Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

我慢し切れない美味さ?

2009-03-03 | 試飲百景
幾らかは地元の景気に貢献出来たろうか?少なくとも日本から訪れたワイン愛好家に、現在のドイツリースリングの頂を僅かながらでも垣間見て頂けたろうと自負する。

予定通りフォン・バッサーマン・ヨルダン醸造所に参上する。先ずは小手調べに2008年産グーツリースリングを試飲する。新鮮さはあるがかなり硬い印象で今飲むには一寸つらい。もう二週間ほどすればまた印象は違うだろう。

内心、思っていた通りこれならピクニックに用意しているフォン・ブール醸造所のそれに勝ち目があるわいなとほくそ笑む。

これに続いて、グランクリュへ昇る階段として2007年産キーセルベルクを出して貰う。なかなか良いのだが、新鮮なときを知っている者としては酸が薄らいだ分、物足りない。それでもなかなか飲める。しかし、態々日本へ持ち買えるものとしては今やお奨めはしない。まだまだこれからも可能性のあるワインとして2007年産グラインヒューベル辛口を奨めるが、これは、初めにあった残糖感が益々消えて素晴らしくミネラル風味が澄んで来ていて、改めて感心する。

そして醸造所の地所の地図が手渡される頃には佳境へと入るのである。

さて四本目から六本目へと2007年産のグランクリュのホーヘンモルゲン、ペッヒシュタイン、イェズイーテンガルテンと三つのグラスを並べて貰う。この時期に再び試飲が出来るのはなんたる喜びか?僅か購入したのは二本なのだが、完全に一本分ぐらいは試飲でご相伴させてもらった。

「これは美味い」との反応がホーヘンモルゲンに上がるのに比較して、ペッヒシュタインには沈黙が流れる。やはり玄武岩のリースリングの瓶熟成が分からないと、あの開いたときの素晴らしさは全く想像できないのが当然である。

それに対してイェズイーテンガルテンは独特の重厚さと分厚さに印象付けられたようで、なにも栗入りのザウマーゲンでなくても焼肉やスキヤキにいけるという事になった。

ペッヒシュタインは午後に行くビュルックリン・ヴォルフ醸造所の方で堪能して貰おうと思い、ホーヘンモルゲンがやはり飲み頃も比較的早い事からお奨め品と予想通りの結果である。

そしてヴァイスブルグンダーの清澄さに声が上がり、反面ソーヴィニオンブランでは若干引けをとる。そうこうしていてもカウンターに飾ってあるアイスヴァインが気になって仕方ない。ムスカテラー種である。最新のご案内の文章の内容と混同して、収穫場所などを漏らしながら試飲の可能性を訊ねると、「私は二週間に一度しか来ていないから、開いているのがあるかしら」と探してくれる。

飲むや否やその後味の切れの良さと粘度の低さに、「これは飲めるわい」と満悦する。価格もハーフで39ユーロと比較的安く、同じようにお客さんも満足されたようで、これもお奨めする。

「美味くて、待ち切れない」と言うので、「二三年は待つのだぞ」と念を押しつつ、ホーヘンモルゲンを二本購入したのはかなり賢い判断と感心するのである。

「この人、中川さんって言う大臣ではないですから、大丈夫」と飲み残しのアイスヴァインを賑やかに飲み干し、いよいよピクニックに出かける。
コメント
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