古森義久氏著「アメリカでさえ恐れる中国の脅威」(平成21年刊 ワック株式会社)を読み終えた。
氏は毎日新聞で編集委員を務めた後、産経新聞へ移り中国総局長となった異色の経歴を持つ人物だ。毎日新聞記者当時の経験を綴った「ベトナム報道1300日」を読んだのは、2年前だったから、氏とは二度目の出会いだ。
中国の現状に関する「米議会調査機間の報告書」が、この本の元資料だ。先月読んだ「小平のいない中国」が平成7年の出版だから、氏の著作は中国の実像に最も近い本ということになる。読後感は、ただ一言「言い知れぬ危機感」だった。
反日・売国の政治家や腐れマスコミのお陰で、危険な中国を肌で感じぬままに暮らしてきたが、ここまでくると覚悟という段階にいると分かった。
中身についてはこれから述べるとして、アメリカでさえ恐れている中国とは何なのか。結論から述べると、「共産党独裁の国家に暴走されたら、アメリカだってたじろいでしまう」という事実だった。アメリカも大統領の決意次第で無謀な戦争を始める国だが、それでも曲がりなりにも民主主義の国家だから、自由な意見が許され反対や異論がいくらでも主張できる。国民の多数が反対する行為なら、いずれ糾弾され、政権の交代や大統領の失脚につながったりする。
しかし独裁と弾圧の中国では、反対意見がねじ伏せられ、異論は武力で押さえつけられる。国民の意見とか、世論とか、野党の大好きな民意とか、そんなものは党主席の決定の前では何の意味もなさない。要するに、中国は政治問題が内乱でしか解決できないという恐怖の国なのだ。つまり共産党の一党独裁下では、主席の暴走を止める平和的施策が皆無だということ。
貧しい後進国だった中国はすでになく、経済力でも、軍事力においても、世界に恐れる者がないほどの大国になってしまった。彼らに言わせれば、植民地戦争時代に受けた屈辱の歴史の清算の時が来て、欧米列強へ報復をしているだけのことらしい。中でも小国日本から日清戦争で負かされたことは、何にも増して我慢がならない・・・・と、これが中国を強国にした民族団結の怨念である。
まず私たちが認識を新たにしなくてならないことは、中国の経済が、世界経済に組み込まれた度合いの深さと大きさだ。中国憎しのあまり、明日にでも崩壊しそうな予想が日本で幅を利かせ、中国を嘲笑する本が売れているが、どうやら事実はそんな簡単なものでないらしい。中国が崩壊したら、日本はおろか世界中の歯車が動かなくなってしまう事実の方が真実味があると思えてきた。
家電、自動車、情報機器、農産物、雑貨等々、日本のメーカーが大挙して現地生産に踏み切り、もはや中国なしで日本経済は回らなくなっている。日本だけかと思っていたら、アメリカの方がもっと緊密な関係になっていたと知った。一例を挙げれば、航空機産業の関連部品の大半が中国で作られているという事実だ。
軍事機密が多いからと、日本にだって渡さない技術を、中国マーケットの大きさに負け、アメリカは合弁企業で現地生産している。中国の恐ろしいところは、関連する現地企業がほとんど国営であり、解放軍とのつながりを有し、機密が際限なく盗まれていくという構造だ。だから「調査報告書」は、ボーイング社がどんどん生産拠点を中国へ移すことについて、次のような危惧を表明している。
「米中間のこの種の状況を、規制しないで放置しておくことのマイナス点は明らかだ。アメリカの企業にとって、製品の販売が常に生産拠点や必要技術の他国への移転を意味するならば、その企業の利益とアメリカの国益は合致しなくなる。」「特定のアメリカ企業はこの種の条件に応じることで利益を増すことができるが、アメリカ国家にとっては、自国の経済や安全保障に有害な事態を招くことになる。」
ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーやメリルリンチなどといった米国のファンドマネーが世界中を席巻し、自国はおろか日本もヨーロッパも東アジアの国々も、経済を掻き回された記憶はつい昨日のように新しい。会社の利益のためなら、彼らは国家も社会も無視し、腐肉をあさる禿鷹のように情け容赦なくビジネスを展開した。グローバリズムなどという一見高尚らしい言葉で、弱肉強食の世界を作ろうとしている。
