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Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

世界の机の前に齧り付く

2008-06-15 | テクニック
楽しみにしていたスピーカーの音出しが出来た。スピーカーは三十年以上前に手に入れたミキサー台に載せるモニタースピーカーである。今でもラジオスタジオなどでは音像定位のモニターにオシロスコープと一緒に使われている「オーラトーン5Cモニター」と呼ばれるスピーカーである。

入手した当時はTVの副音声など幾らかマルチメディア機能やホームシアターの概念が一般的になってきた頃で、このスピーカーもそのような目的で増産されて販促されていたように思われる。実際、既に始まっていた外国語放送の副音声のためにTV受信機につけた副音声分派機に、音声増幅器を通して、これを取り付けたように覚えている。

そのような理由から、このスピーカーのまともな音は当時は殆ど聞いたことがなくて、その定位感すらあまり馴染みなく、若干押し付けがましい音の周波数の中域の張った印象が強い。

元々がFM放送などの声を含む放送の至近距離でのチェックにも充分に使えるゆえに、この度の目的であるネットラジオの聞き易い環境の設定に貢献するべく、PCで使えるように音響増幅器を注文した。

抵抗値8オームのスピーカーながら音量は十分である。音質もサウンドボードと電源部からのヘッドフォンでも確認出来る所謂僅かなブーミングは避けようがないが、それをいうならば通常のPCで至らずスタジオ用のマッキントッシュなどを購入しなけれないけない。

そうした前提条件においては、このモニタースピーカーを十二分に気持ちよく鳴らすことが出来る。ネットラジオの音質のレヴェルを確認できる。車のラジオでもなかなか優れているフランスの放送局などでの管弦楽団のプレゼンスとホールの空間の再現などなかなか素晴らしい。

ポップスにおける人為的な音場も苦にならないのが、本格的なオーディオ装置に比べて勝っている。同様に、ナレーションが胴声にならずに子音も聞きやすく、映画DVDの効果音や台詞も明白に響く。これはスピーカーの個性にもよるのだろうが、過不足なくバランスよく鳴らす増幅器には感心する。その音響に劣らず迫真に満ちた巨大モニターかプロジェクターが欲しくなるぐらいである。

また不思議なことに、スピーカーを壁に近づけて机の上において設置していても篭ったような低音の感じがなく、自然なバランスで響く。これならばスタジオの調整卓の上で響く音響とそれほど変わらない。

ジャズのベースなども心地良い。こうなると世界中のラジオでいろいろな言葉や音楽が聞きたくなる。何やら昔少しやっていたBCLの世界のようで、益々机の前にかじりついてしまうようで運動不足が心配である。



参照:
音響増幅ボードへの期待 [ テクニック ] / 2008-06-02
脳冷却利かず思わず暴発 [ 生活 ] / 2008-06-11
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音響増幅ボードへの期待

2008-06-02 | テクニック
日本から送った荷物を待っている。たいした物は入っていないが、書籍や楽譜、LPに加えて卓上小型モニタースピーカーなどが重い。50キログラムほど三箱を船便で送って、送料は三万円を越えている。

到着したら何処に片付けようかと考える。書籍はあまり役に立つものではないのでそのあたりに積んでおくとして、また楽譜の場所は所定の位置に、LPは収集を終了しているので拡張することなく場所の入れ替えをしてどこかに収納するしかない。

検討しなければいけないのはモニタースピーカーの処置である。現在使っているアウディオ装置にはそれは不用なのでマルチメディア機能として使うつもりであったのだ。とは言いながら、ホームシアターやTVには無縁の人間なので、事務用のLANの中のPCワークステーションに組み込みたいと考えている。

精々ネットラジオを聞いたり、趣味の映像の編集やDVDのチェックなどに使うだけであり、現在は内臓のスピーカーで事足りている。それゆえステレオ効果はヘッドフォーンでしか確認できなく、廉いスピーカー無しのモニターとともに現状はマルチメディアには程遠い。

マッキントッシュのスタジオシステムとは異なり、所詮PCのシステムはその程度と言う先入観念もあって、なにも期待していない。そしてネットをみると、外部出力にメインアンプを繋ぐ方法がよく議論されているが、そのような増幅器もなく興味もない身にとっては、格安に組み込める増幅器のボードを探した。

40ユーロほどで、所謂アクティヴスピーカーと同じぐらいの価格のものが見つかった。USB2仕様で、これならば煩わしい電源も要らない。PCとは別に電源をいれるのは、PCをマルチメディアステーションと考えていないゆえ、とても辛抱出来ないのだが、これならばソフトウェアーも不要な上にスピーカーを接続しておくだけで、PCの方でいつでも音量など全てを制御できるのが嬉しい。

先ずは、モニタースピーカーが船便で届くのを待ち、その作動を確認してから、これを注文しようと思っている。それで期待するのはつけっぱなしに出来るインターネットラジオの音楽番組を初めとする、車でのラジオ聴取の延長だろう。
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新幹線の国際的競争力

2008-05-08 | テクニック
フランスではTGVのトンネルを何度か潜った。交差点にその模型などが見られる自慢の超特急である。穏やかな急流を行ったり来たりしていると、その通過風景に何度も出くわした。

そのモーター音は凄まじい。風きり音とは違って、騒音性が強いように感じた。速度はそれほどでている区間ではないと感じたが、それでも無意識にはいられない。

昔の小田急のロマンスカーの音楽騒音を少し思い出す。意外であったのはその交通量でそれほど時間が経たない間にまたやってきていた。上下線が交差する事も少なからずあった。

