Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

書き止める符に胸詰まる

2019-06-25 | 
バルコンの外気温をモニターしようと思った。そしてラズベリーパイを設置しようとしたら面倒なことになってしまった。先ずは新しいWLANにログインしていなかったので、そこから弄ろうとしたら、嵌ってしまった。いつものように躓いたのはVNC接続で、PCから制御したいからだ。タブレットでは使い難くい。

以前は問題が無かった筈だが、ラズベリーで使っているリアルVNCサーヴァーとPCで使っているウルトラVNCヴューワーの相性が悪いらしい。ネットでも報告されている。なぜこのような設置になっているのかは自分でも忘れてしまっているので記録を読み返さなければいけないが、弄ると初めから全てやり直しで面倒で仕方がない。なんとか誤魔化して使える方法を探っている。要するに端的に言えばネット内での相互リモートコントロールのネッツワークだ。

日曜日の音楽聴視計画を時刻表にしてこなした。チューリッヒからの中継はまだオンデマンド化されていないがそれをダウンロードすれば十分だ。保存すべきものかどうかも画像を流している限り分からなかった。午後のアムステルダムからの中継と夜分のクリーヴランドからの中継のプログラムが重なっていた。指揮者がビシュコフで、アメリカでは奥さんのラベック姉妹が出るというものだ。生中継の録音をしくじっていたので後半だけで良かったのだが、同じ我が祖国からの選集を両管弦楽団で比較することになった。コンセルトヘボーも現在調子が悪く、クリーヴランドもコンサートマスターがMeTooで居なくなって大変具合が悪くなった。

結論からするとコンセルトヘボーの寄り切りである。名指揮者が振ってもそれ以上には弦楽器も弾けてはいなかったが、昨年のクリスマスでも見せた慣れがあるようで、音楽的に良く馴染んでいた。クリーヴランドの方はやはりチグハグしていて、現在の状況は世界の頂点からは大分遠い。弦楽が締まらないと急に管のアンサムブルもしっくりこないようになっている。再来シーズンに欧州ツアーがあると聞くが今の二人のコンサートマイスターでは止めた方がいいぐらいである。失望するぐらいならば行きたくない。

その前に放送されたフィラデルフィアからのマーラーの九番は聞きごたえがあった。弦楽のしなやかさはどうだろう。そこに網の目の様に対位法の木管、金管が絡む綾は、到底昔のカラヤン指揮の録音などとは比較にならないほどの精妙さだ。現在この組み合わせに対抗するだけの細やかな表現が出来るのはペトレンコ指揮ダイシン率いるベルリナーフィルハーモニカーしか存在しない。因みにペトレンコがこの曲に取り組むのは再来年シーズンである。

そのマーラーサウンドを聞いていて思い出したのはやはりこの楽団をMeTooのレヴァインが振った録音である。それにしても流れてしまわないネゼセガンの指揮もセンシティブ且つ立派だ。流石に終楽章はもう少し凄みがあっても良かったと思うが、生中継前に舞台袖で話している通りの最後の音符をそっと置いて書き止める感はとても出ていたと思う。それが音楽性なのだが、情感豊かな表現の活きる指揮者であるが、あの嘆きの動機の歌わせ方は最初から胸が詰まる。まさにこれが音楽でありその芸術性なのだ。ハイティンクが最後にもう一度と指揮棒を握って、コンセルトヘボー管弦楽団が幾らまじめに演奏してもその露ほども音に出来ないのが音楽なのである。二楽章の最後のファゴットのなんと素晴らしいフーモア!今こうやってあのバーンスタイン指揮演奏を一つづつ乗り越えていけることの素晴らしさ。

もう一つ明け方にロスアンジェルスからの放送を録音しておいた。予想以上にサロネン指揮が好演していたが、やはり「春の祭典」になると厳しい。到底メータの指揮には及ばない。それでも楽団も欧州の二流所とは異なり明白に発音するので、最近のお衰えを上手く隠している。嘗ての欧州ツアーでの成功を少しだけでも彷彿させた。やはりこの指揮者は西海岸で活躍すべき人だと思った。楽団はある程度やれることは分かっているので、再放送シリーズの七月末のメータ指揮から九月のバレンボイム指揮辺りまでの今シーズンの演奏会再放送が待ち遠しくなった。

今週は流石に暑いのでワインも進まないだろう。先日空けたような泡ものでも駄目だろう。先ずは涼しい内に陽が陰ってからリースリングでも飲んでおこう。食事も煮豚とジャガイモで食い貯めだ。



参照:
蒼空のグラデーション 2018-09-08 | 音
沸々と、ああ諸行無常 2019-05-25 | 音

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