Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

終わりは新しい始まりだ

2009-02-25 23:43:46 | Weblog
今日は前任校を訪れいよいよ「最後の」授業に臨む。といっても,講義ではなく,学生たちに出した課題の最終発表会であった。約4時間半,11チームのプレゼンテーションには,迫力に満ちたもの,冷静かつ論理的なもの,一瞬ユニークな閃きを見せたもの,何か不幸に見舞われたとしか思えないものがあり・・・ 時間はあっという間に過ぎ去った。ご苦労様。多くの発表が,相当な時間と労苦をつぎ込んだと感じさせた。それに報いるのは,講師からの褒め言葉ではなく,これからの学生自身の人生だろう。

データをきちんと分析した上で,そこから飛躍してイノベーションを発想せよというのは,そもそも無理難題といえる。だが,その無理難題こそ,現実に求められていることだと思う。分析と発想,収束と拡散,そのサイクルが回って,さらに偶然ないし天の恵みが加わって,いいプランが生まれる。「私の発表は素晴らしかったのに,みんなバカで理解できなかった」と考える学生より,「いいポイントを突いたはずなのに,どこか間違ってしまったのは何故だろう?」と反省モードの学生により大きな未来がある。

この授業をいつもサポートしてくれた根立さんに加えて,プロジェクトメンバーの岡田さんや河合さんにもご参加いただき,貴重なコメントをいただいた。特に遠方よりお招きした強力助っ人・戸谷さん,この分野の専門家だけに,さすがプロとうならせるコメントで,この授業にずしりと重い現実感を与えてもらった。皆様に感謝。こうした授業が可能になったのは,それなりの資金援助があったからで関係者にも感謝。ただ,コスト等々の制約で,こうした試みを今後継続・発展できそうにないのは残念なことだ。

これは,自分本来の研究に立ち戻れという天の声と解すべきかもしれない。データを用いてアイデア発想を行うという「錬金術」の探求はしばらく頭の片隅に追いやる(そのほうが,いいアイデアが生まれるという研究もあるし・・・)。で,今後しばらくは「クルマ」「ロングテール」「クリエイティブ」などに注力する。