ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

LGBT法成立後の日本 - 11 ( LGBTをめぐる国内の動き )

2023-12-05 17:07:42 | 徒然の記

 〈 3.  7月12日 「トイレ制限 国に違法判決」「性同一性障害巡り最高裁 」「経産省職員 勝訴確定」〉

  今回は平成29年の「参議院常任委員会調査室・特別調査室」資料から、「 LGBTをめぐる国内の動き  」の部分を紹介いたします。退屈で眠りを誘われそうな、味気ないデータですが、忍耐力と愛国心に加え、修行僧の心がいるような気がしてきました。

 岸田首相だけに批判が集中していますので、参考のため当時の首相名を追加します。

 平成 14年・・小泉首相

   ・「人権教育・啓発に関する基本計画」( 3月15日閣議決定 ) に同性愛者への差別といった、性的指向に係る問題の解決に資する施策の検討を行うことが盛り込まれる

 平成 16年・・小泉首相

          ・性同一性障害者の、性別の取扱いの特例に関する法律 ( 平成15年) 施行

 平成 22年・・菅直人首相

          ・文部科学省が、性同一性障害への対応徹底を求める事務連絡を発出

 平成 24年・・安倍首相

            ・内閣府が、人権擁護に関する世論調査20を実施

        ・「自殺総合対策大綱」( 8月28日閣議決定 ) で、自殺の恐れが高い層として「性的マイノリティ」に言及

 平成 26年・・安倍首相

           ・文部科学省が、学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査を公表

 平成 27年・・安倍首相

          ・LGBTに関する課題を考える、国会議員連盟発足 ( 超党派 )

                         会長・岩屋毅  会長代理・稲田朋美 幹事長・西村智奈美 ( 立憲民主  )  事務局長・谷合正明 ( 公明  ) 

        事務局次長・松島かれん  顧問・細野豪志  幹事・福島瑞穂 ( 社民  )

           ・文部科学省が、「性的マイノリティ」の児童生徒全般に配慮を求める通知を発出

      ・東京都渋谷区と世田谷区が、同性パートナーの証書の発行を行う制度を開始

           ・「第4次男女共同参画基本計画」( 平成27年12月25日閣議決定 ) において、性的指向や性同一性障害を理由として、困難な状況に置かれている場合への対応が盛り込まれる

 平成 28年・・安倍首相

          ・自民党、「性的指向・性自認に関する特命委員会」設置

                           会長・稲田朋美  委員長・古屋圭司 事務局長・橋本がく

    ・文部科学省が、教職員向け手引を作成・公表

    平成29年・・安倍首相

          ・男女雇用機会均等法 ( 昭和47年法律第113号 ) に基づく、改正セクハラ指針が施行され、被害者の 性的指向・性自認にかかわらず職場におけるセクハラが対象となることが明記された

       ・性的指向や性自認をからかいやいじめの対象とする言動も、セクハラに当たり許されないことを 明確化する、人事院規則の運用通知の改正

        ・いじめ防止対策推進法 ( 平成25年法律第71号 ) に基づく基本方針が改定され、LGBTへの対 応が盛り込まれる

        ・2020年東京オリンピック・パラリンピック大会において、開催に必要な物品・サービスの調達基 準や運用方法などを定めた調達コードに、LGBTなどを含めた「社会的少数者」の権利尊重 を規定

      ・性的指向と性自認に関する施策を推進するための、地方自治体議員連盟が発足

 歴代首相の名前を追加しますと、別の風景が見えることが分かりましたので、裁判所の判決の出た時の首相も調べてみました。

   1 段階     平成 27 年  ( 安倍首相  ) ・・ 経産省の対応を是とした人事院判定 

  2  段階    平成 31  年  ( 安倍首相  )  ・・東京地方裁判所判決   ( 人事院判定を否定  )

  3  段階     令和  3  年  ( 岸田首相  )    ・・東京高等裁判所判決   ( 人事院判定を肯定  )

  4  段階     令和  5  年  ( 岸田首相  )   ・・最高裁判所判決    ( 人事院判定を否定  )

 私に見えた「別の風景」につきましては、次回に説明いたします。

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LGBT法成立後の日本 - 10 ( LGBT問題は、いつから生じたのか。 )

