非国民通信

ノーモア・コイズミ

KDDIは電気代を4割節約するようです

2011-06-06 22:44:01 | ニュース

社員の4割、午後は在宅勤務 KDDI、節電対策で今夏(朝日新聞)

 KDDIは7月から9月にかけ、夏の節電対策として、早朝から半日は職場で働き、午後は在宅勤務とする独自のサマータイム制を導入する。終日在宅の勤務も併用し、国内約1万2千人の社員のうち、4割が午後は在宅勤務をする。昨夏のピーク時に比べ本社ビルの消費電力の約4割削減を見込む。

 午前9時からの始業時間を早めて、「午前7時から正午」と「午前8時から午後1時」の2通りの勤務を設け、午後は2時間半の在宅勤務にする。打ち合わせなどが多い職場には午前に出社して午後は在宅勤務、研究や企画部門などには終日の在宅勤務を勧める。

 一部の職場では通常勤務を続けるが、気温が高く空調使用が増えがちな午後は、全体の4割の社員が在宅で働く。

 杓子定規に職歴を履歴書に書き込むと行数が足りなくなる私ですが、昨年暮れより職を転々とすること十数年にして初めて労組の存在する会社で働くことになりました。正社員として働いたブラック企業に労組がないのは普通のこととして、非正規で働いた中には大企業もあったわけですけれど、大企業と言っても労組があるとは限りません。これだけ職場を渡り歩いているのに一度も労組を目にしたことがないとなると「労組なんて都市伝説なんじゃないか?」とすら思えてきたものですが、ようやく労組の実在を確認することが出来ました。とは言っても、私が働く営業部門には労組が存在せず、工場部門にのみ限定された小さな組合があるだけみたいなのですが。まぁいつの日か、直に目にすることが出来たらいいなと思います。

 それはさておき営業部門では節電のため空調が切られるなど、それなりに不快な職場環境が構築されている昨今です。ただ営業部門、というよりホワイトカラーの部門はマシな方なのかも知れません。都心から離れた工場の全てが自前の発電装置を完備しているはずもなく、必然的に計画停電なり電力不足の影響を深刻に受けました。生産部門が止まると営業部門も当然ながらピンチなのですが、ともあれ平日昼間に操業できなかった分を工場によっては残業や休日出勤で補う動きもあったわけです。今のところは小康状態ですけれど、夏場に向けてはどうでしょうか。製造業を中心に各地でピークシフトの動きが進んでいるようですが、これは私にとっても他人事では済まされません。ピークシフトで休日労働や深夜労働に駆り出され、真っ先に割を食うのは工場部門ですけれど、こっちだっていつまでホワイトカラーでいられるかわかったものではありませんし、営業部門だって製造部門との連携は必須ですから。

 さてKDDIもまた始業時間を早めたり午後は在宅勤務をさせるなどの節電策を採るそうです。KDDIとは職務上で多少の接点もありますので、そのうち実体験に基づいたレポでも書ければと思いますが、ともあれKDDIでは出社時間が早朝にずれ込むようです。そうなると取引先各社もKDDIの勤務時間に合わせることが求められて、結果的に幅広い事業者を巻き込んだ労働時間の延長が懸念されます。まぁ、出社が早まった分だけ午後は在宅勤務ということで退社は早まるようですが、実質的な終業時間はどうなのでしょう。KDDI社員は始業が2時間早まった分だけ、2時間早めに仕事を切り上げたいところかも知れません。しかし、KDDIの取引先企業はその限りではないわけです。取引先企業の就業時間を過ぎるまでは、遠慮なく仕事の電話が飛んでくることでしょう。日本全体でサマータイムを導入した場合でさえ労働(拘束)時間の実質的な延長が懸念されていたものですし、小規模な実験でもその懸念を裏付ける結果が相次いだはずです。これを個別の企業が独自に行うとなれば結果は言うまでもありません。出社の時間は早まるけれど、仕事が終わる時間は変わらない……

 在宅勤務となると、それに伴って必要となる道具や環境はどうなるのでしょうか、つまり会社とやりとりをするための通信装置やPC、各種備品類ですね。元よりKDDIであれば私が職務上で関わりうる範囲の人は例外なく携帯電話を会社から支給されているので、この辺はたぶん問題なさそうですし、業務用のPCもさすがに支給されるでしょう。そうしないとセキュリティ上、甚だしく問題がありますから。でも通信回線は? それから書類を印刷するプリンタや用紙、筆記具などの事務用品はどうでしょう。在宅勤務に伴い、社員が自前で用意せざるをえない部分も多少は出てくるような気がします。KDDIならその辺の負担分は実費で支給してくれるのかも知れません。しかしただ一つだけ、絶対にKDDIが負担しないであろうものがあります。

 在宅勤務のために必要な用具や設備は、とりあえずKDDIなら9割方は会社が支給してくれるでしょう。ただし、これだけは在宅勤務となった従業員が自前で負担するに違いないと思えるものがあります。それは「電気代」です。在宅勤務の社員はKDDIから支給された携帯電話とKDDIから支給されたPCで仕事をするにしても、仕事を持ち込んだ自宅の電気代――すなわちPCなり照明なり空調なりに費やされる電気代は、個人が支払うことになるのではないでしょうか。KDDIは「昨夏のピーク時に比べ本社ビルの消費電力の約4割削減を見込む」そうで、どうにも仕事を家に持ち帰った社員が自宅で消費する電力を勘定に含めているとはとうてい考えられません。特定の部署を空にしてしまえば空調や照明を切れる、それで節電できると思い込みがちですけれど、仕事と一緒に家に帰された従業員は代わりに自宅で電気を使うのです。KDDIが消費する電力量は確実に減るのでしょう。ただし、KDDI社員が自宅で消費する電力量は増えます。合計してみると???

 節電にかこつけて、実は電気代や各種経費の節約などコストカットに走っている企業も多いような気がします。うちの地元の銀行は長らくATMを全面停止していまして、最近になってようやく「昼間のピーク時間帯に限定して」稼働させています。まぁ引き出しはコンビニでも出来るので問題ないにせよ通帳記入ができないのが困りものです。これが都市銀行ならATMが使えずとも勤務先周辺の支店で通帳記入できるのですが、地銀の悲しさ、家の近所にしか支店はなく、家の近くに戻る頃となると銀行支店もATMもとっくに閉まっているわけです。利用者としては弱ったものですが、銀行側からすれば格好のコスト削減が出来ている側面もあるでしょう。他にも節電にかこつけて空調を止めたり減便を推し進めている電鉄会社なんかも、それなりにコスト削減へと繋がっているはずです。本来こういうことをすれば銀行なり電鉄会社なりに不満の声が向かうものですが、しかるに節電のためと語ることで利用者の不満は抑え込まれ、あろうことか会社側が賞賛されがちだったりします。そして利用者だけではなく、従業員にも忍耐を求めるケースは当然ながら多い、節電のためとして空調を切ったり勤務時間を動かしたり等々、今回取り上げたKDDIもその一つとして該当しそうです。その実は利用者や労働者に我慢を強いておきながら、対外的にはさも「節電に協力しています、社会貢献しています」みたいな顔をしている企業には、ちょっと疑いの目を向けて見ることも必要ではないでしょうかね。

 

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コメント (6)
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