ドイツのICEの乗り心地は素晴らしいが、羊を轢いたぐらいで脱線するようでは怖くて安心して乗っていられない。日本の新幹線のように頻繁に飛込みがあっても跳ね返すだけのスカートが必要なのだろう。

TGVは、フランスの全ての工業製品がそうであるように、当初のアイデアとコンセプトは素晴らしいが、老朽化してそのままにされているようだ。

保守やその他の問題があるとしても、トヨタの車のような乗り心地とは言っても新幹線は進歩していて、国際的競争力はやはり高いように実感した。
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周波の量子化と搬送

2007-02-26 | テクニック
去る22日は、ハインリッヒ・ルドルフ・ヘルツの百五十回目の生誕記念日であった。ラジオやTVの放送周波数を彼の苗字で呼ぶように統一されてから、世界的に知らない者は少なくなったであろう。

その周波数を形作る電磁波の発生を実証した。車のラジオで、「電磁波は、見えないが、それはその目が違う」という様な事を語っていたようだ。その研究態度は、あのキルヒホッフとヘルムホルツの弟子で1880年に博士号を取得したという事から、事情通は想像できるだろうか。その後、カールツルーヘの教授になっていて、現在の同エリート大学の鑑なのだろう。

周波数は、一秒間に周期的な振動を数えれば良いが、波は正から負へと、負から正へと、そして正から負へと偏向するので、所謂サインカーブを頭に描くと一循環する。火花を散らしての放電現象を、我々がラジオなどで雑音として経験するが、紫外線照射による光電効果によるその観察から電磁波の伝達を、ダイポールアンテナを開発して距離を置いて受信する事で、マックスウェルの電磁場の方程式が一般化される。

余談であるが、ラジオ聴取で理解したところ、ノーベル物理学賞を1909年に、ブラウン管やオシロスコープの発明者でやはりカールスルーヘ大の教授であったカール・フェルディナント・ブラウン博士と分け合った、イタリア人マルコーニはこの成果を逸早く特許として取得して事業家として商業化を推し進めた。現在ではノーベル賞の受賞を疑問視する声もあるが、現在の商業的な開発をも受賞の対象とするとするならば、必ずしも可笑しくはない。もともとノーベル賞は、近代を象徴し、社会技術への貢献に捧げられるものである。

さて、そうした変調された電磁波などのアナログの通信システムが、今や日に日にデジタル化されて行き、電磁波がデジタル変調信号運ぶ事になる。その運ぶデジタル信号は、様々なものがあるだろうが、古典的なものではPCM音声変調であろう。

それは、通常の音の大きさや高さに沿った電気信号として、時系軸をもった電圧や電流として表現するアナログ変調に対して、量子化してパルス信号として表現するデジタル変調技術を指す。

態々、デジタル技術の概要をここに写すのは、偶然に後期バロックの作曲家ラモーの音楽のプロジェクトをパリ在住のガーター亭さんの記事として拝見して、尚且つラモーの音楽理論と1970年代のパリでのスペクトラム・ミュージックと呼ばれる音楽派の関連を記事として読んだからである。

その二つの関連を先ずは無視してその楽派の論拠にあるように、音色を決定してハーモニーを形成する倍音列などの周波数の特徴を定量化・スペクトル化して扱うのは、現在の我々の生活では大変馴染みある行為である。シンセサイザーなどの取り扱いは、万人がコンピューターや機械の合成音として毎日のように馴染んでいる。音色である周波数の複雑な合成体を、その関数を時制から角周波数に写し、フーリエ変換すれば解析出来る。まさにこれはデジタル音響技術におけるシンセサイザーの音作りなのである。

つまり、こうしたデジタル化されて合理化された作曲の手法は、その源泉を作曲家モーリス・ラヴェルの作品にみるか、ラモーの和声の理論にみるかは別として、米国において商業的に利用されて経済を生むのである。つまり、技法は知的創造の経済に違いないが、それが芸術を生むのではなく産業を生むためには商才を必要とする。また、電磁波を用いたデジタル変調搬送システムは、現在においても携帯電話などとして世界の経済に大きな意味を持ち続けているのである。(夜空に輝く双子座の星達へと続く)


今日の音楽:
HUGES DUFOURT ANTIPHYSIS(1978), SATURE(1979)
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陽気な音で埃をたてる

2007-02-25 | テクニック
使っているワークステーションが大きな音を立て出した。陽気のせいで室内温度が上がり、冷却ファンの回転数が上がったのかなと思いながら使っていたが、騒がしいので出来るだけ消したいと思うようになった。

昨年10月に掃除をしたあと、床に設置しておいた本体に足を付けて、八センチほど浮かすようにしてある。床の埃の吸入状態を変える為である。その時の掃除で、吸入側も排出側も網が詰まり、冷却空気の循環を悪くしていたからである。

床から少し離したことで、埃の吸入状態は改善されたと認識していた。そこで、ケースを開けて、その状態を改めて確認する。

回転数が上がった原因は、吸入口の網が埃で詰まっていた事から直ぐに認定出来た。それも下向きの吸入口の詰まり方が激しい。謂わば、吸入ファンが起こす吸入の空気の流れが確認出来た。反対に排出側は、以前と比べ埃があまり確認出来なくて殆ど問題なかった。内部も前回に徹底的に掃除をした時と比べてあまり変化は無く、十分な排気が出来ていたという兆候であろう。

具体的には掃除機の先に細いノズルを付けて、埃を吸い込ませるのである。使っているDELLの箱は、前面の吸入口がエンブレムのついた胸掛けでカヴァーされているようになっていて、その間にノズルが入り難い。その外し方も分からずに無理やりノズルを押し込むと、パリッと止め具が飛んで、その一箇所が外れた。そのお蔭で、胸掛けを内側へ折るような形で、外れるようになっていることがやっと判明した。壊れた止め具を瞬間接着剤で取り付けて、元へと戻し修理する。

