Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

中年童貞 vs. おひとりさま

2007-10-17 22:33:22 | Weblog
昨日は「クルマ」の調査票にようやく目途がついた。もちろんこれからが本番であり,どれだけ調査できるか,まだまだゴールは遠い。夜は丸の内で開かれた,MBFのパーティに出た。参加者の多くは大企業のビジネスパーソンたちだが,そのなかに同じビルにオフィスを持つ,若い起業家たちが混じっていた。彼らは知らない面子ばかりのパーティで,積極的にネットワークを広げようとしていた。ビジネスでの成功を目指す人は social でなくてはならないようである。

行きの電車で読んでいたのが,渡部伸『中年童貞』。一部の男性が「恋愛市場」から完全に疎外されている。これは少子化を加速させる大問題だと著者は指摘する。なぜ女性と付き合えないかというと,容姿や経済力の問題もあるにせよ,最終的にはコミュニケーション能力の欠落に行き着くという。それについては,ぼくにも共感できる部分がある。パーティで,面識がない女性になかなか声をかけにくい。単なる社交でしかないのに,つい遠慮してしまう。

一方,帰りの電車で読んだ上野千鶴子『おひとりさまの老後』は,その正反対の極にある。実際,上述の本で,上野氏はコミュニケーションできない男の苦悩がわかっていない「強者」だと非難されていた。彼女にすれば,そんなの関係ねえ,という感じだろう。女性はずっと未婚でいるにせよ,離婚するにせよ,あるいは夫と死別するまで暮らすにせよ,最後はひとりで生きることになる(シングルアゲイン!)。そのとき,まさにコミュニケーション能力が活きてくるのだ。こちらはあくまで前向きで,たくましい世界。

それはともかく,今日はいくつか軽めの会議があって,夕方から「サービス」調査票の仕上げ作業。早く終えて,学会に向けた研究を開始せねばならぬ。あと,あれやこれやも。

今日届いた本:
大塚裕子,乾孝司,奥村学『意見分析エンジン:計算言語学と社会学の接点』コロナ社