原題は、Leadership on the line
まず感じたのは、日本語タイトルがまずいのではということだ。
ラインを最前線と読み替えたのだろうが、ニュアンスが違いすぎないか。
なんかただの理屈をこねた内容の本にみえてしまわないか。
というのは、内容がほぼ全部にわたり、リーダーが現代社会で危機状況に陥るケーススタディをていねいに論じており、非常にプラクティカルかつ濃い~中身であって、管理者には非常に参考になるだろう内容だからだ。
確かにサブタイトルに「危機を乗り越える技術」とふれてはいるものの、写真をみてもわかるように、表紙のデザインも「最前線のリーダーシップ」だけが目立っていて、肝心のサブタイトルは右上にごく小さくくっついているだけ。
編集者の総合プロデュース能力に疑問を感じざるえないところである。
という入りになってしまったが、こうなってしまったのはこの本の内容が貴重だと感じているが故であるのでお許しいただきたい。
導入からして?!つかまれてしまうのは、まず冒頭。
監修者である竹中 平蔵氏のまえがきである。
まさに「変革」への闘いを繰り広げてきた苦労人。
この竹中 平蔵氏が、ゴルバチョフの言葉を引用しつつ語るアツい内容。
そして本論に入るが、まずは第1部「リーダーシップには危険がいっぱい」
2章に分かれており、適応を必要とする問題に取り組むことの危なさ・困難さをリアルに表現する第1章「危険の本質」と、その結果迫りくる4つのリスク=「締め出し」「個人攻撃」「誘惑」などの第2章。
各々の実例が次々と登場するが、それは作者の個人的経験はもちろん、ラビン首相、ジョンソン大統領、ビルクリントンまでそのシビアな状況を簡潔にケーススタディとして取り上げており、ずっしりと中身がある。
一冊読み通すのにも気合いが必要だった(笑)、いい意味で。
変革を推進することを念頭を置きつつもプロジェクト全体を俯瞰し、反対派が繰り出してくる様々な反対行動に対しどのように戦略的に対処すべきか。
実行しようとしている「変革」が消滅しないように、闘いを継続していくか。
僭越だが、私だったら以下のようなタイトルにしたと思う。
タイトルの中にこの本のニュアンスをなんとか織り込みたい。
例えば、
「リーダー・クライシス」
「リーダーシップ・クライシス」
とか(あんまし変わらない?)
なんにしても、日々「変革」への闘いを継続している人には、一読の価値がある本だとは確信する.。
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