さて、昨日の続きです。公務員叩きを例にして、いかに国民が「ブルーカラーの低賃金」「非正規雇用へのシフト」「給与削減」を求めているか見てきたわけですが、これに対するありがちな反論として「公務員と民間企業は違う」「公務員は我々の税金で~」というものがあります。下らないですね。前者は「白人を奴隷として売るのは許されないが黒人を売買するのは許される」みたいな発想ですし、それ以上に後者は穴だらけです。「公務員は我々の税金で~」と言うなら民間企業従業員の給与だって、元を辿れば顧客の支払った代金から出ているわけですから。ついでに言えば、公務員だって民間人と同じ基準で納税を強いられているわけですし。
そうでなくとも、「自分は金を出す側(納税者)なのだから」と「金を受け取る側(公務員)」に無理難題を突きつけることが許される、相手を奴隷呼ばわりすることが許されていると考えているのなら、それは人間としてどうでしょう? カネで人の心が買えるとでも思っているのでしょうか?
何はともあれ、少なからぬ国民は「ブルーカラーの低賃金」「非正規雇用へのシフト」「給与削減」を歓迎しているわけです。当人の自覚としてはあくまで「公務員限定」なのでしょうけれど、自分で思っているほどの分別があるとは限りません。自分のことを護憲派の平和主義者で左翼だと「思いこんでいる」一方で、口を開けばウヨのケツを舐めるばかり、先軍主義者を持ち上げるばかりの醜悪なブロガーだっていますから。「平和主義者」と「自分を平和主義者だと思っている人」が全くの別物であるように、当人の自覚と、実際の言動や行動はしばしば食い違うのです。
……で、少なからぬ国民は「自分達の税金」で公務員が養われていると思っている、そこから「国民の利益」のためと称して公務員給与の削減を叫ぶ政治家を歓迎する訳です。「我々の税金」で国や自治体は運営されているのであり、公務員は我々の利益のためにだけ働くべき、利益は全て我々と「公」のものになるべきで、それが公務員の手に渡るなど許されない、公務員の給与に回す金があるなら、国民と国家のために使え、と。しかるに現時点では民間企業の従業員に対して明示的に同様の態度を取る人は決して多くありません。どうしてでしょう、民間企業の従業員を「自分達の支払い」で養っているという風に考える人は、幸か不幸か少数派のようです。
ことによると公務員がスケープゴートの役目を果たしているがゆえに、「堰き止められている」だけなのかも知れません。ところが、「国民」が公務員に対して求めるものを、民間企業の従業員にも求めている人々は確実に存在します。おわかりでしょうか? そう、株主であり、投資家です。彼らはこう考えるわけです。「我々の投資」で民間企業は運営されているのであり、企業は投資家の利益のために働くべきだ、我々の投資で得られた利益を従業員に回すなど許されない、賃上げや雇用確保に回す金があるなら、もっと我々に利益を還元せよ!
誇らしげに「民間人」を称するような人々、公務員叩きに精を出す政治家の支持者達の多くは、「投資家」など自分とは別世界の人間だと思っているかも知れません。むしろ彼らの世界観では、投資家は公務員同様、ヒーローによって退治されるべき「悪者」の枠に収められているでしょうか。とんでもない、投資家も「民間人」も同じ人間であり、同じことを考えている同志なのです。ただ、ちょっと標的が異なるだけ、それだけのことです。
支持の対象が自民党か民主党か、違いはそこだけで考え方や論法は全く変わらない人々を昨今は頻繁に目にしますが、私は同類だと思います。そして「我々の税金で」と称して公務員叩きに励む人々も、「我々の投資で」と称して働く人の待遇切り下げを要求する人々も、根本的な考え方は同じ、似たもの同士なのではないでしょうか。まぁ、誰を支持するか、誰を標的とするか、往々にしてそっちの方が重視されているようですけれど。
公務員の給与削減を公約にするような政治家が有権者の支持を集めるのなら、同様のことが他所で行われていたとしても不思議ではありません。例えばそう、従業員の給与削減を大々的に掲げる経営者は、株主の支持を集めるでしょうか? 国民のためと称して公務員叩きをアピールする人気者と同様に、投資家のためと称して賃金抑制を訴えるのは、経営者の評価を高める常道なのかも知れませんね。株主配当と内部留保はいくら増やしても働く人には決して還元しない企業が相継いだわけですが、それを支えていた人の存在を考えてみましょう。
で、一昨日のゼンショーとホンダの例を思い出してください。何とも非道い会社です。働く人を蔑ろにすることにかけては、どこと比べてもヒケを取らない両社ですが、投資家の評価はどうでしょうか? 公務員を叩けば叩くほど政治家の支持率が伸びるように、従業員を痛めつけるのはむしろ、株主の評価を上げる要因になるのかも知れません。比喩的な言い回しをすれば「株を下げる」振る舞いを見せた両社ですが、比喩ではなくそのものの「株」の値動きを見てみましょう。
……株価ですから細かな上下動はありますけれど、ほぼ完全な横這い状態、安定していますね。ゼンショーなど2月、3月とも下旬に株価の急落を見せていますが、「株主にとっては重要な何か」があったようです。しかるに今のところは安定を保っています。株主にとって重要なことは何も起っていない、両社共に株を下げてはいないわけです。
大丈夫? 風邪でもひいた?
