goo blog サービス終了のお知らせ 

Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

貴い葡萄房の作為

2006-10-20 | ワイン
摘み取りの済んだ斜面の一角だけに貴腐葡萄が大切に残されている。もしかすると明日にでも摘みとられるかも知れない。

地面に捨てられた朽ち行く葡萄は発酵して、斜面にそよぐ秋風はいくらか鼻につく腐敗臭を運び、実を奪われた抜け殻のような葡萄の生命力の衰退は一面を覆う。

夏時間でまだ明るい夕方の太陽は、じわじわと傾きかける。色づきはじめた葉々は、老いた緑の葉の間に見え隠れする。

中秋の夕刻。斜面上部から萎びた葡萄の房へと、山城の影は長く尾を引く。








貴腐の生えた葡萄は、密集することなく思い思いに間隔を開けながら枝にぶら下がる。貴い愉悦の営みに耽り、ひっそりと息づき、脈打つ、その房々。あたかも芋虫が草木を巻き込むかのように、細い枝などを張りつける作為的な様相はなんとも面映ゆい。










参照:
貴腐葡萄の収穫モーゼルだより
新月過ぎの葡萄の精 [ アウトドーア・環境 ] / 2005-10-10

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 栗色のザウマーゲン | トップ | 苔生した貴腐葡萄の苦汁 »
最新の画像もっと見る

6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
美しいですね (seedsbook)
2006-10-20 01:53:54
貴腐菌のついたブドウを丁寧に収穫するのは、さぞ大変な仕事なのでしょうね。

今頃の収穫なのですね?

見てみたいものです。
返信する
葡萄のフェロモン (pfaelzerwein)
2006-10-20 03:23:38
実は歩いていて、seedsbookさんに見せたいなと思う形状のものに気が付きました。秋は不思議な形のものが多いです。



植物の光合成や呼吸を肌で感じることはあまりありませんが、去年も同じ時期に同じようなことを感じているので、やはり葡萄のフェロモンでしょうか。



林檎なども同じかもしれませんが、ワイン畑はこの時期特別に魑魅魍魎としたものが存在します。こちらは本年に限れば既に終焉ですが、上のリンクのように完熟の遅いモーゼルはまだ残されているようです。
返信する
「美貌の果実」 (shamon)
2006-10-20 21:40:24
貴重な画像を拝見いたしました。なんとも神秘的な紫色が素敵です。



>貴い愉悦の営みに耽り、ひっそりと息づき、脈打つ、その房々。



葡萄が生る様は不思議に人の心を捉えますね。

山梨のワイナリーを描いた川原泉さんの「美貌の果実」が思い浮かびます。

返信する
垂れ下がる重量感 (pfaelzerwein)
2006-10-21 13:08:55
小型カメラでどれほど色が出ているか自信がないですが、葉っぱの緑色からある程度想像できるかと思います。



変な存在感があるんですね。垂れ下がる重量感もありますし、流石に干し葡萄状になると軽そうですけど。他の果実だと、渋柿などが、鳥に突付かれながら何時までも木に残されるでしょうか。イチゴ類も乾燥してきますが、房がない。
返信する
Unknown (seedsbook)
2006-10-23 02:24:28
魑魅魍魎としたものがあるワイン畑。。。

素敵です。

想像をかきたてられますね。。



どんなものが見えるのでしょう。

返信する
色々、出ますよ。 (pfaelzerwein)
2006-10-23 06:19:24
是非是非、一度実りの葡萄畠にお越し下さい。色々、出ますよ。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。