今回の経験から、床から浮かすことで十分な吸気が出来て、同時に排気側の詰まりを避ける事が出来て、尚且つ吸気側の比較的容易なメンテナンス方法も確認出来た。

箱内に都合幾つの換気ファンがついているか数えていないが、コンピューターの騒音はこれが原因である。メーカーによって、またその生産国の感覚によって、箱の冷却音の違いは大きい。マッキントシュなどもその材質などから音に高級感はあるが、決して十分に静かとは断定出来ない。

冷却のための換気は決定的な要因なので、生活の埃の多い同じ室内に設置する限りはどうしても小まめに埃取りをしてやらなければいけない。そうなるとメインテナンスのし易い箱がやはり使い良い。またそれが可能ならば、騒音も抑えられることになるのである。
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石灰岩の大地の歌

2006-09-03 | テクニック
ワインの目隠しテストをさせられた。メルローの赤ワインと違うものがあると主張したので、其々試したら同じ物であった。錯覚に陥ることがあるのは分かっているのだが、同じ銘柄でも味が違うと感じる事は更に多い。実際、瓶によっては炭酸が多かったりする。これは、製造のばらつきだけでなくて搬送や保存の間に生じる相違であったり、温度などの給仕の仕方によっても質が変わる事はありえる。

さて、クライミングで使用した新しいシューズは非常に快適であった。靴下を履くと足との摩擦が無くなって、余計に足入れが良すぎてがぶがぶしてくる。裸足になった方がフィット感が遥かに高い。但し、この靴でただたんに平地に直立しているのは意外に難しい。

古い山靴ガリビエールのスーパーガイドを今回荷揚げ歩行用に初めて使ったが、意外に軽くて荒地でも綺麗にバランスがとれて良かった。靴べろの当たる場所や親指、小指等に肉刺ができるようだが、テーピングをする事で防げそうである。靴下やテーピングの使い方で靴の使い勝手は大分変わる。

古いラフマ社の伸ばせばシュラフザックとなるリュックザックを荷揚げ用に使ったが、前回と違い肩への食い込みが少なかった。肩紐や腰紐へのパッドや改良が可能ならばまだ使えそうである。何よりも容量が拡張されるシステムとそのバランスは優れている。

盛夏と比べると行動中に必要な水も愕然とするほど少なく、深夜に摂取する水も僅かばかりとなる。呼吸が楽なのは前回の高度順応の成果が残っているのか、低めの気温なのかは定かでない。しかし、高温は体力を消耗させ、運動能力を落とした事は証明された。ドライフルーツの林檎とパイナプッルとも良かったが、喉飴も重宝する。狭い足場での喉飴は、リラックスには良い。

足場作りと継続した登攀の時間の無駄を省くのが今後の課題である。現代新用具別の決定的使用法が未定であったので、これを決定する事で躊躇無く足場での作業が出来る事になろう。ここ三十年ほどの用具や技術の変化を現場で確認して、それを収斂させていかなければいけない。

ドロミテなどの石灰質の摂理と大岩壁での安全で迅速な登攀行程は、長い懸垂下降の行程を含めて、ルーティン化した作業にならないと達成できない。改めて細かな作業の練磨に務めるべきだ。

反対に、登攀技術は室内などでも上達するので向上は容易い。しかし少なくともドロミテの技術難易度表示は一般に予想される水増しが無く、傾斜が強く六級はそのもの困難である。オーバーハングでも大きな手掛かりは期待出来ないかもしれない。

ドロミテの岩場に踏み痕や手掛かりの磨耗がないのが新鮮である。処女壁のように形跡の薄い岩壁が存在して、砂時計に古い縄が掛かっているのにアルピニズム文化を感じる。

アルプスの「壁の時代」以降の特徴の体験のみならず、個人的にも一種のトラウマから解放された気がする。これを心理的な側面と言っても良いが、アルプスの「鉄の時代」以降のアルピニズムの流れとそれ以降の室内でのフリークライミングの流れを体験していると、本質的な岩(大地)との接点を築く方法が探せる。

作曲家グスタフ・マーラーがここで、「大地の歌」を創作したのは、ただの偶然なのか、それともその理由付けはただのこじつけの錯覚なのか?



参照:影の無い憂き世の酒歌 [ 音 ] / 2006-09-08
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エリート領域の蹂躙

2006-08-11 | テクニック

マテリアル若しくは用具の話である。新しい靴を買うために、BASFの町ルートヴィヒスハーフェンの目抜き通りにある大きな靴店へと向かった。ドイツ語圏の靴は、乳幼児から老人用にまで、礼服用から特殊仕様までどれも昔からの靴職人の技術や伝統が生きている。例え世界的なスキーブーツマイスターであっても本職・本業は一軒の田舎の靴職人や靴屋である。

この店は、以前友人の山靴購入のために付き合ったので事情は知っている。残念ながら、その時の若い女性のアドヴァイザーを期待していたのだが、それほどに経験の無い違うアドヴァイザーしか居なかった。店のご主人と話すと流石に専門家で経験豊富な人だと直ぐに分かった。世界的な登山家ペーター・ハーベラーをアドヴァイザーとして擁しているのも伊達ではない。

今回購入したのは特殊仕様というか、クライミング専門の靴で、戦前の日本語でクレッターシューと呼ばれたものである。八月末に使うために購入を決断したのだが、どのような靴を選ぶかの決定への過程で大きなカルチャーショックを受けた事を隠せない。

