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Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

焦りの季節

2007-10-24 23:46:27 | Weblog
「銀行」調査票を同僚と打ち合わせ,調査会社へ見積もり依頼。随分時間がかかってしまった・・・調査設計は一種の回路設計であり,細かなロジックに気をつかう。製品が複雑になるほど調査票も複雑になる。前職では,社内にあらゆる業種・分野の専門家がいて,たちどころに問題が解決した。その点で組織の知というものはすごい。

そのあと,大学院生による大学院進学説明会で司会を務める。教員代表として登場してくれた同僚の才気溢れるスピーチに感心する。彼のいう「一流の心」とはなんだろうか・・・「虚学」ではない「実学」とは・・・いまの職場に来てよかったと思うのは,切っ先鋭い知性も持つ(そして人間性にも優れた)若き同僚たちとの出会いである。

院生たちも,集まったアングラたちに,熱く大学院の魅力を語り,また冷静にその得失を語ってくれた。B3とM1~2は年齢的にさほど変わらないのに,その間に大きな成長が見られる(B1とB3の間もそうだが)。彼らの成長速度は,ある年齢を超えたオヤジには驚愕でしかない。

年末が近づくにつれ,焦りを感じ始める。再来週に部会発表があり,それまでに複雑ネットワーク上のクチコミ伝播シミュレーションを進展させる必要がある。そのあと,自由記述データを用いた非補償型モデリングのリベンジが待っている。そして,決して忘れることは許されない「あの」データ分析も・・・。それ以外にいくつかあって,修論,卒論の提出も・・・。

全部こなせるのだろうか・・・という不安のなか,来週沖縄出張があり,モーターショーも始まる。

本日買った雑誌:

pen No.209「1冊まるごと,現代アート入門!」 ・・・影響受けてます。
まっぷるマガジン No.473「沖縄へ出かけよう」

Creative Management

2007-10-24 11:29:02 | Weblog
昨日は東京への往復の間,佐藤悦子『SAMURAI佐藤可士和のつくり方』読了。本屋に並んで平積みされている,ご主人の著書『佐藤可士和の超整理法』と合わせて読むと,佐藤可士和あるいはサムライが立体的に理解できるだけでなく,親しみや好意がわいてくる。悦子さんは,可士和さんの単なる「マネージャー」であるだけでなく,ブランディングを心がけているというが,まさにそれを体現した「メディアミックス」である。

この本には「あり得ない!」という著者のことばが随所に出てくる。広告会社の営業や外資系化粧品会社のPRを経験した彼女の「常識」が,天才的なクリエイターの行動に制約を課すことで,アートとビジネスを結びつけた新しい試みを生んでいる。ビジネス上のパートナーであることと夫婦であることの間に,特に切り替えが必要とは思わないと彼女は言い切る。可士和氏自身,彼女がいることで360度の視野が手に入ったという。

クリエイティブにマネジメントが必要なことはいうまでもない。ふつうクリエイター組織には管理・支援スタッフがついているし,広告会社であれば,クリエイターと営業,マーケなどのスタッフがお互いに縦割り組織に属しつつ協働している。それがどこまでクリエイティビティを生み出すマネジメントになっているかは,結局,ミクロな関係がどうなっているかに依存する(さらにそこに愛が必要かどうかまではわからないが・・・)。

ちなみにこの本は,カバーを取ると銀色の本体が現れる。そうした見えないところへのこだわりが,著者の本領なのだろう。