晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ディーン・クーンツ 『ミッドナイト』

2009-10-18 | 海外作家 カ
気がつくと、家の書棚にディーン・クーンツ作品が増えていた、
というくらいにハマってしまい、痛烈な現代社会の皮肉という
側面も見ようと思えばあるのですが、とにかく物語性に特化
させた判り易い文章で、洋書はちょっと…、と思ってる方には
オススメですね。

カリフォルニアにある、他の大都市のような犯罪多発とは縁の
ない、人口3千人ほどの海辺の町で、短い期間に住民の不審
死が続出。夜中にジョギング中何者かに殺された姉の死因を
突きとめるために、ジャーナリストの女性がこの町を訪れますが、
警察はどこか信用できません。
そんな中、ある男もこの町を訪れていました。その男はFBIの
特別捜査官で、じつは数ヶ月前にもFBIの調査が入っており、
短期間で死者が多いことと、その死者はいずれも火葬されて
いたということでした。土葬がまだまだ当たり前という文化圏
において、あまりに火葬が多いというのは、ある事実の隠蔽
工作とも思われます。

そして、FBIのもとに町の住民から手紙が届いたのでした。
退役軍人で、ベトナムで両足と片手が不自由になり、今は
ひとりで介助犬とともにアパートで暮らしている男からで、そ
の男は窓から火葬場を望遠鏡で見ていて、ある不審な動き
をFBIに知らせてきたのです。

町にある、馬の牧場主一家。そこでは、小学生の女の子が
地下室に監禁させられており、両親はどうにも様子がおかし
く、連れの男とともに意味不明な会話をして、女の子は危険
を感じ、家から脱走します。すると両親とタッカーと名乗る男
は逃げた女の子を追いかけてきます。もはや自分の知ってい
る両親ではなく、野犬のような生き物になっていて…

この町は、<ニューウェーブ>社という会社の企業城下町の
ようなもので、従業員の大半はこの会社で勤務しています。
この会社の社長がじつはとんでもないことを住民にしでかし
ていた、という話なのですが、狂気の天才である社長の背景
にはいったい何があったのか、そして彼の目論見とは…

どこか外国の話だったでしょうか、コンピュータゲームに熱中
しすぎて、食事をとるのも忘れて、死んでしまった青年がいた、
という事件(といっていいのやら)があったのですが、なんだか
そのニュースを思い出させる、コンピュータと人間が一体化し
てしまう、とても怖いシーンが出てきます。

理想の人間社会とはなにか。そんなことを考えさせられる作品
でした。
コメント
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