クレッターシューへとは、そもそもその昔は麻の底で地下足袋のように出来ていた時代もあるようだが、我々の事始めの頃は革靴の底の厚い鉄板の入った山靴が好んで使われていた。それは、その靴一つで、歩いて、雪の中でもシュタイクアイゼンを付けても行動出来て、岩登りも出来るという代物だった。小さなミリ単位の突起にも足掛かりを取れて、重いリュックザックを担いでも悠然と立てるという靴であった。シャモニアルプスの摂理立った高峰の岩肌を登るための靴でもあった。

その後、アイゼンを付ける必要のない岩壁に合わせて、皮のソフトなより足に馴染む計量タイプの靴が流行った。実は今回もその傾向のものを探そうとしたが、そういったものは既に博物館物で市場には存在しない。

その当時も、米国ヨセミテ渓谷でのビックウォールを登るために使われていた靴底に溝の無いフラットソールのクライミングシューズが流行り出して、所謂フリークライミングの本格的な黎明期でもあった。ただ、当時は種類も限られていて、直輸入などの労を厭わなければいけなかったので、それを所有している人は日本には数少なかった。そのため、ゴムの摩擦係数の高い底の薄い安物の運動靴をクライミングに使っていた者が多かった。

個人的には、プファルツの砂岩を登るためにフラットソールのクレッターシューへを購入したのは十年以上前である。反面、経験の薄い雪壁を楽しみたいと思ったアルプスの岩と氷の錯綜する高峰では、従来通りのオールマイティーなライクルの山靴や氷雪壁用の靴で事足りて、フラットソールなどは論外であった。

そして今回初めて、大きめの壁を登攀するに当たって、歩けて登れる上のようなソフトな靴を探そうとした。それで今更ながら、アルプスの大岩壁においてもフラットソールの地下足袋のような靴を使える機会が多いのに気がついた。

これは、ある意味昔のクライマーにとっては詐欺行為のように映るだろう。当時の靴で技術的困難度5.9とか5.10若しくは五級とか六級の岩場を苦労して登っていた者にとって、現在のフラットソールの靴をもって二ランクほど上の岩場の登攀を可能とするからである。これをペテンと呼ばずになんといおうか?

クライミングの世界においては、スキーのようにそれほど用具の助けを借りてはいないと認識していたが、実際は安全面や快適性だけでなく能力の上で大きな嵩益しがなされている事に気がつく。こうして第一線級クライマーにおける限界の向上だけでなく、レジャー登山者が昔はエリート登山家にしか許されなかったアルピニズムの厳しい領域へと容易に足を踏み入れる様になる。だからこそ1960年代に活躍した伝説的大アルピニスト・ヴァルター・ボナッティーは1930年代の装備に拘ったのである。

ドロミテのラ・スポルティヴァ社製のKATANAは、ヴォリューム感のある足にも非常に足入れが良く、履いていても心地良い。一時間以上に渡る試し履きの末、小さめを選んだので時々足を解放してやらなければいけないかも知れないが、一日中履いているのも可能であろう。商品名称は踵に書いてある「刀」で初めて理解したが、小さな足掛かりをシャープに切るように立てるという意味のようだ。本格的に使ってみないとなんともいえないが、砂岩用に保持している以前の靴とは全く傾向の違う所望していたそのものであると期待している。

僅か100ユーロの投資で、スキーでいえばカーヴィンスキーで何日もの鍛錬が数時間で到達されてしまうほどの、容易さを得られる。禁断の園に足を踏み入れてゼウスの怒りを買ったプロメテウスのような行為とはいえないか。



参照:
気質の継承と形式の模倣 
[ アウトドーア・環境 ] / 2006-08-06
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四半世紀ぶりの買い替え

2006-06-03 | テクニック

四半世紀ぶりにカラビナなどと云ったワッカを購入した。名称は、HMSカラビナと云い、ハルブマストヴルフ・ジッヒャールング・カラビナのドイツ語の省略としている。山登りに使うものであるが、工事作業関係のものとそれほど変わらない。最も大きな違いは軽量化されていて、目的にあった強度だけが確保されていることだろうか。

主な使い道は、支点にザイルを引っ掛けて行く時の支点との連結、ザイルと安全ベルトの間を繋ぐ下降器の装着、ザイルで同行者を確保する時の支点としてである。最も力が加わるのが一番目の場合で、粗30KNの強度が必要となる。二番目の場合は、殆ど強度は必要ないが振られたりして岩角に当たったりするので安全のためにスナップが開かないようにネジ錠がついている。三番目の場合は、強度と安全のための開閉の錠の双方が必要になる。

今回は、三番目の目的のために新規購入しなければならなかった。古いものは、四半世紀間の金属疲労の不安もあるが、それ以上に昔の形のカラビナでは用を成さないことが判明したからである。以前はその形状から呼ばれる変形D型のカラビナが一般的で、またその昔は鉄製のO型のものが一般的であった。現在は、その強度だけでなく確かその実際の力の掛かり方から有利に働く形状に変わっている。これを下膨れのD型と云うのだろうか。そうした物理的な評価は、雑誌等で十五年以上前から認知していたが、特別に買い換える必要もなかったのでそのままとしていた。

何よりも新たな機能が新たな形状を求める背景として、確保の仕方のここ15年ほどの技術の変遷が存在する。同行者確保のための墜落時のザイルを制御する方法がその間に大きく変わった。

