非国民通信

ノーモア・コイズミ

与党には許されないこと

2010-02-24 22:57:29 | ニュース

仙谷氏「千葉・秋田で負けた頃と似てきた」 知事選敗北(朝日新聞)

 長崎県知事選で民主など与党3党の推薦候補が敗れたことについて、仙谷由人国家戦略相は22日、「昨年の千葉、秋田(両県知事選)で負けたころと状況が似通ってきた」と記者団に述べた。昨年3月、違法献金事件で当時の小沢一郎代表(現幹事長)の秘書が逮捕された後、千葉、秋田両県知事選で民主系候補が連敗。小沢氏は同年5月に代表を辞任した。

 知事選の敗北について、仙谷氏は「(世論調査の内閣)支持率の動きや現場で感じる風の冷たさからみると、予測された範囲」とも分析した。

 さて長崎県知事選では自民党系候補の勝利と相成ったわけですが、この先はどう展開するでしょうか。土地柄や候補者の資質、競合相手との関係によって左右されるところも大きいとはいえ、与党の候補と野党の候補で結構な差が付きました。それぞれが適切に勝因、敗因を分析して次回につなげることが出来ればいいのですが、選挙戦の敗者が負け惜しみや自己正当化に終始して、同じ過ちを繰り返すのもよくあることです。とりあえず民主党内でも小沢氏と距離があると見なされている議員は、率直に小沢関連の「政治とカネ」問題の影響を認めていますが……

 仙石氏は「千葉・秋田で負けた頃と似てきた」と語ります。ふむ、当時のように、そこから先はまた盛り上がると言うことでしょうか? あの時も熱心に過ぎて周りが見えなくなっている民主党支持層は「国策捜査だ! 小沢潰しだ!」と息巻いていましたが(自民党議員の金銭問題は嬉々として追求するくせに)、あれは民主党にとってはちょうど良いタイミングでしたよね。早めに膿を出しておいて、いざ衆院選が始まる頃にはすっかり疑惑は下火になっている、そして民主党の大勝に終わったわけです。本当に民主党/小沢潰しに動くのなら、切り札はここ一番の勝負段階で――つまりは選挙期間中にでも使わないと意味がありませんから。

 今回の小沢一郎の疑惑も、前回のように形式上のけじめを付けて沈静化に努めれば、参院選の頃にはすっかり有権者の頭から抜け落ちてしまうことでしょう。選挙期間中に疑惑が持ち上がれば対応は至難ですが、今からならどうにでもなります。そういう点では仙石氏の感想はあながち的外れでもないのかも知れません。しかし、根本的に違うこともあります。「千葉・秋田で負けた頃」の民主党は野党で、自民党が自壊していくのを待っていれば自然と支持が伸びていく状態でしたが、今の民主党は与党なのです。自民党が何かアホなことをやらかしても、よほどの好事家でもない限り誰も野党のことなんて気にしちゃいません。「敵失」で民主党が票を伸ばせる時代は過去のものです。

 選挙戦では与党であることで有利になる場面もあれば、逆に与党であることが不利に作用することもあります。野党であれば、政府与党に対する失望感への受け皿となることが出来ますが、与党にその手は使えません。先の衆院選までは反自民党の旗印が有効でしたが、それは自民党が政府与党だったからです。地域レベルではまだしも全国レベルで見れば民主党こそが政権与党である以上、自民党の対抗軸としての民主党への期待感は急速に萎んでゆくものです。今度は、自らが責任政党として実績を積み重ねてゆくしかありません。

民主・石井氏「鳥取、島根は日本のチベット」(読売新聞)

 民主党の石井一選挙対策委員長は22日、都内で開かれた川上義博・同党参院議員(鳥取選挙区)のパーティーであいさつし、「鳥取県とか島根県と言ったら、日本のチベットみたいなもので、少し語弊があるかもわからないが、人が住んでいるのか。牛が多いのか。山やら何やらあるけど、人口が少ない所」と述べた。

 しかるに、こういう発言を聞くと民主党の政権与党としての自覚に疑問が湧いてきます。芸人がジョークでこれを言うなら結構なことですが、与党の選挙対策委員長という責任ある立場にある人間がこのように語るのは大いに問題です。「人が住んでいるのか」とは鳥取県民や島根県民を馬鹿にしていますし、チベットにも失礼でしょう。所得が多いほど税率も高くなる、累進課税というものがあるわけですけれど、立場や権限と責任の関係も同様だと思います。あたかも貧困家庭と資産年千億の大富豪を同列視するような勢いで、国政に絶大な影響力を持つ権力者である小沢一郎をその辺の無力な被疑者と同様に扱えと声高に叫んでいたような人には受け入れがたいことになるのかも知れませんが、やはり普通の人には許されても政治家には許されない行為というものがあるはずです。そして今回のような発言は、与党の政治家として相応しくない、自身の立場に対する自覚に欠ける発言だと言わざるを得ません。

 ちなみに石井一氏、麻生内閣時代に国会で「漢字テスト」をやった人ですね。あの頃なら自民党支持層が「国会でそんなくだらない質問をするな」と非難の声を上げる一方で、民主党支持層からは擁護する声も多かったように記憶しています。逆に今度は自民党から「朝三暮四」の意味を知っているかと問われたりして、今度は逆に民主党支持層が「国会でくだらない揚げ足取りを~」みたいなことを言い出すわけで、「おまえが言うな」という気にもなります。まぁその辺もまた野党には許される範囲だと思いますが。それ以前に石井氏は「1票くらい聖徳太子で」などと放言したこともあるとか。これもジョークではあるにせよ、政治家としては口にしてはならないことでしょう。今や政権与党、責任政党の幹部ですから、こうした「軽さ」はますます以て許されないはずです。民主党と自民党、似たようなことをやっても片方の党だけを非難して片方の党は擁護する、そういう人もネット上では喧しいですが、有権者の大多数は私と同様に自民党か民主党かであるより、「与党」に厳しいようですから。

 

 ←応援よろしくお願いします

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする