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Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

オペルなんかどうでも良い

2009-03-07 | 歴史・時事
メルケル首相やツグッテンベルク産業大臣はそのように語って、米国企業アダム・オペル社支援には厳しい言葉を投げ掛けている。本日行なわれた会議の結果は知らないが、重要な点だけを挙げておく。

オペル程度で尚且つ上場されていてドイツインデックスDAXにリストアップされている「ドイツ主要企業」で同様な援助を秘密裏に求めて来ている企業は数多いと言う。首相の言うように銀行だけは別格であるとする考え方は、シュレーダー前首相が労働者の味方面をして一時的に歴史ある建設会社を救って、人気を稼ぎ、まもなく消滅させたのに比べれば遥かに見識ある政治姿勢であるように思われる。

大災難と大臣が表わすように、GMに劣らずOPELの状態は甚だ具合が悪い。数年前に現在のGM欧州代表フォルスター氏がやり遂げた仕事は、結局研究費を流したとする理由でパテント類は総てデルウェアのGMの子会社に帰属するとした構造改革であったようだ。結局、オペルが一人立ちして車を生産したとしても一台あたり比率5%をその管理会社GM GTOにライセンス料として納めなければいけない事になっている。2005年までは、日本で五万ほど売ったオペル車など世界中から5%を徴収していたこととは大きな違いである。

オペルがこれまた安全基準担当のサーブ社や英国のヴォザール社の開発研究を請け負っていたとしてもその意味は殆どない。なにも優秀なエンジニアーはオペルなどでは働いていないと言う技術人事レベルの問題を言うのではなく、要するにオペルは独立しても只の「オペル販売網」の意味しかないと言うのである。それはもともと自らのブランドを世界で走らせる事もなく、世界最大の多国籍企業であったGMの企業構造であったのだが、一体その儲けがワーゴナーら幹部の膨大な私有財産になっているかと思うと、オバマ大統領でなくとも「恥じを知れ」と言わねばならない。

同様なやり方をGMは世界中で繰り広げてきた訳で、そうした構造が壊滅状態となった時、ハイエナが食い荒らした後にはなにひとつ残らない。ポーランドを通過したロシア赤軍と同じである。これが悪しきグローバリズムの仮面を剥いだ真実の姿なのだ。そして米国の多国籍企業は世界中でそのような資本投資の方法を行なっておりありとあらゆる米国企業やブランドは同様な背景や特徴をもっていると言っても必ずしも的外れではないであろう。

そしてなによりも、政治は労働市場を守るべく、社会主義者達が人気稼ぎを繰り返してきたが、それらは債権者と同じく労働利権という既得権の餌にぶら下がる政治屋に違いない。工業先進国においては、少子高齢化と労働者需要減少によってそうした社会主義者の役目は遠に終った。

同時にドイツ共和国連邦連合政権は、マネージャー給与の制限に合意した。要するに、ドイツにおける世界的競争力の低い労働市場を守るとする根も葉もなく現実味のない再建計画を提出するマネージャーも、自らの職場を守ろうとする労働組合も同じ穴の狢であるのは、そうした既得権の存在する社会にて当然のことであろう。

全く同じ意味において、リスクマネージメントとか、まるで世界に時の流れのない静的な世界観を持つ市民も、その社会において同じ穴の狢であることを自覚すべきなのである。恥じを知れ!



参照:
架空のクラフトマンシップ  2005-01-13 | テクニック
自宅よりも快適な車内  2005-02-14 | 歴史・時事
覚醒の後の戦慄  2005-10-15 | 歴史・時事
短所は短所として  2006-03-16 | ワイン
神の手に手を出すな!  2008-11-19 | 生活
発動技術的連鎖反応  2008-12-06 | 歴史・時事
決して満ちない底無しの樽  2009-02-23 | 歴史・時事
メイド・イン・ジャーマニー神話の崩壊 (クラシックおっかけ日記)
コメント (2)
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