晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ヨースタイン・ゴルデル 『オレンジガール』

2009-10-07 | 海外作家 カ
ヨースタイン・ゴルデルといえば、まず真っ先に思い浮かぶのが
「ソフィーの世界」で、基礎的な哲学を紹介した本で世界中で大
ベストセラーとなりましたが、ほかに読んだ作品は「アドヴェント
カレンダー」「カードミステリー」と、いずれもファンタジックな物語
で、どこか哲学めいています。

『オレンジガール』も、はじめこそラブロマンスぽいのですが、だん
だん読み進むにつれて、宇宙とは、人生とは、といった哲学を含
んだ話になり、最終的に深く考えさせられる作品に仕上がってお
ります。

15歳の少年ゲオルグは、4歳のときに父が亡くなり、それから11
年後、子供の時に遊んでいたおもちゃの車の中から父の書いた手
紙が出てきます。
父は医者で、病気で亡くなるのですが、死に対しての心構えと、息子
ゲオルグのことを案ずる内容で、やがて話は父の若いころの話となり、
「オレンジガール」との出会いを主体に書かれていきます。

学生時代の父は、ある日電車に乗ると、たくさんオレンジの入った大き
な紙袋を抱えた女性を見かけます。するとその女性は父に目を向け、
父も目線を離そうとせず、電車が揺れたときに袋を落としそうになった
女性を助けようとして、かえって袋を破いてしまい、オレンジがこぼれ落
ちてしまいました。
謝ろうとするも、女性は立ち去り、気になった父はそれから「オレンジ
ガール」を街中探し歩きます。
果たして「オレンジガール」は何者なのか、そして手紙には、大きくなっ
たゲオルグに、どうしても答えてほしいという質問が書かれていました。
その質問とは・・・

とてもいい話です。舞台設定はノルウェーのオスロを中心に、郊外の美
しい自然も描かれ、そして北欧の寒い様子もよく分かります。
作者の特徴なのでしょうか、どこかファンタジックな物語設定で、そこに
家族のことや学校のこと、そして宇宙のことといったリアルな話とのコン
トラストが絡んで、独特の色彩美が文章にあるようです。
コメント
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