ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

20XX年秋

2010年09月19日 | パスタの話

1009191 20XX年の秋、クアトロの孫娘はクアトロの爺に話しかける。

「ねえ、じいちゃん私が生まれた時イタリアンのお店をお父さんと一緒にやってたって本当」

普段は無口で厳しいクアトロの爺がめずらしく語り始める。

クアトロの孫娘は、クアトロの爺の加齢臭に耐えながら、その話に耳を傾ける。

「そうさなあ、おまえが生まれた年はやたら暑い夏じゃった」
「おまえが生まれるとそのやたら暑い夏が終わって、収穫の秋が訪れたんじゃ」
Photo「そう、おまえの父ちゃんがおまえが生まれる日に市場で仕入れてきたのは、それはそれは立派なサンマにでっかい長万部の黒ホッキや美味しいシマエビとかあと旬の走りのマツタケとかもあったなあ」
「おまえの父ちゃんはおまえが生まれてくれたのがよっぽど嬉しくて、その日市場にあった美味しいものをたくさん買ってきたんじゃ」
「お店のお客さんもみんなおまえの誕生を祝ってくれたんだ」
「そう云えば、あの時のマツタケとカラスミのスパゲッティは伝説の美味しさだったなあ」

遠くを見つめるクアトロの爺である。

コメント
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