歴史を辿れば分かりますが、西欧人は、イスラムに長く悩まされてきました。
観光旅行をした時、破壊されたキリスト教会の土台の上に、イスラムの寺院が建てられ、さらにそれが打ち壊され教会が再建されたという遺跡を、何度か目にしました。スペインだったか、ポルトガルだったか、イタリアだったか、会社勤めの頃は、歴史に興味のない人間で、それこそ物見遊山の気持ちで旅行をしていました。
わざわざこのような話をするのは、ぼんやりした観光客だった私が、キリスト教とイスラム教の戦いの激しさを思い出したと、言いたかったからです。
一神教は、互いが絶対の神を信じますから、他教が敵となります。自分の国が異なる宗教に破壊されたり、支配されたりという経験がないので、ただ呆れて眺めるしかない私でした。しかし米国人であるハンチントン氏には、イスラム問題は、他人事でなく、きっと生涯の課題だったはずです。
「イスラム教は、キリスト教以上に神の絶対至上権を唱える信仰である。」「イスラム教は、宗教と政治を一体化し、」「イスラム世界の宗教や政治と、非イスラム世界のそれらを、」「明白に区別する。」
従って氏は、イスラム教を容赦なく批判します。
「だから儒教信奉者、仏教徒、ヒンズー教徒、」「西欧キリスト教徒、東方正教会キリスト教徒などは、」「イスラム教徒以外と、一緒に順応して暮らすことの方が、」「イスラム教徒と一緒に、順応して暮らすことより、」「ずっと容易である。」
「例えば東南アジアのほとんどの国で、中国系の国民は少数派だが、」「経済的には、圧倒的な力を持っている。」「彼らは仏教徒のタイや、カトリック教徒のフィリピン社会に、」「うまく同化した。」「これらの国々で、多数派の集団が、」「反中国的な暴力を振るったことは、事実上ない。」
「それに比べ、イスラム教徒が多数派の、インドネシアやマレーシアでは、」「反中国的な暴動や暴力が、起こっており、」「中国系国民の立場は微妙で、不穏な問題になる可能性がある。」
立場が違うと、ここまで意見が異なるのかと驚きます。今の私には、共産党の支配する中国がイスラム教徒以上の脅威です。中国系国民は他国でうまく同化していると説明しますが、それは20年前の話です。しかし今は氏の書評ですから、別の話をするのを止めます。
歴史的観点からのイスラム教徒の戦闘的性格に関する、氏の意見を紹介します。
・ 19世紀と20世紀に、西欧諸国がイスラム教徒の社会を従属させた。
・ これにより、イスラム教徒が、軍事的にも、経済的にも弱い、というイメージが出来上がった。
・ このため非イスラム集団が、イスラム教徒を格好の標的と考えるようになった。
・イスラム教徒は、西欧社会に蔓延する反ユダヤ主義と同様の、反イスラムという偏見の犠牲者となった。
日本人は、韓国の慰安婦問題や徴用工問題に関する、呆れるばかりの言いがかりに驚きましたが、イスラムの主張はよく似ています。歴史をからめて相手を攻撃し、痛めつけるという執拗なやり方は、韓国や中国の独特の暴言でなく、これらの国の常套手段でした。国際社会は、こうした身勝手な理屈はお互い様だから、慣れっこなのです。中国や韓国・北朝鮮からの非常識な言い分を聞いても、彼らが日本に同情したり理解したり、そんなことはありえないのです。
「孤立した文明国」である日本と氏に教えられましたが、本気で考える必要があります。反日・左翼学者たちのように、無闇に日本を否定したりせず、あるいは頑迷固陋な保守のように、「世界に冠たる神国日本」などとバカな自惚れもやめ、「孤立した日本」の厳しい立場を心に刻む賢さが優先します。
「パレスチナ人、ボスニア人、カシミール人、チェチェン人など国での、イスラム集団については、」「犠牲者だという主張もうなづける。」「しかしこの理論は、スーダン、エジプト、イラン、インドネシアのような国における、」「多数派のイスラム教徒による非イスラムとの紛争を、説明できない。」
多数派を占める国で紛争を起こすイスラム教徒が、何で犠牲者であろうかと、氏は語ります。なぜ、イスラム教徒は自分で紛争を解決できないのかにつき、氏ならではの説明をします。
「イスラム社会には、他の文明のように核となる国がないということだ。」「サウジアラビア、イラン、パキスタン、トルコ、」「そしておそらくインドネシアなどは、イスラム世界への影響力を確保しようと、競い合っている。」
「だがどの国も、イスラム世界内部の紛争を調停できるほど、強い立場にない。」「全イスラムを代表し、権威を持って対処できるような、」「国はない。」
ここで、現存する五つの文明における核となる国を、もう一度確認します。
1. 中華文明 ・・・中国
2. 日本文明 ・・・日本
3. ヒンズー文明 ・・・インド
4. イスラム文明 ・・・なし
5. 西欧文明 ・・・アメリカ、フランス、ドイツ、 (イギリス)、
氏の書を読んだ私は、くどくても息子たち言います。
「移民法」が制定されたので、100年から200年の間に、大量の移民が日本へ入ってきます。中国とイスラム諸国からが、一番多いはずです。騒乱が起きても、日本国憲法では役に立たず、皇室は破壊されます。ここまで氏が警告しているのに、目を覚まさなくて良いのでしょうか。
悪法を制定した政治家たちを落選させ、政界から追放しなくてはなりません。父も選挙の一票で頑張りますから、お前たちも生きている限り、子や孫のため頑張りなさい。