2023-12-05 13:40:45 | 徒然の記

 〈 3.  7月12日 「トイレ制限 国に違法判決」「性同一性障害巡り最高裁 」「経産省職員 勝訴確定」〉

 最高裁判所の見解を説明した記事の、続きです。

  ・職員が性同一性障害について周囲に説明会を開いて以降、人事院の判定が出るまで、

  ・約4年10ヶ月の間、経産省側が処遇見直しなどの検討をしなかった

  ・人事院判定は、職員の具体的事情を踏まえることなく、同僚らへの配慮を過度に重視している

  ・職員が不利益を受ける事情はなく、著しく妥当性を欠く ・・・と結論づけた。

 以上が記事の全文ですが、「ねこ庭」で読みますと、やはり最高裁の結論の「過度」と「著しく」の言葉に違和感があります。自分の79年前の経験から類推しても、経産省と同僚たちが4年10ヶ月間放置していたと思えません。突然女性に変身した彼に戸惑いながら、何気ない風を皆が努力していたから、彼はトラブルのない日々を過ごせたのです。同僚たちの配慮があったから、トイレの問題以外で何もなかったのではないでしょうか。

 波多君に話しかけたり、談笑したり、喫茶店で一緒に過ごしたりしていたクラスメートを思い出すと、同僚たちが彼を放置していなかった事実が私には見えます。人事院の判定は、省内の人間関係を踏まえています。最高裁の結論は、人間関係の機微を無視した無理のある判断と思えてなりません。

 最高裁判所は令和3年に東京高等裁判所の判決を受け、令和5年に判決を出すまで 2年かかっています。ならばこの間最高裁判所は、職員を不利益状態のまま放置していたことになるのでしょうか。もっと言えば、人事院の判定を受け東京地方裁判所、東京高等裁判所、最高裁判所の判決まで約 8年かかっていますが、この間を指して、最高裁判所は職員を長期間放置していたと言いません。

 屁理屈と笑う人もいるでしょうが、裁判所だけで8年かかっている困難な問題を、人事院の判定が4年10ヶ月掛ったから放置したと、どの口が言うのでしょう。最初に問題を検討した経産省と人事院で時間がかかるのは、当然です。人事院と経済産業省の出した結論の上に立って検討しているのですから、裁判所はもっと早く結論が出せるはずと、そんな見方もできないではありません。だからこういう意見は、裁判所の判断というより、単なる感情論か水掛け論になります。

 国の三権である司法、立法、行政と、主権者である国民を、ここまで難渋させるLGBT問題は、いつから生じていたのか。

 一つの道が塞がったら、別の視点から眺めてみるのも解決の助けになります。

 「2017 ( 平成29 ) . 11  No. 394 参議院常任委員会調査室・特別調査室」の資料が見つかり、その中に「同性婚をめぐる諸外国の状況」というデータがありました。

    2005年(平成17年)   ・カナダが同性婚を合法化

    2013年(平成25年)         ・フランスが同性婚を合法化

          2014年(平成26年)         ・イギリスが同性婚を合法化

          2015年(平成27年)        ・アメリカ連邦最高裁が全州で同性婚の権利を認める判断

          2016年(平成28年)         ・イタリアで同性カップルに結婚に準じた権利を認める法律が成立

 LGBTの動きは、「同性婚」問題から始まっていたことがうかがわれますが、同資料には「LGBTをめぐる国内の動き」というデータもあり、平成14年の閣議決定で「同性愛者への差別解決」と書かれています。欧米諸国より3年も早く、日本が「同性愛問題」を取り上げていたことになります。

 LGBT問題に限らず、SDGs、ESG、テレワーク、デジタル化・デジタル庁、脱原発・脱炭素など、英語やカタカナの混じった政策は全て欧米発です。「日本の順位は世界で最下位」などと言われると、「世界の流れに遅れてはならない」と懸命に取り組む・・この繰り返しですから、LGBTや同性愛問題に関し、日本が先行して閣議決定をするとは考えられません。

 新聞記事の紹介の本題を外れますが、次回は息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に「LGBTをめぐる国内の動き」の内容をお伝えします。忍耐力と愛国心を持っておつき合ください。

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