だらだら日記goo編

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太郎の弟子たち

2005-03-16 23:40:39 | アート・文化
墨岡クリニックに薬をもらいに行く。待ってる時間が惜しいので川崎市岡本太郎美術館へ。
久しぶりに行く、向ヶ丘遊園から歩いて生田緑地を歩く、まだ冬が残っている。
あまり期待していなかったが、素晴らしい展覧会だ。
常設展示の太郎の作品はもとより、特集展示としてさまざまなアーティストのTシャツがずらっとならぶ。
企画展示は「岡本太郎記念現代芸術大賞」の展覧会だ。
Tシャツの展示と合わせて、太郎のDNAを受け継ぐアーティストたちが集結したといった趣だ。
企画展のほうは533の応募からの22名の作品の展示だ。
「準大賞」には「彫刻刑」と題した作品。
ブッシュやビン・ラディンをかたどった鉄面が並ぶ。
しかし僕は棚田康司という人の「父を待つ少年、母を待つ少年ー」という作品に惹かれた。
中央の少年はナザレのイエスを想起させる。パンフレットに棚田はこう書いている。
「僕は、弱弱しいものや傷ついたものの中に見え隠れする美しさに惹かれてしまう」と。
くすのき一本から彫ったこの作品に棚田がイエスを想起したかどうかは確かではない。
しかし十字架の上で神に捨てられつつなお神を求めるというイエスという存在こそ、「弱さの中の美しさ」にふさわしい。
ほかの作品がビデオや写真を駆使しているのに木彫りというのもよい。
おそらく岡本太郎という人間も時代を挑発しつつ、そこに憂いなり弱さへの共感をあらわしていった芸術家に僕は思える。
岡本の撮った写真にそのことは現れているといえる。
岡本のDNAを受け継ぐならそういう弱さへの共感があってよい。
そういう意味で僕は棚田の作品に勝手に共感を覚える。
振り返ってTシャツの展示に戻ると、これはメキシコの「明日の神話」を日本に戻すプロジェクトのひとつだ。
「明日の神話」は原爆やらそういう社会問題が背景にあるという。
「殺すな」と書かれたTシャツもつくられた。
イラクの問題などを考えるとき、岡本の発言はまことに意義をもつといえる。
会場には歌手の一青窃さんの作品もあった。
僕はテレビをまったく見ないので知らないが、一青さんははテレビなどでもこの問題に触れているのだろうか。
もつともっと知られて良い運動だ。
岡本のDNAを受け継ぐ人々が集結したこの展覧会ももっともっと話題になってよい。
久しぶりに岡本太郎に触れた、もう一回行きたいなと感じた。