写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

草いきれ

2005年08月14日 | 季節・自然・植物
 春のバラの季節が終わって以来、庭・畑の手入れは全くやっていない。それでも、梅雨を迎えてアジサイは咲き、畑には、なす・きゅうり・トマト・ゴーヤなどの夏野菜が有り余るほど収穫できた。

 先日、朝食のサラダ用に野菜を取りに出て行った妻が、笑いながら部屋にもどってきた。

 通りかかった近くのおじさんが、「お宅のご主人は、具合が悪いんじゃないでしょうね」と、言われたという。

「どうしてですか」と、尋ねると、「いやいや、畑の草が随分伸びているもんで、具合でも悪いのかと思って・・・」と、心配顔で話したという。

 我が家では、庭・畑の仕事は妻の所管となっている。私は、指示された力仕事以外は、畑仕事はあまりやらない。

 夏の盛りを迎え、雑草が大変立派に成長していることは、見ただけで分かる。何を植えているのか分からないほど伸びていた。

 白熊のように暑さにめっぽう弱い私は、伸びた雑草のことを、敢えて妻とは話さないようにしていた。

 しかし、他人から見ても目に余るのだろう。遂に私が病気になったようなことを言われてしまった。

 それに、お盆も近い。「よし、草を抜こう」。3日間、毎朝早く起きて、涼しい内に草を抜いた。這いつくばって、さながら草との格闘だ。

「雑草の如く・・・」とはよく言ったものだ。何の手もかけていないのに、勝手にたくましく大きく成長している。

「子供たちも、こうであってくれたらな」と思いながら草を抜いた。収穫は、全部でポリ袋8袋にもなった。

 夏草の草いきれの中で汗だくになったが、風通しのいい見違えるような庭と畑に生まれ変わった。私の額にも、爽やかな風が通り抜けた。

   夏草に 栄養取られ  うらなりに

   近隣に 病かと言われ 草を抜く
 (写真は、草むらと化していた「菜園」)