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Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

豚に小判の消費者保護

2014-07-19 | マスメディア批評
ラディオは、ウクライナのマレーシア航空機撃墜事故に続いて、ガサ地域の惨状などを伝える。また、シュトッツガルトの駅開発反対運動で両目を失った年金生活者の事件で裁判が始まることで、詳細が報道される。その後、本日ブリュッセルで閉会するTPA交渉に関して専門家に電話を繋いで、その先行きと問題点を聞く。要するに日本におけるTPPと同じで、遺伝子操作で作られた農産品などだけでなく、特にドイツにとっては消費者保護全般ということで簡単には交渉は纏らないとする。

こうした多国間の自由貿易圏締結への合衆国の狙いは、相対的にその地位が弱くなってきた合衆国の建て直しで、中国を筆頭とする多極化の中でその権益を護っていく方法だということだ。要するに、秘密交渉はある程度致し方ないとしても、国民が最終段階で選択できないようなこのような交渉は駄目だということで、結論は合衆国の政治経済力の低下が明白にされたということになる。

さて、悪夢のようなマレーシア航空機撃墜であるが、SWR文化波などは原因調査の世界的な動きへとその速報性を貫いているが、FAZは社説にて、今回の一連のウクライナ紛争が、プーティン率いたロシアに責任があったことを明らかにする。クリム半島については付け加えることもないが、現在進んでいる状況はロシアの関与があってこそであることは明白だとする。

当然の事ながら高度一万メートルを越える飛行物体を撃墜する武器はロシアからの援助であり、前日あたりから盛んに撃墜行為が行われていた中で起こっているのである ― 今回の事件を受けて即ルフトハンザなどは紛争地回避ルートを設定した。そしてロシアへの更に厳しい制裁の一方、最後まで政治的な決着を目指していくことの必要性が説かれている。

そもそも紛争の当事者である分離独立派は、キエフで起こったような市民の大規模な運動によって、分離独立を進めようとしたが、市民の運動が思ったように展開することなく、ロシアからの武器での武装蜂起となったとする。そして、今回の事件の責任はたとえどちら側の責任でもあろうとも確りと責任追及する事が必要だとしている。そもそも老朽化したウクライナの正規軍の装備を考えればロシアの直接の関与しか無いと言うのが結論のようだ。

個人的には、陰謀論とは与しないが、ロシア軍が背後に控えているとするとやはり巧妙極まりないプーティンの作戦そのものであり、そもそも当初から反ユダヤなどの情報で、故意にネットを通して陰謀論を世界中に撒き散らしているのもKGB関連の組織なのだろうか。しかし武器の供給に関しては、今回民航機撃墜に見るように明らかに碌でもないチンピラのような独立武装グループが当事者なので、教育を受けたロシア軍が本当に直接こうした高性能玩具をならず者に渡すとは思えないのである。そうなると一手そこにかます形で、いつものようにロシアマフィアがそこに絡んでいるとする方があたっているのだろう。

民航機撃墜のような大事件を起こらせて、国際的な緊張関係を高めて得するのはウクライナの分離派が筆頭であり、その背後にロシアがいると推測するのが正しいのだろう。しかし、今回の事故で154人ものオランダ人の命が奪われてその多くが休暇のための子供たちだとすれば、ロシアの国民も考え直すのではなかろうか。どの国も共産主義の一党独裁から解放されると民族主義的な方向へと振り子が戻るのだが、そろそろロシアも合衆国のように過去の超巨大国の利権を維持するだけでなく、将来性を考えて現実に対応していかなければいけないのではないか。

それにしても繰り返しになるが、300人規模の罪のない市民が殺傷されるのは、セルビアが起こした国際法廷で裁かれる虐殺に等しく、イスラエルのその罪にも近づいている。日本政府などが政治的な武器とする人攫い程度の話ではなく、当時も大韓航空機がソヴィエトに撃墜されたことを考えれば、ある緊張した政治情勢の中で起こったことに他ならないのである。今回も欧州から南方面に向かう日本航空機でなくて、マレーシア航空機であっただけなのだ。



参照:
「普通の国」になった実感 2014-07-15 | ワールドカップ06・10・14
プーティンの情報宣伝活動 2014-03-26 | 歴史・時事
ヘーゲル的理性の策略? 2014-03-04 | 文化一般
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