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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

エンゲルハート、リネンソール氏共著『戦争と正義』 - 7 ( 両論併記の論文を翻訳しながら、偏見の説明 )

2019-06-21 12:38:00 | 徒然の記
  本日は、エドワード・リネンソール氏の論文を紹介します。
 
  ・エノラ・ゲイとその任務に対する懐疑的見方は、政府に不満を持つ、ベトナム世代や、左翼の歴史学者、または、政治的公正主義の所産だと言われているが、その起源は半世紀前にある。」
 
  ・1945 ( 昭和20 ) 年の春から夏にかけて、アメリカの報道機関は、日本の無条件降伏以外の方法について活発に議論していた。
 
  ・原爆製造の「マンハッタン計画」に関与していた科学者の間には、原爆使用の決断が、賢明かどうかにつき、大きな意見の相違があった。
 
   ・戦争終結後には、プロテスタントやカトリックの、多くの著名なスポークスマンから、原爆投下に対して激しい批判があった。
 
 昭和20年と言えば、日本でマッカーサーの統治が始まった時ですから、米国の動きが伝えられるはずがありません。どこかの時点で、日本のマスコミは知ったはずなのに、「日本だけが悪い。」「日本だけが間違っていた。」と記事を書き続けていました。
 
  ・影響力を持つ保守派もまた、原爆投下の決断を批判した。『タイム』の創刊者ヘンリー・ルースは、1948 ( 昭和23 ) 年に、次のように書いた。
 
  ・無条件降伏という政策でなく、最初からアメリカの条件を明示していても、間違いなく、日本との戦争は現実より遅れることなく終結しただろう。クリスチャンの良心を、ひどくかき乱した原爆投下がなくてもだ。
 
 「ニューヨークタイムズ」や、「ユナイテッド・ステイツ・ニュース」の編集者たち、その他何人もの保守派のジャーナリストたちが、同様の批判を口にしていると氏が語ります。
 
 例の一つとして、1958 ( 昭和33 ) 年に「ナショナル・レビュー紙」に寄稿された、ハリー・バーンズ氏の意見を紹介しています。
 
  ・広島と長崎で焼き殺された数万の日本人は、戦争終結のため、あるいはアメリカ人や、日本人の救命のため犠牲とされたわけでなく、アメリカの対ソ外交を強化するための犠牲とされたのだ。
 
 昭和33年にこのような意見が、アメリカの新聞で公にされていたという事実を、私たちはなんと受け止めれば良いのでしょう。
 
 私はまず、アメリカに抱いていた偏見を修正します。
 
 アメリカのマスコミは国民のため、両論併記をしていました。これをしないのは、日本の反日左翼朝日新聞だったのです。
 
 息子たちに言います。朝日新聞の反日ぶりと、翻訳者島田氏の曲がった心根を思い出してください。醜い意見を、再度転記します。
 
  ・これは単に、アメリカだけの問題ではない。
 
  ・過去の所業を直視しないという点では、侵略したアジア諸国へろくに謝罪もせず、「南京大虐殺」や「慰安婦問題」を糊塗しようとする政治家を選び出す、日本の問題でもある。
 
  ・「エノラ・ゲイ展」をめぐる論争は、過去に対して道義的責任を追わない国はその存立基盤を危うくするという、大変重要なことを、教えてくれるだろう。
 
 リネンソール氏の論文を読んで、日本人の中で島田氏のような読後感を得る人が果たして何人いるでしょう。反日朝日に感謝する彼は、朝日に媚び、国民に嘘の説明をしています。私はリネンソール氏の論文が、両論併記だという事実を紹介します。
 
 リネンソール氏が、インタビューした米国人の意見を紹介しています。文章をやめて、項目で列挙します。
 
 〈 1.  1970 ( 昭和45 ) 年 〉
 
    ・バリー・ゴールドウォーター上院議員
 
   「日本に原爆を投下した飛行機が、スミソニアンの展示物の一つになるとは、考えたくない。」
 
       ・フランク・トンプソン下院議員
 
   「私は国として、原子爆弾の使用を誇りにしようと思わない。」「博物館に展示されるのを見れば、私の心は傷つくだろう。」
 
 〈 2.  1980 ( 昭和55 ) 年 〉 
 
   ・元B29乗員だった退役軍人の数人
 
   「博物館は、エノラ・ゲイを修復して陳列せよ。」
 
 〈 3  1981 ( 昭和56 ) 年 〉 
 
  ・会計検査員トーマス・ファーガソン
 
   「エノラ・ゲイを、34年間も格納していることは、自由の女神像や、最初に月面着陸した宇宙船をしまい込んでいるようなものだ。」
 
   「スミソニアンは、アメリカの最も重要な遺産を死蔵している。」
 
 リネンソール氏の中から、島田氏はどのようにして、反日の意見を引き出したのでしょうか。
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エンゲルハート、リネンソール氏共著『戦争と正義』 - 6 ( 真珠湾攻撃前夜の、日本大使館 )

