「婿殿、明日は何の日がご存じでしょうね」
「は、いえ何の日でしたかね」
「母の日ですよ、もしやお忘れではないでしょうね」
「でも、秋に敬老の日のお祝いをしたではないですか」
「それはそれ、これはこれですよ」
「わかりましたよ、クアトロでまた鯛でも食べますか」
「そうそれ、それがいいですね」
『ヒデも余計な仕事をしやがって、すっかりばあさんは鯛好きになっちまった』
(ぼやく婿殿であるが、真鯛の神経締めがヒデの仕業という裏付けは取れていない)
母上も婿殿もラッキーなことに、クアトロには上物の天然真鯛が入荷していた。
桜の開花時期の天然真鯛は産卵を控えており最高に美味しい時期であり、桜鯛と呼び珍重している。
今日の天然真鯛は母の日頃が最高に美味しく、カーネーション鯛と呼びこれもさらに珍重されている。
(カーネーション鯛という名前の裏付けも取れていない)
クアトロのカーネーション鯛はとても目が綺麗である。
アイシャドーを書いたようにも見える。
これは、鮮度の良い証拠である。
(目の回りが青光りしている鯛は鮮度が良いという話は裏付けが取れている)