な「ボストン茶会事件」が起こります。

この小説の冒頭、20世紀末にアメリカの片田舎で、ある男が
(最寄りの町から80キロも離れた辺鄙な谷間)にある(ハイ・
グレン・ハウス)という名の廃屋を買い、庭を掘り起こしてい
たら腐った木箱が出てきて、その中に鉄の輪が出てきて、よく
研くと文字が掘られていて、そこにはこうありました・・・

「この者の所有者は、サー・ジョージ・ジェイミスン・オブ・
ファイフなり。紀元1767年」

ここから物語は始まるので、まあぶっちゃけマックは死刑を免
れてアメリカに渡ることになります。

ところで、有名な歌で「ロンドン橋落ちた」というのがありま
すが、じつは何度も崩落していて歌詞がいつの時代を指してい
るのか諸説あるそうですが、17、18世紀のロンドンは人口
が急増して、家賃や税金を払えない人たちはロンドン橋の上に
家を建てて住んでいたそうでして、橋の上に4階建てだか5階
建ての建物がひしめき合っている当時の絵があります。そりゃ
崩落しますね。

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