Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

青木昌彦氏の「履歴書」

2007-10-02 11:19:08 | Weblog

日経「私の履歴書」で,昨日から青木昌彦氏の連載が始まった。京都大学,スタンフォード大学で教え,ノーベル経済学賞に最も近い日本人の一人といわれている青木氏。連載の初回では,来年から世界経済学会連合の会長に就任すると書かれたあとで,「前任者にはサミュエルソン,アロー,センら著名な経済学者がいるが・・・」と付け加えられている。ここに挙がった名前は,みんなノーベル賞受賞者である。

連載2回目の今日は,1960年,羽田闘争で逮捕された頃のエピソードが紹介されている。東京大学の学生であったため,牢名主にも看守にも一目置かれたという。「古きよき」時代であったわけだ。これからの連載で何が語られるか・・・日本の経済学者のなかで「際立つ」人だけに,今後が楽しみである。

ところで青木氏には,「啓蒙」精神とでもいうべきものがあり,専門的論文だけでなく,一般向けの文章を多く書かれている。それは,20歳そこそこでブントの創立メンバーに名を連ねたときに,すでに発揮されていた資質だといえる。青木氏ほど華々しい研究成果を収められないとしても,現実に向き合い,一般向けに明晰な論考を発表していく精神は真似したいと思う。

・・・「まー」それはともかく,今日は久しぶりにゼミを開き,「論文の書き方」なる講義をしたあと,M2,B4それぞれの論文の打ち合わせをした。1つは某掲示板から集めたテキストの分析,もう1つはアフィリエイト広告のエージェント・シミュレーションを行なう。 あと3ヶ月前後。

昨日,向こう数ヶ月に直面するであろう「研究」計画についてごちゃごちゃ書いた。しかし,そんなことは何とかなるもんだし,何とかならなくても何とかなるわけで,それよりむしろ,もっと長いスパンで研究計画を考える必要がある。長く一緒に併走してくれる,信頼できる研究パートナーを見つけることも重要だ(もちろん,孤独に耐える強さが,別に必要であることは確かだ・・・)。

本日届いた本: 

バーンスタイン『芸術の売り方』英治出版 ・・・コトラー先生推薦の芸術マーケティングの本。いつか Caves, Creative Industries と読み比べたい・・・。

長沢伸也『ルイ・ヴィトンの法則』東洋経済新報社 ・・・もりだくさんの「法則」が列挙されている。書評でもよく取り上げられているという印象。この研究グループの出版活動は活発だ。

『技術とイノベーションの戦略的マネジメント 上・下』翔泳社 ・・・この分野の網羅的な教科書。豪華な執筆陣による権威ある「事典」であり,うやうやしく書棚に直行・・・では,もったいない感がある。