以前は簡易な確保用具などを用いて、大きな墜落の場合は確保システムの支点や滑落者の身体へのエネルギーをザイルを走らせる事で最小のダメージに抑えるダイナミック確保と云う理論体系が存在した。実際それをするために手袋をはめてザイルを故意に流す練習をしたものである。こうして流すことで、致命的な衝撃を転落者の身体や支点に掛けないのみならず、鋭角でザイルが切れるような井上靖作「氷壁」のような事件を避ける理由もあった。その後、こうした経験と練習に頼るような芸当ではなく、ザイルの伸びとエネルギーの吸収を最大限使った確保の体系が完成して、簡単にカラビナに絡めた方法でザイルを制御する方法が常識となる。その絡め方を半マスト結びと云い、船乗りが舫を固定するときのマスト結びを半分崩した方法が一般的となる。ドイツ語では、これをハルブマスト・クノーテンとなる。

さて、理論的にはどのような形状のカラビナでもこの結び方で絡める事が出来る。実際以前からこの方法もしばしば使われていた。しかし、最近はこれ以外の方法を使うことが無くなりかつフリークライミング化で一本の太いザイルを主に使うようになって来たため、従来の形状のカラビナでは扱いきれない現象が確認される。

その都度、同行者のHMSを拝借して誤魔化して来たのだが、流石に「これを持たない奴とは行かん」と云われ渋々購入を決断した。価格は高級ワインより安いかもしれないが、こうして新旧の用具を比べてしまうと、如何せん古い用具に不安を感じるようになる。それを知っていたから躊躇していたのである。それどころか商品保障が何ヶ月から数年までとなっているとどうしようもない。なすすべがない。金属疲労がないことにして、古いものを使い続けるにも無用な勇気が要る。
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理のある変換とその転送

2006-04-20 | テクニック
アナログ信号をデジタル信号に変換するPCM変調は有名である。最近はPDM変調も身の回りで使われるようになっている。前者の信号をコード化する方法と比べて、後者は所謂量子化歪が少ないといわれる。

スーパーオーディオCDなどPCM以外のデジタル録音システムについて調べる。後者のパルス・デンシティー・モデュレーションを密度と読み込むと、所謂ビットストリームと云う様なパケットとなった転送の量の濃淡を考えると、感覚的にも理解出来るのでないだろうか。通信手段におけるデーターの転送やコンピューターのデータの処理のプロセスも思い浮かぶ。

この変調方式を使う事で、デジタルからアナログへの変換を効率良くやっているのがダイレクト・ストリーム・デジタル(DSD)と云われる方式である。こうしたデジタル・アナログ・変換機を使う事で、今まで以上の音声を再生しようとするのが、フィリップスやソニーが進めて来たSACDと云われる新メディアである。

ジャズやクラッシック音楽の世界では、SACDと云う商品が多く市場に出ている。その多くは、ハイブリッドSACDであって、従来のCDプレーヤで再生出来る。しかし、そこで再生されるのは、実際のこうした変換を利用したものではない。本来のSACDを再生しようとすればSACDプレーヤーは不可欠なのだが、市場での普及は伸びず殆んど頭打ちのように見られる。その反面、DVDやブルーレイなどと云う新メディアは、その容量の増加ゆえに普及が予想されている。

またSACDを使う事で、メーカー・メディア側はコピー防止を徹底しようとしているのだが、その結果ハイブリッドSACDが廉価なCDプレーヤーでは回らないということもあるらしい。何れにせよハイブリッドSACD自体には、何らの利点は無いので何れ消え去るメディアである。SACDプレーヤーがDVD・CDなどとのコンビプレーヤーにどのように組み込まれて行くかに、本当のSACDの存続は掛かっているようである。

SACDのソフトにデジタル処理のリマスターをした古い録音も多くあって、PCM変換では避けきれなかった量子化歪を出来る限り抑えてデジタル再生する意図を持っているようである。反対に、初めからPDM変調を行なってDSDでデジタル化された録音は極数少ない。この場合も高いサンプリングレートやそれを保証するハイビットのアナログ・デジタル変換を心掛ける事が肝要で、その点からするとPCM変調に於ける議論とあまり変わらない。

こうした方式で変換されて保存されたデータをそのままデジタル・アナログ変換して、音声化するから量子化歪も少なく再生出来る。だからこそ最終的にアナログに変換する簡易な機器に依存すると云うよりも、寧ろ保存する形態(メディア)が問われている。その物理的に移動性流通性のあるメディア(CD、SACD、DVD、BLU-RAY等)での保存方法に多くを依存しているのであって、実際にデータとしてハードディスク等に保存すれば実はそれほどその変換方式の影響を受けない。勿論そうなればコピー防止も何も無く、全てのデータは自由に処理したり操作したりして扱える事にもなる。つまり、デジタルデータは、いかに安全に損失無く、大量に他の媒体に移殖して転送するかが問題なのである。

ソニーのサイトを見ると、西部ドイツ放送局や中部ドイツ放送局やザールランド放送局等のドイツの放送局にそれらのシステムを導入促進の目的でも納入してているようだが南部ドイツ放送局等などではこれからのようである。これらがデジタル放送などの基礎技術となっていく事は理解出来る。

そしてSACDメディアが本当に画期的なのは、マルチチャンネルを使った録音と云われる。しかし嘗ての四チャンネルで経験しているように高度な音響芸術に至るのはなかなか難しい。それどころか最近の傾向として、音楽ファンは益々アイポットなど簡易な形態への傾向があって、ホームシアターやマルチチャンネルの再生は、極少数の興味であり必ずしも誰にでも出来ると云う経験や話しではないのである。



参照:
究極のデジタル化 [ テクニック ] / 2004-11-29
骨董化した空間のデザイン [ 文化一般 ] / 2005-04-03
コメント (5)
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完全自動走行への道