2019-06-21 07:16:48 | 徒然の記
   マリリン・ヤング氏の、論文の続きです。
 
  ・アメリカ人は誰もみな、敵が下劣至極にも予告することもせず仕掛けてきたから、アメリカが第二次世界大戦に参加したのだとする点で一致していた。アメリカは、比類なく邪悪な敵と戦って勝利を得たのだ。
 
 息子たちには、何のことか分からないと思いますが、これは「真珠湾の奇襲攻撃」をした日本のことです。「リメンバー・パールハーバー !」「真珠湾を忘れるな !」という言葉につながります。
 
 ヤング氏が、日本敗戦の日の「ワシントン・タイムズ」の記事を紹介しています。
 
 ・「 V Jデイ(対日戦勝記念日)」は、アメリカの、すべての記念日の上に置かれるだろう。アメリカは、アウグスチヌス時代のローマのように、文字通り世界の頂点にいる。
 
 前ニューヨーク州知事だった、マリオ・クモオ氏が、直近のインタビューで回想している談話も紹介しています。
 
  ・私の生涯で最大の出来事は、第二次世界大戦だった。この戦争は、アメリカが深く、たった一つの大義を信じられた最後の時だった。
 
  ・それはなぜか、それはあのけしからん東條、ヒットラー、ムッソリーニのせいだった。あのろくでなしたちは、真夜中に我々を襲った。われわれは善で、彼らは悪だった。
 
  ・団結しようと我々は言い、一般市民、社会、家族の中に力を見出した。私の生涯の中で、あんな戦争はこれまでになかった。あれ以来、いいなと思う素敵なことは何もない。
 
 これほどまで米国人を激昂させる「真珠湾のだまし討ち」は、どうして発生したのか。戦後になりそれが明らかになりました。当時を語る資料を紹介します。
 
  ・真珠湾攻撃前日(ワシントン時間の12月6日)、日本外務省はワシントンの日本大使館に、「宣戦布告の文章を暗号にして送りました。この文章は、明日の午後1時に、アメリカ側に渡せと書いてありました。
 
  ・しかし大事な文章を放置し、大使館員は全員、大使館を引き払ってしまっていました。寺崎英成( 昭和天皇独白録の著者 )が転勤するので、その送別会でした。夜遅くまで送別会で飲食し、楽しい一晩を過ごしたのだと思います。
 
   ・普段なら当直者を置くのですが、当日はそれをしていませんでしたから、翌朝大使館員が出勤して、初めてドアに紙の束を見つけました。その紙の束が、前日のうちに解読しておかなければいけない宣戦布告の文章でした。
 
  ・あわてて、解読作業に取りかかりましたが、解読機を操作できる大使館員は一人しかいませんでした。
 
 これが日本を卑怯者の国にし、米国から憎悪される「宣戦布告」遅れの原因でした。責任者は野村吉三郎大使ですが、氏を含め大使館員は誰も処罰されていません。
 
 敗戦後の外務省は謝罪外交ばかりで、「害務省」と陰口を叩かれていますが、まさに亡国の官庁でした。日本の内部事情は米国に通用しませんから、アメリカ中が「卑怯な騙し討ちをした日本人」と固く信じています。
 
 こういう風潮のアメリカで、第二次世界大戦終結の50周年が来て、エノラ・ゲイの展示がスミソニアン博物館で計画されました。
 
 博物館の関係者たちは、エノラ・ゲイを栄光の展示物としてでなく、歴史の中にある軍事的遺物として扱おうとしていました。しかしこの展覧会の形態は、かっては避けられない出来事と思われていた原爆投下が、実際には決断の問題だったことを、あからさまにすることにつながっていました。
 
   「原爆は落とさずに済んだかもしれない。」
 
    となれば、
 
   「落とすべきでなかったのでないか。」
 
    と、なる。
 
  ・ほとんど不動の事実だったものが、不慮の出来事になってしまう恐れがあった。そうなると、広島・長崎に関しする道義上の異議申立を、受けやすくしてしまう。
 
 どういう形態の展示なのかヤング氏は語っていませんが、何となく想像がつきます。奇襲とされていた真珠湾攻撃が、現在は事前に米国で暗号を解読され、ルーズベルト大統領が知っていた、という事実が出てきています。
 
 大統領が国民の戦意を高めるため、自国の兵を見殺しにしたことになります。説明文の中に、それを匂わせる言葉があったのではないでしょうか。
 
  ・今日では、ベトナム戦争が必要だったと思う者が、ほとんどいないとしても、大方の国民は、第二次世界大戦は必要だったと確信を持っている。 
 
  ・スミソニアンでの、「エノラ・ゲイの展覧会」は、あの戦争が、アメリカの残虐行為で終わったという可能性を示唆することによって、「国の神話」の中でまだ残っていたわずかな一つのものを、漂流させてしまったのだ。
 
 これは8人の学者の中の、一人の論文でしかありません。スペースがなくなりましたのでここで終わりますが、明日は別の学者の意見を、紹介します。
 
 執筆者たちは日本を批判していますが、翻訳者である島田氏が説明しているような意見はどこにもありません。朝日新聞社と島田氏が、日本に生息する「獅子身中の虫」で「駆除すべき害虫」であることだけは間違いないようです。
コメント (2)
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