Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

美と脳,男と女

2009-02-28 23:29:14 | Weblog
WIRED VISION に興味深い記事:

男と女は「美」の把握が異なる:脳の研究で違いが明らかに

元になった論文をダウンロードできないかと大学図書館の電子ジャーナルのページで調べるが,無理のようだ。記事からポイントを拾うと,
1)美しい画像に対して,男性では空間の絶対的座標を把握する部位が活性化する
2)女性はそれに加え,相対的に(カテゴリカルに?)空間を把握する部位も活性化する
3)こうした性差は,人類の進化プロセスでの性役割を反映していると考えられる
ということのようだ。

最後の進化心理学的な説明がどこまで妥当かはともかく,美しいものへの選好(aesthetic preference)は空間認知のメカニズムとともに進化してきたという主張は興味深い。ただし,何を美しいと感じるかには個人差があり,脳内の同じ機能を使いながら,違うアウトプットを出しているということだ。

選好の進化に関する研究を,より純粋な(つまり他の価値に還元しにくい)レベルで行なうには,aesthetic preference というキーワードに注目する必要がある。