けれども今では、その彼らさえ恐れさせる投資ファンドが中国に二つ存在している。一つはCIC(中国投資有限責任公司)であり、今ひとつがSAFE(国家外貨管理局)の巨大ファンドだ。これらについて、報告書は次のように説明する。重要なことなので、面倒でもそのまま引用したい。
「中国の国家ファンドは、世界最大の保有外貨に直接支えられている点でも、他の国の政府系ファンドとは異なる。」「中国の外貨保有高は既に二兆ドルで、さらに毎年5 千億ドルの割合で増大していく。この巨額な外貨は、中央銀行の一部である国家外貨管理局」(SAFE)によって管理されている。」
「このSAFE自体がCICと競争するような形で、独自の投資活動をすることもある。」「SAFEもCICも他の国有銀行、国有企業と同様に、中国政府からの命令を受けて国家目標を推進するために機能している。」つまり中国のファンドは、政府の意思のままに動いている点が、他の国々の政府系ファンドと基本的に異なっているのだという。
端的に言って、アメリカの懸念はここにある。
「アメリカでは長年、国家間の経済、金融の取引は原則として民間セクターが主体となり、政府の役割は制限されていることが望ましいと考えられてきた。」「中国の国家ファンドの膨張を許せば、世界の自由経済市場の重要な部分が、独裁的政府の所有下に置かれコントロールされることとなる。」「中国の国有企業の海外での拡大は、国際的資産が特定の国家の管理下におかれ、アメリカが当然視してきた国際経済、国際金融の構造と機能を変質させることとなる。」
つまり世界中の経済、金融、貿易が、中国の管理下に入っていくという恐ろしい話だ。
現在の中国はアメリカ債への投資と購入額で世界最大の国となっており、オバマの米国はチャイナマネーの国内流入が拒めない立場にいる。報告書はさらに続ける。かって世界最強の大国だったアメリカが上げる、悲鳴のような報告書である。
「中国側の投資が、アメリカの自動車、電機、通信、宇宙なとどいう安全保障にかかわる、高度技術の領域の企業に及ぶとなれば、アメリカの国家安全保障への深刻な疑念が生まれてくる。」
昔のアメリカなら、即座に中国への報復と反撃を開始し、力任せに問題を解決しただろうに、中国に対し議会への報告書で懸念を表明するだけという無力さだ。大国アメリカの没落の方が、中国の崩壊より早まっているのではなかろうか。古森氏の本だけで判断するのは早計だとしても、最早我が国の保守の人々が軽視するような中国の実態ではない。
アメリカですら困惑している中国の強大さを、私たち日本国民は真剣に直視し、考えなおさなくてならない。平泉氏の警鐘の正しさが日を追うごとに明らかになる。氏の逝去を知って以来、残りの動画を見てしまうが惜しくなり中断しているが、これもそろそろ再開しなくてはなるまい。
このような中国を脇において、日本の政治家たちは、「平和憲法」やら「集団的自衛権の可否」やら、何を呑気な空論を弄んでいるのだろうか。能天気な政治家たちを棲息させているのが、お人好しで愚昧な多数の国民だとすれば、こんな悲惨な話はない。「独裁者安部を倒せ」とか、「戦争を許すな」とか、隣国を知ればとても叫んでおれない寝言なのに、お花畑で騒いでいる人間たちは文字通りの「左巻き」だ。
明日も、この続きを書こう。
爽やかな秋の空が美しい。風が冷たくなり、二三日中には、衣替えの準備をしなくてはいけない。ランニングシャツを半袖から長袖に入れ替えたが、本格的な冬物の準備はもう少し先だ。中国へのブログが一段落するまで、何もかもお預けだ。
これからは楽観的な中国批判や嘲笑を止め、覚悟を持って、国民のひとりとして対応策を考えてみたい。とてもじゃないが、獅子身中の虫みたいなバカな人間など相手しておれなくなった。こんな気持ちは、国を大切にする保守の人々にしか理解されないのだろうと、そんな思いにさせられる今宵だ。
