曖昧なものを検討した作業の続きとして、GHQと共産党の関係を調べてみます。
参考にするのは滋賀大学経済学部の久岡賢治氏が、令和2年2月に公表した論文『占領期GHQによる検閲・宣伝工作の影響と現代日本』です。長文の研究なので必要部分だけを「ねこ庭」で編集しています。
文章のつながりが不自然になり、久岡氏には申し訳ないと思いますが、真面目な目的で編集している点を理解して頂くため、お詫びの気持をこめて、氏が論文の最後に書かれている当研究・調査の目的を、最初に紹介します。
・本研究は、あくまで公開されている占領期文書や先行研究を参考に分析を行ったものである。引き続き占領期の行政文書を発見し、新たな事実がないか探求を続けていくことは今後の課題である。
・現代の日本では、以前と比べればインターネットによる自由な言論空間が広がったことによって、占領政策や「東京裁判史観」に対し疑問を投げかける言論や報道も行われるようになった。
・しかし、一方では自虐史観教育が行われ続け、無垢の子供たちが日本人としての自信と誇りを持てないまま、大人になっているという現状もある。
・この現状を打破し、日本人一人一人が自信と誇りを取り戻すためには、GHQの占領政策の実態について、一人一人が学んでいく必要がある。本論文がその一助になれば幸いである。
つまり氏の論文と、「ねこ庭」の目的は一致しています。中身のレベルが及ばないとしても、「ねこ庭」が日本の現状を憂えている強さは変わりません。
以下、GHQと共産党の関係について、論文の別々の場所から集めた文章を訪問される方々に紹介していきます。
・超国家主義・軍国主義を否定し、先の大戦を日本の侵略戦争と規定するマルクス主義歴史観の左派と、同じく先の大戦を日本の侵略戦争と規定するGHQ・CIEの歴史観が一致することで、GHQ・CIEは「WGIP」に日本国内のリベラル・左派勢力を、積極的に活用するようになったのである。
「ねこ庭」の紹介に突然「WGIP」と言う言葉が出てきますが、氏は論文の初めで次のように説明しています。
・「WGIP ( ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム )」とは、GHQが日本人に戦争罪悪感を植え付けるため、戦時中から「対日検閲」と「占領期の検閲、宣伝工作」と共にまとめていた文書である。
・CIE (民間情報教育局)が日本国民に対して行った、プロパガンダによる洗脳工作がいわゆる「WGIP」である。
GHQと共産党の関係を述べる場合、「WGIP」は重要な役割を持っていますが、これについて言及するとテーマが大きくなり過ぎますので、詳細部分をあえて割愛しました。
両者の関係する部分だけを抽出して検討していますが、これでも、私たちの知らない事実が多くあります。
・マルクス主義歴史学者羽仁五郎とCIEが密談を重ねたうえで、日本教職員組合を設立させたことはその代表的事例である。
・また、上記文書には、東京裁判における検察側の意見を、積極的に日本人に広める方策として、「戦犯裁判における検察側の最終弁論の全文を、朝日新聞あるいは他の同様な出版社に奨励する 。」と明記されており、
・東京裁判の検察側の最終弁論を発信するために、朝日新聞を利用することが名指しで書かれている。
・検閲・宣伝工作の目的としては、日本人が二度とアメリカに立ち向かわないように、日本人に戦争罪悪感を植え付けるということである。
・すなわちアメリカ・GHQは日本人の精神を骨抜きにし、日本人をアメリカの意向に忠実な国民にしようとしたのである。
氏の論文を読んでいますと「過去記事」で紹介した伊藤貫氏が、動画で語っていた「アメリカの対日政策」と付合しているのが分かりました。
〈 「アメリカの対日政策」 〉
1. 日本が二度とアメリカに立ち向かえないようにするため、どんなことがあっても日本には再軍備をさせない。
2. たとえ中国、韓国、北朝鮮が核を持っても、日本にだけは核を持たせない。
3. 日本を永遠に保護国、植民地にしておく。
「ねこ庭」の過去記事で伊藤氏を散々酷評しましたが、喋り方が軽薄だったけれど、話はまともだったことが分かりました。
軽薄な伊藤氏の話を止め、真面目な末岡氏の論文に戻ります。
・しかし、この一連の占領政策のもう一方の主役として忘れてはならないのが社会主義者・共産主義者の存在である。
ここからいよいよ、今回のテーマになります。
・社会主義者高野岩三郎と検閲工作の関連、「WGIP」と日本共産党・野坂参三との関連など、GHQの占領政策の裏で暗躍し協力する、社会主義者・共産主義者について既に記述してきた。
・当時のGHQ内部には、数多くの社会主義者・共産主義者・ソ連コミンテルンスパイがいたことが明らかになっている。
・GHQのG2部長であったウィロビーの『回顧録』には、GHQ内部に浸透していた社会主義者・共産主義者・ソ連コミンテルンスパイについて、詳しく書かれている。
話はどうやら日本国内にとどまらず、アメリカとソ連や中国の共産党も関係しているようです。スペースが窮屈になりましたので、続きを次回にしたいと思います。