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戦争と正義 - 8 ( マイク・ウォレス氏の論文 )

2019-06-22 13:24:08 | 徒然の記
 執筆した8人の学者のうち、2人の論文を、紹介しました。今回は、マイク・ウォレス氏の論文です。
 
 執筆者たちはアメリカの苦悩について、多方面から考察し、客観的に述べていますが、日本に関しては冷静というより、冷酷な見方をしています。
 
 その中でウオレス氏が、一番過激な意見を持っていますからて紹介しようと思います。朝日新聞が「慰安婦問題」の虚偽報道を間違いと認め、社長が辞任したのが平成26年でした。この本が出版されたのはその16年前ですから、致し方なしとは思いますが、氏は朝日新聞へ捏造情報を提供した、吉見義明氏を称賛するという間違いをしています。
 
 極端な学者の主張もアメリカの意見の一つですから、いわばこれが、私のブログでの「両論併記」です。
 
 「アメリカ人は、当然のことながら、」「ファシスト国家の犯罪行為を進んで謝罪したドイツとは、たいへん対照的に、」「日本の閣僚、教育者、学芸員が、何十年も、自国の侵略の記録を軽視したり、否定してきたことに対して、憤慨してきた。」
 
 「広島平和記念資料館は、まるで原爆が落ちた日に、戦争が始まったかのようにみせ、」「広島市や国が、単なる殉教者か、被害者であるかのように見せている。」
 
 「このため、広島から展示物を借りることになっていた、スミソニアン博物館は、」「貸し手の政治的意図も引き取ってしまったと、批判者たちに、非難されることになってしまった。」
 
 ドイツが謝罪したのはユダヤ人の虐殺についてで、「戦争」に対してではありません。民族浄化という犯罪ですから、ドイツはこれを謝罪しています。日本は、そのようなことをしていませんから、ドイツと並べて論じるのは不適切です。
 
 ウォレス氏がそれをいうのなら、先住民であったインディアンを虐殺したアメリカは、一度でも彼らに謝罪しているのでしょうか。氏の意見は、独善的アメリカ人の典型的な理屈です。
 
 「だがそうした日本の、政治的状況は変わり始めていた。」「日本国内の批判者、とりわけ社会主義者や平和主義者たちの圧力を受けて、」「戦争を始めたことや、残虐行為を犯したことの、責任を取る方向に向かい、」「意義深い道を、辿り始めていた。」
 
 「吉見義明教授のような歴史学者は、韓国人慰安婦が、強制的に帝国軍隊に奉仕させられたことを、」「反駁の余地なく証明することによって、政府に責任の否認を取り消すように促した。」
 
 ウォレス氏のような学者がアメリカにいたので、反日左翼の吉見氏が評価されたのだと、この本を読んで理解しました。当時朝日新聞は、一面のトップ記事で吉見氏の意見を載せ、政府を糾弾していました。しかし慰安婦の強制連行に、軍が関与した証拠書類だと氏が発表したものは、軍の関与を否定する書類でした。
 
 「良からぬ業者が横行し、人身売買が行われているから、注意せよ。」という、軍の司令書だったのです。
 
 ウォレス氏の意見を聞いていますと、むしろ別の推測が生まれてきます。反日左翼学者と朝日新聞の連携、これを支持するウォレス氏のような米国人学者グループ、さらには共同歩調を取る中国と韓国の活動家、それを支援する中国と韓国の政府・・・・
 
 「優れた知識人や政治家(この中には、社会主義者の総理大臣村山富市も含まれる )は、日本が侵略したアジアの国々に対する、国会の謝罪を要求した。」
 
 「保守的な党派や官僚、企業の経営者という連合軍の激しい反対にあったが、1994 ( 平成6 ) 年の世論調査では、」「日本人の5人に4人が、自分たちの国は占領した国々の国民に、適切な償いをしていないと思っていることが、分かった。」
 
 「村山談話」のことを言っているのだと思いますが。村山氏が、優れた政治家であったと思っている者が、日本に何人いるのでしょう。平成6年は村山政権の時ですが、その時にこのような世論調査があったのか記憶にありません。
 
 息子たちに言います。日本で疑問に思われている話を、事実であるようにウオレス氏がアメリカで語っています。
 
 「それだけに、スミソニアンの展覧会の中止は、とりわけ皮肉なものと言える。」「アメリカ人は、右派の圧力を受けて、過去を思い出すことを、拒否しており、」「日本人は左派の圧力を受けて、過去に面と向かい始めていたのだ。」
 
 「今の日本は、手ごわい競争相手かもしれないが、」「資本主義側の競争相手であり、おまけに同盟国である。」
 
 「以前、アメリカ国内の知識人に対しアカ狩りをしたように、黄色狩りをすることは、それほどやさしくはないだろう。」
 
 日本の反日左翼との共同作業とは言え、ここまで言われると不愉快になります。最後の言葉は白人優位意識からくる、人種差別です。島田氏は、ウォレス氏の論文を主として、「あとがき」を書いたのでしょうが、8人の学者の中で最も反日的、人種差別的意見を重要視したのですから、呆れるしかない日本人です。
 
 安倍総理が「歴史修正主義者」と呼ばれ、米国のマスコミに叩かれた背景についても分かりました。愉快でありませんでしたが、一つの収穫は、毎年行われる広島と長崎の平和記念式典について、認識が少し改められたことです。アメリカの世論がここまで対立し、真剣であるのなら、「原爆の悲劇を繰り返すな」という女子学生たちの訴えも、心あるアメリカ人には届いているということになります。
コメント (4)
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