2005-12-02 | テクニック
新しいSクラスメルセデスにレーダーと赤外線照射を装備した場合の技術説明がある。前者の先行車追走システムは既に一般化されているが、後者のヴィデオによる夜視のシステムは、それほど普及していなかったようである。GM車などのフロントグラスに赤外線の視界を映し出すシステムではなくて、その視界がタコメーター若しくはハンドルの真ん中の位置にある白黒モニターに映されるシステムである。どちらが良いかは一概に言えないが、コンセプトの違いでその長短の差が出そうである。

夜間走行の事故は、全体の40%で通行量が15%と少ない事を考慮に入れると甚だ危険という事になる。合衆国では、この比率が50%に至るという事で、またその半分の事故原因といわれる夜間の視界が開ける事で、事故数を大きく減少出来るという。

試してみないと判断は出来ないが、夜間にディスプレーの光を覗く事は、瞳孔の絞りを効かしてしまうので良くない気がする。通常ダッシュボードの光を最大限絞って、夜道を見えやすくするのはそのためである。勿論、外を見なくともディスプレーだけで操縦出来るようになれば話は違う。

しかしどうしてもアウトバーンでの本格的高速走行時には先行車のライトや道路わきの反射鏡は、約300M先まで充分に監視しなければいけない。現在でも遠目が効かない夜間では、ナビゲーションシステムの地図が道路形状を予測するのに参考になっているので、これらの情報を併用する事になろう。しかし獣などの道路上の停止した不慮の障害物に対しては、この赤外線やレーダーの照射距離150M では充分でない。

だから、量産化されているブレーキのアシスタントとレーダーシステムの両システムを組み合わせ、更にプリセーフという衝突の準備機構を組み合わせている。結局は、これは夜間赤外線照射システムがレーダー装置と組み合わされて完全自動運行システムの一部となって行くという意味でもある。

その一環としてメーカーは、完全自動運転の方へと研究を進めている。つまり、人間の目では逃しやすいような情報を読み取って、必要な判断と処置をするというシステムである。例えば、一時停止の標識や、信号の情報をGPS情報と補い合いながら読み込んでいく。GPSの精度も在るが、それよりも高速道路における路上リードシステムを整備してから実施されるかと思った完全自動航行システムが市内道路においても実験されていたのは、想像していなかったので驚きであった。そうなれば、交通標識等も特殊塗料等を使えば用が足りそうである。

パッシヴセーフティーとアクティーヴセーフティーという概念が存在するが、これらのシステムは最終的にお互いに関わる事になる。ABSが登場した時も半信半疑で、自らのブレーキングの方が優れていると考えていたが、それがアンチ・スリップイングシステムに複合されて、今ではこれらが無いと不安を感じるドライヴァーも多い。反面、このシステムを外して雪上走行講習を受けたりすることで、初めてセーフティーシステムを使い切れると聞く。つまり、ある程度の信頼から過度の緊張を強いられる事も無く、疲れも溜まることなく余裕を持って運転出来る状況をいう。

冬季においてもアウトバーンは本格的高速走行が可能だが、最近の高性能化した車の時速250KMのリミッターに対して、冬タイヤも時速240KM 限度の物が普及しつつある。何れは250KMまで引き上げられるであろう。これらのタイヤは、プロフィールと柔らかさがそれなりなのでそれの限界域で走ると消耗もし易い。しかし、折角の高排気量を半年しか使いこなせないとなると、高価な冬タイヤを選ぶ人も多いのだろう。

ここに示したヴィデオにあるような時速210KM制限の冬タイヤ走行においても、その前半で示すように約150M前方の車の不意の車線変更による追突の危険性が潜在的に存在する。これを防ぐ為にブレーキ力を調整しながら、それでも避けられない場合は、衝突を予想して準備するのが上のセーフティー・システムである。

また場所に関わらず制限速度が導入される50M以下の視界の霧の場合の対処も同じように必要であり、こうなるとこのシステムが、充分に計算された過渡的なもなのが良く分かるのである。



参照:
アウトバーンでの予知力 [ テクニック ] / 2004-12-27
ノーベルドイツ時計親方賞 [ 数学・自然科学 ] / 2005-10-07
そんなに気を付けないで! [ 生活・暦 ] / 2005-02-24
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空気配送郵便チューブ

2005-10-28 | テクニック
ベルリンは、上に下にとパイプだらけである。何も地下水を汲み上げ、液状化現象を防ぐシステムだけではない。地下には郵便のチューブシステムが町中に張り巡らされていた。19世紀初頭にデンマーク人によって考え出された郵便配送のシステムである。ベルリンの郵便システムチューブ網は、パリに続いて最も大きかったと言う。1865年から1970年まで実際に使用された。

このポストを取り出す情景は映画などで御馴染で、市内90局に及ぶ郵便局が地下チューブで結ばれていただけではなく、公的な事務所なども結ばれて直接に配送されている様子が窺える。二十センチ足らずの皮の巻かれたシリンダーの筒に郵便を入れて、送り出し、受け取る。そのチューブの中に空気を送り込み、または吸い込めばよい。一旦空気の流れが出来たなら、僅かに加速減速してやれば少しのエネルギーで最高速時速58キロに至る転送が出来たと言う。

その速さゆえに、十分単位の消印が押されたことで、切手収集家には価値ある物として扱われているらしい。第三帝国下には、ミュンヘン・ベルリン、ベルリン・ヴィーンなどの経路も在ったと言うから驚きである。ニューヨークの一メートルもあるかと云う長さの筒も、その輸送力の大きさに驚かされる。

