晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

髙田郁 『花だより みをつくし料理帖特別巻』

2024-09-11 | 日本人作家 た
スーパーやコンビニに行くと秋限定などの商品が並ぶようになりましたね。とはいえまだまだ暑いので秋を楽しむのはもうちょっと先。読書の秋とはいいますが、夏の暑さからようやく開放されて涼しくなると夜の眠りが深くなって、寝る前の小一時間が読書タイムなのに布団に入ったらすぐコテンといってしまってあまり読めなくなります。

以上、読書時間の確保の難しさ。

さて、髙田郁さん。「みをつくし料理帖」シリーズも「あきない世傅金と銀」シリーズも読み終わって、と思っていたら「みをつくし料理帖」の見たこと無いタイトルがあるのをどこかの本屋で見かけて家に帰ってきて調べたら続編というか特別編が出てたということを知ったわけであります。

澪が医師の永田源斉と夫婦になって大坂に引っ越して四年、「つる家」の主人、種市は風邪を引いて寝込んでいます。ところが具合が悪いのは風邪のせいばかりではなく、ある朝、倒れていた老人を助けると、その老人は易をやる水原東西と名乗ります。はてどこかで聞いた名前だと種市は思いますが、その老人が助けてくれたお礼に種市を占うと、なんと来年までは生きられないと言うのです。そこで、澪といっしょに大坂から江戸へ出てきた芳に老人のことを尋ねると、澪に「雲外蒼天」、野江に「旭日昇天」と占ったのはたしか水原東西とかいう名前だといいます。一方「つる家」の常連客の坂村堂と戯作者の清右衛門も浮かない顔。なんでも清右衛門が「書く気がおきない」というのです。大坂の話が出たときに種市が「澪に会いてえな」とつぶやくと急に清右衛門が「大坂に行く」と言い出して・・・という表題作「花だより 愛し浅蜊佃煮」。

御膳奉行の小野寺数馬に嫁いだ乙緒は、数馬の妹から、じつは兄は女の料理人とお互いに想いあっていたのですがわけあって別れたということを聞き、そういえば数馬はなぜこんな面白みのない私みたいな女との縁談を受けたのか気になってしまいます。そこで思い出したのが、乙緒の姑つまり数馬の母から教えてもらった「岡太夫」という菓子。そして、もしふたりの間に溝ができたと感じたなら、数馬に「岡太夫が食べたい」とお願いしなさいと・・・という「涼風あり その名は岡太夫」。

日頃の殺生の戒めで魚や鳥などの生き物を放って故人の冥福を祈る「放生会」の日、大坂、高麗橋通りにある「淡路屋」の女主人、野江は、鳥籠から燕を放ち、又次、又次、堪忍な、と手を合わせます。数日後、江戸の摂津屋の旦那から文が届きます。さっそく、北鍋屋町にある診療所兼料理屋「みをつくし」に出向いた野江は二階で休んでる摂津屋に会います。大坂には「女名前禁止」という商い上の決まりがあり、女性は主人にはなれないのですが、主人が急死して家に残ったのが妻や娘の女だけという場合、特別に三年に限り暫定で女性が主人になることができ、今年がその三年目。摂津屋から番頭の辰蔵を婿にして店主にどうかと勧められますが野江は黙ったまま。すると摂津屋が「お前、又次のことを」・・・という「秋燕 明日の唐汁」。

大坂、北鍋屋町の「みをつくし」は長いことお休みしています。西日本に広がった原因不明の死に至る恐ろしい病で澪と源斉の住む診療所兼料理屋の家主がその病で亡くなり、別の家主に変わって「出ていってほしい」と立ち退きを迫られているのです。大流行した病は終息しましたが源斉は病人の治療に大忙しだったので寝込んでしまいます。体調が悪いのはもちろんですが、謎の病で誰一人救うことができなかったことで自責の念にかられて気鬱状態になっているようで、なんとか食べてもらおうと澪はいろいろ作りますがひと口ふた口食べるだけ。そこで澪は源斉の母親に手紙を出して・・・という「月の船を漕ぐ 病知らず」。

だいぶ前にこのシリーズを読み終わって、いろいろ忘れちゃってるかなと思いましたが、けっこう覚えているもんです。ただもう一度読み返したくなりました。

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