Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

「生成的」社会科学

2007-10-15 22:37:37 | Weblog

今日は卒論打ち合わせ一件。アフィリエイト広告に関するエージェントモデルの骨格がだんだんできてきたが,シミュレーションはまだまだ先である。どこに面白さが現れるのか,いまのところ見当がつかない。

今日届いた本:

Joshua M. Epstein, Generative Social Science: Studies in Agent-Based Computational Modeling, Princeton University Press  ・・・人工社会研究の第一人者といっていいだろう著者の論文集。有名なアナサジ・インディアンの移動に関するシミュレーションを始め,多種多様な分野への応用が集められている。

彼のいう generative social science とはどう訳せばいいのだろう。「生成的」ではおかしいだろか? 生成的とは,シミュレーションはやってみなきゃわからない,疑似進化プロセスのなかで,瓢箪から駒が出てくるのを狙う,というと大誤解だろうか。

駅ビルで讃岐うどんを食べ,駐車券にスタンプを押してもらおうと思ったら,その金額では足りないという。そこで本屋に行き,昨日あたりから気になっていた次の本を買う:

有田隆也,心はプログラミングできるか:人工生命で探る人類最後の謎,ソフトバンク・クリエイティブ ・・・こちらは人工生命の研究者による啓蒙書。二色刷で参考書のような印象。副題を見て一瞬「人類の最後はどうなるかという謎に対するシミュレーション」かと思ったが,「人類にとって最後の謎である心を研究する」ということのようである。そりゃそうだ。

佐藤哲也,未来を予測する技術,ソフトバンク新書 ・・・著者は地球シミュレータの研究者とのこと。「経済・社会現象のシミュレーション」について言及している箇所がある:

(諸々の理由で経済・社会現象の)・・・正確な予測モデルを作ることはできない。しかし逆にだからこそ,誰もが手頃に参入できる,興味あるシミュレーション分野であることも事実なのだ。

どうせ不正確なんだから,好き放題できる? はい,そうさせてもらってます(苦笑)。これをもって生成的(generative)と呼ぶ,などというと,ふざけすぎか。

一方,「サービス」満足度調査のため,あがってきた調査票に手を入れる。このままでは「専門家」に見せられない。「今夜」中に終わらせることができるのか・・・この作業は,あんまり「生成的」でない気がする。