非国民通信

ノーモア・コイズミ

目標未達の責任は

2021-03-14 21:38:36 | 社会

 首都圏における新型コロナウィルスの感染者は下げ止まりが指摘されてきたわけですが、とうとう先週比で上回る日が続くなど、緊急事態宣言が継続中であるにも関わらず増加に転じる兆しさえ見え始めています。メディアが語るのを好むのは専ら「自粛疲れ」ですけれど、実際に起こっているのは「コロナ慣れ」でしょうか。

 結局のところ身体的な意味合いでの集団免疫が幻でしかない一方で、社会が感染者の拡大を深刻に受け止めなくなってしまうと言う精神的な面での免疫は広まりつつあるのかも知れません。ただ感染者の増加に危機感を抱かない人がどれだけ増えたとしても、それで感染症の影響がなくなることへは繋がらない、健康リスクは高いままであり、医療の逼迫も続くわけです。

 首都圏の緊急事態宣言は2週間の延長が発表され、そこから1週間が経過しました。残る1週間で顕著な減少に向かう可能性は乏しく、果たして解除して良いものかという意見は当然ながら出てくることでしょう。ただ継続してもなお感染者数は増加に向かうとなると、今までの緊急事態宣言とは違ったことも考えなければならないように思います。

 

「出勤者半減」目標が…千葉県庁テレワーク率たった4%(朝日新聞)

 新型コロナ対策で「出勤者5割減」を掲げた千葉県庁で、1月のテレワーク実施率が約4・4%にとどまることがわかった。森田健作知事が民間にテレワーク導入を訴える中、足元の県庁では全く進んでいない。

(中略)

 民間でも浸透していない。森田知事は「出勤者7割減」を求めているが、1月22日~2月8日の県の調査では、県内4972事業所のうち、そもそもテレワークを実施した事業所が979件(19・7%)にとどまった。

 テレワークを実施した事業所でも、週1日以上実施した従業員の割合は、「1割」が50%、「2割」が11%で、実施状況は小規模とみられる。

 

 次の千葉県知事は現・千葉市長になりそうな様子ですが、千葉市役所のテレワーク実施率はどの程度なのでしょうね。上の人間がそれらしきポーズを取ることはあっても、現場がテレワークに移行するかは別問題、人々がコロナに慣れてしまった今となっては政府の緊急事態宣言があろうとも仕事のスタイルひいては生活のスタイルを変えない人も多いであろうことが分かります。

 日本国内の地方格差は顕著ですけれど、その辺はテレワークの有無でも同様です。東京だって手放しで褒められるような状況ではないにせよ、都内の企業と県内の企業ではテレワークの実施率にも大きな差があります。テレワーク拡充で都心に住む必要の薄れた人が千葉を含む隣接県に転入するケースが昨年から増えたようですが、テレワークできる千葉都民と県内で働く人の格差は給与水準に止まらないのかも知れません。

 新型コロナウィルスの感染拡大は負の影響も少なからず及ぼしましたが、旧態依然とした日本社会を変えようとしている面では悪いことばかりでもないと感じています。きっと、後世には敗戦と同じぐらいの転機と記憶されるのではないでしょうか。上記のテレワークなんて概念だけはコロナ前から存在していましたけれど、それが一般に普及していた可能性なんてコロナ抜きでは全く考えられませんから。

 ただコロナという転機に働かせ方を変えた企業もあれば、何も変わろうとしない企業もあるわけです。そして変わらない事業者は都市部よりも地方に多い、東京と千葉では明らかな違いがあることが今回の引用からも分かります。東京と地方の格差は今後も一層、拡がっていきそうです。それでも多くの企業では、テレワークを実施する方法よりもテレワークできない理由を考える方に頭を使うのでしょう。

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