まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ「十字軍」運動NEWSLETTER-436-

2009年09月08日 |  マツタケの林地栽培 
北海道アカエゾマツのマツタケ(S氏撮影)


まつたけ復活・里山再生市民運動


次の開催日は9月11日(金)岩倉に10時です.
今回の活動は、マツタケ山の手入れに伴う多量のバイオマス利用の一環として、ポスト民芸活動を行います.全国の心ある方々の寄付によって造ることができた多機能窯で、民芸品を越える作品を作ろうというものです.
もちろん山づくり作業は、いつものように行います.北海道のアカエゾマツ林では、マツタケ発生の最盛期だそうです.


里山林の新しい活用を考えよう!
 飽くことのない人の欲望実現の陰に失くしたことが沢山ある.その一つに地球全体で生じている環境破壊がある.環境の修復などが新たな産業を創ると期待もされている.これらの課題を20世紀型の経済効率第一で解決しようとすると必ず抜ける分野が出てくる.その中に里山保全があり林業があるように思える.
最近、田んぼも水田の時には水生生物が、乾田の時には他の生活能を持った生物が棲み分けていることが明らかになっている.また、里山林もパッチ状に皆伐した林と生長した林分とで生物が棲み分けたり移動するのである.里山の小動物の多くは、田んぼと山とを両方使って生きている.
 長い時間を掛けて、人が里山という生態系を創り出し維持したことによって、色々な生物がその環境に適応したのである.その里山が崩壊したため、生物の多様性が危機に瀕している.マツタケは、アカマツをホストにするキノコで、土壌が富栄養化し駆逐されている.それらを保全するには本来の里山に回復させねばならない.
 京都で、ボランティアの方々とまつたけ十字軍運動と称し、里山林を健全化すれば京まつたけが復活することを実証しようとしている.いま、アカマツ林は放置されその地域の極相林に置き換わっている.マツノザイセンチュウ病がマツタケの生息地の崩壊を更に推し進めている.続いて地球規模の気候変動が追い打ちをかけている.アカマツ林を1950年の状態に戻してマツタケを復活させうる最後のチャンスが近づきつつある.
 里山林には、他に優秀な食用きのこ、例えばホンシメジ、クロカワ、ショウゲンジ、アミタケなどが発生する.コシアブラの若芽はタラノメと同様である.山形県のある地域では、ワラビ狩りを楽しみに遠くから沢山の人がやって来て、草原で一杯の味噌汁に興じている.
 これらのことは里山林の活用に一つの方向性を示している.里山林の垂直分布特性を生かした立体的活用と季節的変化を利用することで、林家の若者と第一線を退いてくるであろう団塊の世代の共同作業が十分に可能でありペイすることを意味している.集落近辺の里山林の保全が進み、地元に仕事が生まれることになる.里山林という持続可能な資源の有効利用に大きく舵を切るときが日本に来ている.

作業区と作業内容の紹介
山づくりエリアや作業内容を変更するときは、事前に連絡下さい.
1)香川山皆伐区も予定どおりに再生が進み、アカマツ幼樹の群落が美しい.斜面の
地掻など補整作業を実施している.マツのザイセンチュウ病による枯損木が周辺に目立っている.伐倒焼却の要あり.

2)澤田山は、この秋にでも、まつたけの発生調査をするつもりであるが、アカマツ林でマツタケの生息地を再生するというエリアとコナラ林を整備するエリアとがある.各整備地ごとにネライを定めて各班ごとに独自に作業を進めている.

第1整備地は、村上班(第1整備区)と阿閉班(第2整備区)で精力的にマツタケ山づくりが行われている.第1整備区は京都府のホンシメジ接種試験が相当前に行われ、そのとき整備もされたが、菌根性のきのこの発生には土壌上の問題があるのかもしれない.補整の手入れが必要な状態になってきている.
 その南側は、やはりアカマツ林帯で、阿閉班の担当で第2整備区と呼んでいる.やがて第1整備区につなげるという.エスケープした檜・杉など大径木の処理が進んでいる.

第2整備地は、ヤマガラの里と新しく愛称がついた.以前から整備を始めているところは「ヤマガラの里A地区」と呼び整備が完了している.その西に当たるところを尾根部(アカマツ林を再生)、傾斜地部(コナラ林にする)など3区に分け、それぞれ生態的特徴を生かした整備を進めている.ここは「ヤマガラの里B地区」と呼ばれる.分からないことなどは前田・小原さんにお尋ね下さい.

