Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

シングルソース20万円也

2009-02-20 23:29:57 | Weblog
WIRED VISION にこんな記事が・・・

野村総研、広告宣伝活動の影響力分析データを研究者向けに販売

おおもとをたどると,野村総研は

クロスメディアによる広告宣伝効果を「見える化」するために研究者に向けてデータ提供を開始

したそうで,単価は20万円だ。「初年度100ライセンス、2012年度には300ライセンスの提供を見込んで」いるとのこと。そのとおりいけば,初年度の売上は2千万円。大手シンクタンクの売上としては微々たるものだろうが,それ以上のさまざまな波及効果が期待されていると思われる。すでに広告会社や調査会社が先行している市場だから,ありきたりの戦略では埋没してしまう。

20万円という価格は,比較的研究費が潤沢な,理工系の研究室にとっては安い買物だ。それによって,一定のデータ解析能力を持つ多くの学生が,実データを使った卒論や学位論文に取り組むことになる。何百人かの学生が分析に参加すれば,そのなかから,マーケティングのプロが思いつかないような視点での分析が現れるかもしれない。一種のオープン・イノベーションといえる。

昨日,ゼミの新入生の顔合わせ会を開いた。集まった学生たちに研究の抱負を聞いたところ,「広告」と「統計」ということばが比較的多く出てきた。そこからいずれ,データのオープン・イノベーションに参画するような学生が出てくるとうれしい。さらにいえば,一見高度な手法でそのあたりの学者を煙に巻くタイプではなく,視点の斬新さで実務家を瞠目させるような学生が現れないかと。