ジーメンス社のコンプレッサーで作られた空気の流れは、こうして戦時下でも利用されて、戦後も動き続けた。東西の壁が出来てからは、西側のブロックは切り離され徐々にテクノロジーの進歩に追いつけなくなったのとは反対に、東ブロックにおいてはパンコウなどの党幹部の居住地域を中心に最後まで利用されたと言う。部品の入らないジーメンスのコンプレッサーに変わり東独国営産業のモーターが使われるようになっている。

19世紀中ごろには、チューブの中を通した輸送手段としては列車などを通す開発がなされた。ロンドンの地下鉄チューブの歴史と並行している。ロンドンとクロイドン間の実験が有名で、加速は出来ても減速が出来なかったのも失敗の原因らしい。そしてこれは歴史上リニアモーターカーに引き繋がれている。少なくとも広義には、吊橋と並んで重要な、トンネルを使った輸送技術に含まれるのだろう。関門トンネルを掘削中にパイロット鉱から見学したと言う人の話を聞くと余計にこの感は強い。

現在の視点から見ると、最近もハイデルベルクの大学病院等では臨床検査室が近代的なこのシステムで結ばれるようになっており、更に商業・銀行関連でも現金の遣り取りがこのシステムで行われている。またリニアモーターカーで、光ファイバーで以って自然外光を入れながら走れる可能性を考えると、デジタル化したネットとは違う地下のロギスティックのシステムが今後とも発展する可能性が予想される。

ベルリンの地下のシステムと言うと、シャルターや軍事的な秘密トンネルばかりを考えがちだが、このような近代テクノロジーを見る事が出来て良かった。



参照:情報管制下の娯楽番組 [ 歴史・時事 ] / 2005-11-05
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スパムフィルターの秘密

2005-10-16 | テクニック
プロヴァイダーの提供している電子メーラーのヴァージョンアップをした。このメーラーを使う理由はアウトロックなどのように一体性でないので、ヴィールス被害が少ないと言う判断からである。

前回のヴァージョンは、ヴィールスの攻撃で壊れてしまったので、もう一つ古いものを使っていた。ヴァージョンアップで変わったのは、マニュアルのスパムフィルター機能である。有料のフィルターサーヴィスを申し込んでいないので、日に20から50のスパムが押し寄せている。

一つ前のマニュアルスパムフィルターは、アドレスを入れて跳ね返すと言うのだったが、同じアドレスなどは二度とお目にかかれない。だから無駄だった。今回のは、アドレスに加えて、見出しと、文章中の単語を選んでフィルターに掛ける事が出来る。その其々の項目にフィルターを「若しくは」で掛けても「且つ」で掛けても良い。

これからスパムフィルターとは如何言う物か分かって来た。もう暫く使ってみて結論としたいが、大分スパムを排除出来そうである。ここにそのキーワードを詳しく書いて、変なサーチを掛けられたくないので、抽象的に研究結果をお披露目しよう。

現在までの殆んどのスパムが、男性の精力強化薬で心臓発作を招く危険から特別に入手しなければいけない有名品である。この銘柄をそのまま、フィルターの条件とした。つまり、このV頭文字の単語の入った電子メールは今後一切消される。

それでも同様なスパムが入ってきたので、内容を見ると類似の名に価格が付いている。類似品か何かは知らないが、誰でも直感的に銘柄が思い浮かぶ名称である。先方も頭を働かして、IとLを故意に書き換えてあったり、AIをIAに変えてある。

序でにそのメールの一覧表に載っている訳の分からない薬品名らしきものをフィルターのリストに加えて登録する。こうして、80%ほどスパムが弾き返されそうである。

その他、現在登録されているのは、「Just try and compare」で、これはメールによる押し売りである。このような不躾な商売は全て押し返す。郵便桶にも、「チラシお断り」のステッカーが張ってある如きである。それでも未だ入ってくるのが、「Hot Job Offer」とか内職関係かセックス関係か分からない質のものである。これもリストに加える。

今後間違いなしに、リストアップしていくのが投資関係のものだが、これはキーワードを選ぶのは難しい。「FINANCE」などは大抵は必要ないのだが、本文中に無いとは言えないからである。共通項を見つけるにはいま少し研究してみなければいけない。最も多かったのは、「私は、アフリカの何とか政権の大臣の娘ですとか何処そこの王子です」だが、これも「MINISTER」とか「PRINCE」とか言うのを全て排除してしまうのも寂しい。外交関係でもない限り、そのようなメールを受け取る事は殆んど無いのではあるが。自動消去でなく、念のため別のスパム専用ブリーフケースに落とす事にした。さてこれだけでどれほどスパムを排除出来るだろう?

PS.
リスト追加: X x agra 二余白を空けられてフィルター通過、よって「Drugs」を新たに禁語に認定。更に「Pills」、「Healthcare」。
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韓国の大スターと子供達

2005-10-03 | テクニック
大韓民国のスター黄禹錫教授が二日間に渡ってボンとベルリンで講演した。今年五月に世界を驚愕させて以来、大韓航空のファーストクラスのフリーパスをプレゼントされたと言うが、研究室を留守にしている時間などはさらさらないらしい。

患者のDNAを用いて胚性幹細胞(ES細胞)11株を作り、不治の病人に奇跡を起した。若い女性たちが卵子の提供を申し出て列を成すという。ソウル大学の獣医の小部屋から今では少し大きな研究室へと格上げされ、二年後には新家屋に移るという。

キリスト教徒の多い韓国でも胚性幹細胞を操作するのは決して容易くなかったようだが、動物を通して成果を示してきたようである。BSEの牛に試みた実験などはこの教授の目先が利いている事を示しているのではないだろうか。

ES細胞自体は、輸入という形でのみドイツ国内で研究用に扱われているが、冷凍されたものでは成果が出ないらしい。何時もの事ながら、ケルンのユルゲン・ヘシェラー教授などは、「彼らは、我々の技術を使っている」とぶち上げる。

