今の時期に欠かせない盆栽の大事な作業に松柏類の古葉取りがある。
昨年(部分によっては一昨年)からの葉は、今年の春からの新芽の成長を支え、やがて芽から新しい葉が育ち世代が交代したので、枯れて落ちていく。
しかし、すべての古葉が落ちるのではなく、新葉に近い葉は、新葉と同じようにいつまでも青々と活きている。
ところが、その古葉がそのまま活きていると葉数が多い状態で、これは光合成が盛んになり、特に、盆栽で忌み嫌う新芽の徒長枝(ひょろ長い枝)になり易くなる。
したがって、葉の数を減らすため、古葉取りをする。
この古葉取りも、各枝一様に取り去るのではなく、全体の芽の均一な成長を促すため、成長の強いところ(主に頭部など)は、今年生えた葉をも取り、成長の鈍いところは取り方を抑制する。
深く葉を取ったところは、それだけ光合成を起こしにくくなり、成長が抑えられる。
一方、あまり葉を取らなかった裏枝(第3枝)の部分などは、葉が多い分光合成を盛んに起こすため、育成がよくなり、来年の春には、全体として均一な芽の育成状態ととなる。
本来なら、葉が自然に落ち、次の芽が自由に伸び放題伸びて、徒長枝とかも関係ないものが植物の自然だが、盆栽は、材料を苦しめながら育てる。
それは本来の成長を抑え、なるべくたくさんの枝をつくり、また根張りを力強くし、幹を太くするためであり、また小さい葉、実になるよう、小さい鉢などに窮屈に植える。
しかしそれらが、実際の自然に生きる大木とおなじような雰囲気を持たせることに盆栽の醍醐味がある。
【古葉取り前の五葉松】
【古葉を取り除く前】
【古葉を取り除いた後】
【処理後の姿】
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