Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

70年万博以前と以後

2009-09-07 21:23:57 | Weblog
『CasaBRUTUS特別編集 浦沢直樹読本』は1970年の大阪万博の話で始まる。『20世紀少年』のマンガを読んだか,映画を見た人なら,2015年に,あの大阪万博が再現される光景を思い出すことができる。美術評論家の椹木野衣は,大阪万博のリコー館のうえに浮いていた目玉状のバルーンに注目する。それはまさに「ともだち」のシンボルだと・・・。

浦沢直樹は小5のとき,大阪万博を迎える。東京に住んでいた彼は,『20世紀少年』の主人公ケンヂと同様,大阪万博には行けなかった。それは,愛知万博に行けなかったことと全く重みが違う。ただし,その会場にいたかどうかに関わりなく,大阪万博は多くの人々の記憶に70年という時を焼き付けた。当時の小中学生にとってはなおさらだ。

CasaBRUTUS特別編集 浦沢直樹読本 (マガジンハウスムック CASA BRUTUS)
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ロングインタビューで浦沢直樹は次のように語る:
僕にとっては万博のあった1970以前が「昔」で、1971年以降が「今」なんですよね。あそこにくっきりと時代の分かれ目があって、69年以前がセピア色の世界ならば、こっち側はカラーの世界。・・・それから同じころ、「未来」が銀色から白になったんだよね。例えばロケットとか、・・・『2001年宇宙の旅』を転換点に,がらりと白に切り替わる。
いったんカラーの世界になってしまうと,それ以上の「目に見える」変化を起こすことは非常に難しくなる。1970年以降,いろいろなものが洗練されたと思うが,本質は変わっていない感じがする。しかし,それが永遠に続くわけでもない。20世紀少年の世界では,人類はいったん「終末」に近づくわけだが・・・。