話題の問題作。
実際の事件(タリス銃乱射事件)の映画化だが、実際のヒーロー3人をまんま 俳優 として起用。
どうヒーローかというと3人(写真)は、列車内を血で染めようとしたテロリストを押さえ込み、フランスから表彰。
で何と!
その本人 × 3人を使う英断を、クリント・イーストウッドが下した!
イーストウッドといえば、どうみても巨匠。
「ハドソン川の奇跡」 「アメリカン・スナイパー」 「ジャージー・ボーイズ」「インビクタス」「ヒアアフター」「グラントリノ」「チェンジリング」「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」etc… きりがない!
実は当ブログはつい最近、大胆にもアップした、極私的 「過去10年 」映画ベスト10!(2008年 ~ 2017年)でも彼の代表作は、堂々の1位(グラントリノ)
なんだが…
ぶっちゃけ言うと「凄く苦手」な時期も(笑)
彼のねちっこい演出はもちろん、メロディアス過ぎてクサめの音楽(彼も作曲したりする 汗)
何度となく書いているが、いくつかのシーンで、ここまでメロディアスな音をバックに配するセンスはないだろう、と思ってしまうことが多い。
ジャズ・ピアノの腕前が「ピアノ・ブルース」などで拝見しても上手なのは認識している。
が、音楽についてはぐっとこらえ他人にまかせた方がいいのではないかと頻繁に感じる(笑)
もとい、本作「15時17分、パリ行き」
面白いことに、世の中の評価は まっぷり2つ。
・3人たちが素人臭くて、見るに耐えない、な意見が 多数派?
・いかにもイーストウッド、と一定の評価(笑)
で、当ブログの評価は…
(ネタバレにならざるでないので、20行ほど空けます)
3人たちが素人臭さはあるが、問題なレバルではない、と判断。
(オペラで歌手たちの演技を見慣れているせいか? 笑)
それよりも問題は、脚本。
冒頭の、幼少の頃の3人の出会いを描くシークエンスはまあまあ。
だがその後、3人が行くレジャー旅行の部分に問題を感じた。
ローマ~ドイツ~オランダ アムステルダム~を巡る旅。
最初のうちは彼らがハメを外す様子について行こうとするのだが、この部分があまりに長い。
その上に、次に発展あるいはクサビとなるようなエピソードは皆無!
フツーの人なんだということ、そして3人の関係性を描くにしても、あまりに苦痛…
何でこうなった?
前作「ハドソン川の奇跡」では、事故と裁判のシークエンスを僅か1時間36分に圧縮。
同じ1時間36分でも、あの端正さが今作では全く見られない!
類推するに、3人が書いた原作ありきで、今作がキックオフしたことがその結果の起点かと…
クライマックスを除き、内容の薄さは明らか。
本来であれば...
もっと3人のバックグラウンドを描きこむ、とか、
表彰された 第4の人物 をも物語に組み込む、とか、
あるいは、最初に事件の発生を嗅ぎつけ機関銃を奪った男のエピソードを絡める
などなど、工夫する方法はいくらでもあったような…
結論:巨匠イーストウッドにしては、珍しくネタをまとめきれなかった失敗作。