氏は毎日新聞で編集委員を務めた後、産経新聞へ移り中国総局長となった異色の経歴を持つ人物だ。毎日新聞記者当時の経験を綴った「ベトナム報道1300日」を読んだのは、2年前だったから、氏とは二度目の出会いだ。
中国の現状に関する「米議会調査機間の報告書」が、この本の元資料だ。先月読んだ「小平のいない中国」が平成7年の出版だから、氏の著作は中国の実像に最も近い本ということになる。読後感は、ただ一言「言い知れぬ危機感」だった。
反日・売国の政治家や腐れマスコミのお陰で、危険な中国を肌で感じぬままに暮らしてきたが、ここまでくると覚悟という段階にいると分かった。
中身についてはこれから述べるとして、アメリカでさえ恐れている中国とは何なのか。結論から述べると、「共産党独裁の国家に暴走されたら、アメリカだってたじろいでしまう」という事実だった。アメリカも大統領の決意次第で無謀な戦争を始める国だが、それでも曲がりなりにも民主主義の国家だから、自由な意見が許され反対や異論がいくらでも主張できる。国民の多数が反対する行為なら、いずれ糾弾され、政権の交代や大統領の失脚につながったりする。
しかし独裁と弾圧の中国では、反対意見がねじ伏せられ、異論は武力で押さえつけられる。国民の意見とか、世論とか、野党の大好きな民意とか、そんなものは党主席の決定の前では何の意味もなさない。要するに、中国は政治問題が内乱でしか解決できないという恐怖の国なのだ。つまり共産党の一党独裁下では、主席の暴走を止める平和的施策が皆無だということ。
貧しい後進国だった中国はすでになく、経済力でも、軍事力においても、世界に恐れる者がないほどの大国になってしまった。彼らに言わせれば、植民地戦争時代に受けた屈辱の歴史の清算の時が来て、欧米列強へ報復をしているだけのことらしい。中でも小国日本から日清戦争で負かされたことは、何にも増して我慢がならない・・・・と、これが中国を強国にした民族団結の怨念である。
まず私たちが認識を新たにしなくてならないことは、中国の経済が、世界経済に組み込まれた度合いの深さと大きさだ。中国憎しのあまり、明日にでも崩壊しそうな予想が日本で幅を利かせ、中国を嘲笑する本が売れているが、どうやら事実はそんな簡単なものでないらしい。中国が崩壊したら、日本はおろか世界中の歯車が動かなくなってしまう事実の方が真実味があると思えてきた。
家電、自動車、情報機器、農産物、雑貨等々、日本のメーカーが大挙して現地生産に踏み切り、もはや中国なしで日本経済は回らなくなっている。日本だけかと思っていたら、アメリカの方がもっと緊密な関係になっていたと知った。一例を挙げれば、航空機産業の関連部品の大半が中国で作られているという事実だ。
軍事機密が多いからと、日本にだって渡さない技術を、中国マーケットの大きさに負け、アメリカは合弁企業で現地生産している。中国の恐ろしいところは、関連する現地企業がほとんど国営であり、解放軍とのつながりを有し、機密が際限なく盗まれていくという構造だ。だから「調査報告書」は、ボーイング社がどんどん生産拠点を中国へ移すことについて、次のような危惧を表明している。
「米中間のこの種の状況を、規制しないで放置しておくことのマイナス点は明らかだ。アメリカの企業にとって、製品の販売が常に生産拠点や必要技術の他国への移転を意味するならば、その企業の利益とアメリカの国益は合致しなくなる。」「特定のアメリカ企業はこの種の条件に応じることで利益を増すことができるが、アメリカ国家にとっては、自国の経済や安全保障に有害な事態を招くことになる。」
ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーやメリルリンチなどといった米国のファンドマネーが世界中を席巻し、自国はおろか日本もヨーロッパも東アジアの国々も、経済を掻き回された記憶はつい昨日のように新しい。会社の利益のためなら、彼らは国家も社会も無視し、腐肉をあさる禿鷹のように情け容赦なくビジネスを展開した。グローバリズムなどという一見高尚らしい言葉で、弱肉強食の世界を作ろうとしている。