同様の試みはロンドンでも失敗している事から、同僚たちの間では苛立ちが募っていると言う。報道直後に、シュレーダー首相が研究推進へのコース変更を表明したが、これは全て新組閣後の課題となる。

胎児への人の介入は欧州全体で厳しく規制されており、ES細胞すら容易には扱えないのが現状である。キリスト教の教義からすれば当然だが、新旧の宗派によっても幾らかの差異がある。人工的な避妊さえ公認しない宗教から容認はありえない。

黄教授は、研究所の職員も多くがキリスト教徒なので精神的葛藤の起こるような状況にはならないと言うが、安易に工業化の計算をしている事から典型的な楽天家のようである。お国では初の韓国人ノーベル賞受賞の誉れが高いらしい。

ミュンヘンのエックハルト・ヴォルフ教授は、黄教授の業績はこの分野の一部であって、取り扱いが上手く行っただけで、非常に大きな進歩だが想像力は全く欠如していると評価する。その研究体制からして、半導体工作のようなのだろうか、工作機械の洗練を以って工業的であるという。そして、想像力無くしては、頭打ちと断定する。それどころか、人間のクローン化の味を覚えた部下が何を仕出かすかわからないと恐れる。

MITのイェニシュ氏は、この分野は全てシナやシンガポールなどへと東へと重心が移って来ており、学術、医療、商業へと欧州の目は移って行くと予想する。しかし、米国からミュンスターのマックス・プランク研究所へと移ったハンツ・シャーラー氏のように、「我々は、現在の法の中でも我々の遣り方で十分な研究が出来る」、「治療には其々の成果を持ち寄れば良い」と基礎研究者らしい目算があるようだ。細胞核を取り出す必要も無い卵子の無い胚性幹細胞を考えているようで面白い。

日本車のTVスポットではないが、象牙の塔のよりも市場には「不可能な事は無い」となるのは、当然の帰結である。人間ほど意地汚いものは無いからである。
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ICEとTGVの相互乗り入れ

2005-09-08 | テクニック
ドイツ国鉄DBのICEとフランス国鉄SNCFの TGVが相互乗り入れする事になっている。

超特急ICEも専用線が大分出来てきたようなので、ケルン・フランクフルト間などでは時速310KM走行が可能になって来ているみたいである。エシェデーでの大事故のゴム製の車輪軸受けはもう大丈夫なのだろうか。

2007年7月からパリ・フランクフルトもしくはシュツットガルト間を4時間で結ぶ為に、既にリル・カレー間を十万キロ試験走行している。そこでは時速330KMの速度を要求されるらしい。

車両技術的な問題だけでなく、架線の問題すら1,5Mの 高低差を調整しなければいけない。ICEの挑戦は、車両下の空力特性を改良する為にスカートを付け、石の跳ね上げを避ける事から始まっている。

更に興味深いのは、ICE自慢の電磁ブレーキが強い磁気を発生させるので、フランス内では高速走行でしか十分に使えないという。つまりブレーキ系も改良しなければならない。また、乗降口の開け閉めのタラップの下ろし方さえも調整しなければいけないという。

こうしてICE3は、六種類の電気入力が出来るので国境を越えていたるところで走る事が出来るようになる。スイスのローカル線で見かけたりするのはこれへのテスト走行であったりした訳である。

ジーメンス社やアルストーム社の厖大な開発費は、西欧からウラジオストックまでの将来の鉄道の可能性を考えれば当然かもしれないが、こうして互換性が出てくるとそれ以外の市場にも食い込む要素となるのであろう。
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時計仕掛けのオイスター

2005-06-04 | テクニック
知人にぜんまい仕掛けの腕時計を集めている者がいたが、その機械趣味の一端を最近理解出来る。普段は車移動なので、腕時計をすることも無く、それを全く使っていない。それでも年数回のお出かけに、腕時計を身に着ける。その時、電池式のそれは既に針が止まっていて役に立たない。だから、貸し金庫まで行って腕時計を出してくる。ぜんまい式なので、勿論電池を買う必要は無い。

懐中時計から腕時計へと進んだのは、100年前にフランケン出身のドイツ人商人ヴィルスドルフが、ロンドンでスイス時計会社ロレックスの前身を起こしたときから始まる。当時は、羨ましがられたどころか、男がブレスレットをするということで笑いものになったようである。しかしクロノメーターとして正確さが認識された頃から状況が変わってきたようだ。その後の貝を意味する防水のオイスターや自動巻きのパーペチュアル、さらにカレンダーにガラスのルーペが付くデートジャストで一気に高級時計の地位を確立した。

そして現在、再びぜんまい時計市場が復興しているのは面白い。行きつけのイタリア料理屋などに行くと親爺が「質の良い偽物」がないかと寄って来る。中国に輸入、通関完了するスイス時計の五分の二が偽者と言う。クオーツ全盛期には、機械式などは無用と考えられていたの思い起こすと、現在の状況を予測していた者はそれ程多くは無いだろう。

宝石や金を見せようとする成金趣味や、偽者でも良いからという伊達者ぶりに較べ、精妙な職人仕事への憧憬は、商業的なイメージによる洗脳とは違う。それは、フェラーリやロールスロイスなどの超高級車への 関 心 とも較べられるかもしれない。しかしどちらかと言えば、労働集約型の製品に対する畏敬の念に産業革命以前の家内工業への郷愁が混じった気持ちと言った方が正しいだろう。それでも、身に着けることによるステータスシンボルの誇示と支配欲と言う、飼い馴らされた動物の欲求である事には相違ない。
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