写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

「散歩嫌いなハートリー」

2008年10月16日 | エッセイ・本・映画・音楽・絵画
 今、わが人生で3冊目の自費出版書「散歩嫌いなハートリー」を、室の木のフタバ図書で販売してもらっている。

 10月1日に発売開始し、今日で2週間が過ぎた。毎回のことながら、強制的にとまでは言わないが、無言の内に圧力をかけて買っていただいている知人には、心から感謝している。

 本屋さんで売ってもらっているのには訳がある。趣味で作った独りよがりのものを、お金を払って買ってくれるような人はまずいない。

 無償で身内や友人・知人に「よろしかったら読んでみてください」と言って手渡しをすることも考えた。

 しかし、渡された方の立場に立って考えてみると、自分が読んでみたいから手に入れた訳ではない。仕方なしに受け取っただけである。

 自費出版書を贈ってもらったとき、興味がなくても読まないわけにはいかない。お礼も考えたり、会えば感想なども言わなければいけない。

 そんなことならいっそのこと本屋さんに置いてもらって、情けもあろうが「読んであげてもまあいいですよ」と言っていただける人にだけ買っていただく。こんなシステムの方が良いのではないかと思ってやっている。

 読んでもらった人から早速苦情の電話がかかってきた。「校正ミスが多いですよ」と。

 著作に始まりすべてを自分一人でやったが、自分がやったことを客観的に校正するという難しさを実感している。今となっては、この件はお許し願うしかない。「ごめんなさい」。

 本屋さんはなぜかいつも私の本を、1歩間違えば落ちてしまいそうな台の端っこに置いてくれる。

 暗に、「崖っぷちですよ」と教えてくれているのだろうか。彩り鮮やかな表紙の多い本の中で、白い何の飾り気もない「散歩嫌いなハートリー」が必死で台にしがみついている。その健気さが我が分身に見えた。
(写真は、一流作家の本と並んだ「散歩嫌いなハートリー)