昭和15年、上野のビアホールはビールの泡の量が多すぎると裁判所に訴えられた。泡までビールとして売って儲けているという原告の主張である。裁判の結果は、泡の方がビールよりアルコール濃度が高いのだから良いだろうということになった。現代では、泡の無いビールはクレームの対象である。泡は、ビールの炭酸ガスが余分に抜けないための蓋の役目もする大事なものだというのは、今や常識になっている。
平成19年、豊四季のクアトロ・スタジオーネでは、「シードルとブドウのゼリー」が販売された。小布施のシードルにブドウを忍ばせたゼリーである。そのゼリーを口に含むとシードルとブドウがそれぞれの香りと甘み、果実味を主張しあい、そのうちに絶妙な調和を見せる。ほんのりアルコールを残した大人のデザートである。そして、そのゼリーには泡がコーディネートされている。さて、この泡はデザートの一部なのか、今のところお客様から訴えは出ていない。
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