ご心配なく。ゴミは片付けてしまっているだけですから。
やはり、アレな人たちは来られるんですね。実は、私自身がアレな人たちのようなコメントを投稿して、その手の意見に非国民さんならばどのような反論をするか見てみたいとも思ったのですが、はじかれそうですし、ご迷惑になるようですので、控えさせていただきます。
さて、本題ですが、税金はとやかく言われるのは否応なく持っていかれるからであり、民間が言われないのは努力して客から集めたとされるからでしょうか。とはいっても、企業側のその「努力」も買わなくてはならない生活必需品を売ったり、場合によってはかなりあくどい方法で巻き上げたりしたものもあるはずですが、その点は無視ですね。
それにしても、どこでも働く人々の取り分を減らすことが望ましいとされるのですね・・・。これに声を上げれば、上の人間ならまだしも同じ立場の人間からも抗議が来ますし・・・。労働者の生活がよくなるのは夢物語なのでしょうか。
http://mainichi.jp/area/fukushima/archive/news/2009/04/22/20090422ddlk07010143000c.html
http://mytown.asahi.com/fukushima/news.php?k_id=07000000904220004
長年にわたって中央・地方とも当局とべったりな運営をしてきた自民が
いまさら「執行部とは一定の距離」と言い出すのもアレですが。
地元紙では共産党県議団が「正副委員長会議は正式な決定機関でなく
改めて議員運営委員会で協議を」と副議長(民主系)に申し入れの動きも伝えられました。
民主系会派も同趣旨の異論を唱えたとも伝えられ、筋が悪くなっています。
そもそも額が小さすぎるし、上の記事を鵜呑みすると
「やっぱり民主は役人の味方!」なんて反応を自民はねらっているのではと。
コメントしやすい記事とコメントしにくい記事があるみたいですね。コメントの少ない記事の方がアクセス数はむしろ多かったりするのですが。それはさておき、公務員の取り分を減らせと叫ぶ「国民」の感性は、実は従業員の取り分を減らせと要求する「株主」と似たもの。それでは働く人の取り分が増えないのも……という気がします。
>観潮楼さん
政治に疎いタレント議員が増加する中では職員の役割も重要度を増さざるを得ないと思いますが、時代は逆行していますね。「必要な経費か不要な経費か」ではなく、とにかく絞り上げることが重視されているようにすら。さらに民主党が「役人の味方」と見られることを恐れて自民党と公務員叩きを競い合うようになると、もはや坂道をまっしぐら……
アマゾンの読者レビューでは賛意がやや優位のようですが、賛否両論のようです。(まあ、アマゾンのレビューも信頼していいのかどうか微妙なところでありますが。)恐らく、管理人さんが読まれたとしたら、秒殺でトンデモ本認定となると思います。
問題の本は読んだことがありませんが、独自データですか。4割もの差を「付ける」には相当に恣意的なピックアップが行われているのでしょうね。こういうことをやると「まともな」学会では信用を失いますが、読者の「読みたいもの」を提供するのが仕事である人にとっては、どうということもないのでしょう。
「税金を取る方は天国」「取られる方は地獄」とか吹いてるそうで、マスコミや民主党の御贔屓筋は「庶民的だ!」とお喜びのようですが、要は、橋下クォリティのニャゴヤ的表現なんじゃないかと…。
でわ。
たかしくんが勝っちゃいましたねぇ。一部では民主党の勝利という人もいるようですが、自民党の極右議員以上に自民党的な候補の勝利、橋下路線の候補者の勝利です。有権者はこの手の候補が大好きなようですが……