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Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

若いとは不均衡の能動性

2009-03-04 | アウトドーア・環境
喉を閏わし素晴らしいアペリティフに舌鼓を打ったころで、散策へと出かける。冷えたワインにシュヴァールテンマーゲンのピクニックが愉しみだ。

グラインヒューベルからラインヘーレの方へと上がり、向こうの尾根筋にライタープファードの地所を見る。手前に対峙するお碗の中にあるパラディースガルテンからランゲンモルゲンへと伸びる斜面は、最もたおやかで堂々としたプファルツ耕作地の斜面の一つである。

午前中の霧も晴れて、幾らか霞みの掛かったダイデスハイムの町からつき出る塔が春の陽を受けて美しい。予定されていたような強い陽射しではないが歩くには丁度良い。

斜面の中腹から尾根筋へと登るようにキーセルベルクの上端へと出る。そこから向きを戻すように再び町の方へと広い尾根を降りて行くと、ホーヘンモルゲンの頭に突き当たる。更にその尾根を越えるような次の谷へと降りて行くと、正面にはフォルストの斜面が臨まれ、谷間にはモイスヘーレが細く足元に伸びて、向こう側へとヘアゴットザッカーの斜面がゆっくりと上って行くのが見える。

谷を少し降りるとそこはカルクオーフェンの土壌である。足元に石灰を見つけながら、そこでピクニックとする。思いのほか気温が上がらなく、吹かれる風上は寒く、残念ながらワインは十分に開かなかった。先ほど試飲したアイスヴァインを中心に時間軸による減衰や伸びや切れの話となる。

結局、プファルツのリースリングは比較的長い時間差のなかで色々とバランスを取っているのではないかとの考えが浮かぶ。要するにそれに反して、熟成感が出るまでは切れの良いのがラインガウの土壌でありリースリングである。フォンブールのグーツヴァインは、舌の先端と後ろの感じるところの味覚でバランスを取っていて真ん中ほどの旨味がないとする意見も真実である。それをスマートで現代風と呼ぶかどうかは別として、そうした味覚の差を時間軸におくかどうかの疑問も生まれる。

流石に音響の専門家としての感覚の捉え方はこれまたワインの味覚にも役立つ分析方法に違いない。それにしても若いというのは、そもそもそうしたアンバランスの面白さやダイナミック感ではないかと改めて思うのである。

系年変化による耳の老化の自覚の仕方なども、そうした経験智が物言うとすると、なるほどワインもその系年変化をバランスの変化としてじっくりと追う必要を再認識するのであった。



参照:
味わい深い葡萄の樽 2008-10-14 | 試飲百景
コメント (4)
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