けれども今では、その彼らさえ恐れさせる投資ファンドが中国に二つ存在している。一つはCIC(中国投資有限責任公司)であり、今ひとつがSAFE(国家外貨管理局)の巨大ファンドだ。これらについて、報告書は次のように説明する。重要なことなので、面倒でもそのまま引用したい。
「中国の国家ファンドは、世界最大の保有外貨に直接支えられている点でも、他の国の政府系ファンドとは異なる。」「中国の外貨保有高は既に二兆ドルで、さらに毎年5 千億ドルの割合で増大していく。この巨額な外貨は、中央銀行の一部である国家外貨管理局」(SAFE)によって管理されている。」
「このSAFE自体がCICと競争するような形で、独自の投資活動をすることもある。」「SAFEもCICも他の国有銀行、国有企業と同様に、中国政府からの命令を受けて国家目標を推進するために機能している。」つまり中国のファンドは、政府の意思のままに動いている点が、他の国々の政府系ファンドと基本的に異なっているのだという。
端的に言って、アメリカの懸念はここにある。
「アメリカでは長年、国家間の経済、金融の取引は原則として民間セクターが主体となり、政府の役割は制限されていることが望ましいと考えられてきた。」「中国の国家ファンドの膨張を許せば、世界の自由経済市場の重要な部分が、独裁的政府の所有下に置かれコントロールされることとなる。」「中国の国有企業の海外での拡大は、国際的資産が特定の国家の管理下におかれ、アメリカが当然視してきた国際経済、国際金融の構造と機能を変質させることとなる。」
つまり世界中の経済、金融、貿易が、中国の管理下に入っていくという恐ろしい話だ。
現在の中国はアメリカ債への投資と購入額で世界最大の国となっており、オバマの米国はチャイナマネーの国内流入が拒めない立場にいる。報告書はさらに続ける。かって世界最強の大国だったアメリカが上げる、悲鳴のような報告書である。
「中国側の投資が、アメリカの自動車、電機、通信、宇宙なとどいう安全保障にかかわる、高度技術の領域の企業に及ぶとなれば、アメリカの国家安全保障への深刻な疑念が生まれてくる。」
昔のアメリカなら、即座に中国への報復と反撃を開始し、力任せに問題を解決しただろうに、中国に対し議会への報告書で懸念を表明するだけという無力さだ。大国アメリカの没落の方が、中国の崩壊より早まっているのではなかろうか。古森氏の本だけで判断するのは早計だとしても、最早我が国の保守の人々が軽視するような中国の実態ではない。
アメリカですら困惑している中国の強大さを、私たち日本国民は真剣に直視し、考えなおさなくてならない。平泉氏の警鐘の正しさが日を追うごとに明らかになる。氏の逝去を知って以来、残りの動画を見てしまうが惜しくなり中断しているが、これもそろそろ再開しなくてはなるまい。
このような中国を脇において、日本の政治家たちは、「平和憲法」やら「集団的自衛権の可否」やら、何を呑気な空論を弄んでいるのだろうか。能天気な政治家たちを棲息させているのが、お人好しで愚昧な多数の国民だとすれば、こんな悲惨な話はない。「独裁者安部を倒せ」とか、「戦争を許すな」とか、隣国を知ればとても叫んでおれない寝言なのに、お花畑で騒いでいる人間たちは文字通りの「左巻き」だ。
明日も、この続きを書こう。
爽やかな秋の空が美しい。風が冷たくなり、二三日中には、衣替えの準備をしなくてはいけない。ランニングシャツを半袖から長袖に入れ替えたが、本格的な冬物の準備はもう少し先だ。中国へのブログが一段落するまで、何もかもお預けだ。
これからは楽観的な中国批判や嘲笑を止め、覚悟を持って、国民のひとりとして対応策を考えてみたい。とてもじゃないが、獅子身中の虫みたいなバカな人間など相手しておれなくなった。こんな気持ちは、国を大切にする保守の人々にしか理解されないのだろうと、そんな思いにさせられる今宵だ。