写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

西の軽井沢

2005年08月07日 | 旅・スポット・行事
 この夏一番の暑さだろうか、朝なのに冷房をかけているがあまり効かない。食卓の下では、ハートリーが長く横たわり、口を開けハーハーいっている。

 そうだ、こんな日は「西の軽井沢」に行き、冷たい川で泳がせてやろう、と思い立ちロードスターで出かけた。

「西の軽井沢」。む?何処? 広島県廿日市市の西北山間部で、渓谷・高原・温泉・お洒落なレストラン・喫茶店がある別荘地のことである。岩国から約50kmのところにある。

 川を左に見ながら山間を上っていく。透明な濃い藍色の淵が見え隠れする。毎年訪れる、お気に入りの淵に車を止めた。

 止めた瞬間、ハートリーは、スタート寸前の出走ゲートのサラブレッドのように足をばたばたさせる。その時をよく知っている。

 川に下りた。深い中国山脈から流れ出る水は豊かで、真夏であっても冷たい。しかし、例年とは違い、今年はしびれるほどの冷たさはない。

 ハートリーのリードを放してやった。何のためらいもなく喜んで川に入り、淵に向かって得意の犬掻きで泳いでいった。

 水泳教室に通わせた訳でもないのに、天性で上手に泳ぐ。自慢そうに大きな鼻を上に向けて、Uターンしてこちらにもどってくる。

 小石を淵に投げてやると、なんと顔を水に潜らせてそれを探す。コッカースパニエルは水鳥の猟犬だからだろうか。全く水を恐れない。

 鵜のような犬だ。膝の上まで水に入り、見ている私も涼を得た「西の軽井沢」は、私お勧めのスポットである。お試しあれ・・・
   (写真は、ハートリー得意の「10m犬掻き」)