第3整備地の作業エリアでは、中広さんを中心に作業が進められている.どのような林づくりがなされるのか注目をしているところである.アカマツも減少しているようだが、アカマツ林再生を考えている.シイタケの原木栽培を 「ヤマガラの里」についで 行っている.

3)玉城山は、昔は、山全体がマツタケの発生に適したアカマツ林であったが、林道が造られたためにその下のエリアからマツタケが消えた.岩泉まつたけ研究所の向林試験林内で、全く同じことを経験している.林道を一つ通すだけのように考えがちだが、周りの環境ががらりと変わってしまうのである.
榎本班と三品班で山の上下からマツタケ山づくりをしている.マツタケの生活するアカマツ林の再生作業に取り組んでいる.地表の堆積物を堆肥化するコーナーを作った.マツのザイセンチュウ病害木の伐倒焼却活動が一旦終了.
尾根筋には、アカマツ林密度が比較的高く残っているので、尾根の下部から手入れ
を上部に向けて進めている.
ここは、市民によるマツタケ山づくりのお手本として有名になった.今まで、プロによる手入れで、マツタケ発生の復活は、「有から有は簡単である」と実証されている.
しかし、市民による手入れでマツタケ発生の成果が出たケースはここが日本初の地
である.撒水実験にも取り組むという意欲的作業が見られる.

4)稲の刈り取り作業
1)我らが田んぼの稲(キヌヒカリ)が実ってきました。刈り取りに備えて水抜きをしています。9月中~下旬の晴天日に稲刈りをします。その後乾燥機にかけ、JAで籾摺り作業をします。いずれコメント欄で日程の予告をしますので、時間が空けばご協力をください。

<お知らせ> 
1)9月11日(金、第206回) 「ポスト民芸」活動開催
近藤高弘さんの提唱する「ポスト民芸」活動を始めることになりました.第1回目の集まりをいたします.近藤さんを交えてミーティング後、作品づくりをする予定です.
民芸品を越える作品を「岩倉焼」と名付け、レストランなどで使用できる器を制作し販売することになります.
土代や薪、温度センサーにパソコンなど消耗品は参加者負担となります.決して高くはなりませんが、実費の計算も必要です.

2)近藤高弘展 金と銀 をテーマに開催される
  大阪展   9月9日~15日     高島屋大阪店 6階
  新宿展   9月30日~10月6日   高島屋新宿店10階
  名古屋展 10月14日~20日     JR名古屋高島屋10階 

3)<提案>・・・作業場が広域に渡るため、誰がいつどの作業場で作業しているか分からない。遅れて参加される方にも分かるように、BCに「その日の行動」を書いておく黒板(白板)をおいておき、参加された折に各自で記入しておくとよいのでは・・・との提案がありました。いろんな意味で良いのではないでしょうか。白版の確保はできたそうです.

<メール便り>
1)飯沼多聞さんから
本日9月5日まつたけ発生いたしました。最低気温の推移は 8月23日 17℃24日15℃ 25日14℃と低温が続き スイッチが入ったと思っていましたが8月上旬には雨がありましたが、その後3週間降らなかった為か9月1日まで発生が見られませんでした。9月4日に久しぶりの夕立がありました。県レベルでは今年は豊作という予報が出ています。今後雨さえあれば爆発するのでしょうか?これからの天気予報は高温で10日ほど雨が見込めません。
 私たち財産区のまつたけ山管理地は5箇所となり大変広大な財産となりました。
これもひとえに岩泉で研修を受け、京都の『まつたけ十字軍運動』を視察させて頂いて以来、我々にも出来るかもしれないと取り組み始め努力してきた結果であります。
この山は住宅地から20分以内で入れる好適地にあります。管理も有刺鉄線とトラロープを有効活用し管理強化をしています。

<カンパ! お願い>
1)雅子さんから頂戴しました.いつもありがとう!
氏名: まつたけ十字軍 代表 吉村文彦 
銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

<まつたけ十字軍運動に参加するには>
下記の1から7を了承の上、参加下さい.また、 “まつたけ十字軍運動とは?”も併せてご理解下さい.尚、初めての方は事前に連絡が必要(連絡先は下記主催者).
1)参加資格は問わない. 参加時間は自由、ただし、コアタイム(昼食時)の参加は必須.
2)事故を起こさないように各自勤めること.傷害保険等は各自加入のこととし、事故の責任は当事者に帰するものとする.

3)服装等:山で軽作業できる服装(運動靴か長靴か地下足袋、雨具、タオルなど).ノコ・ナタを持参が望ましい.
4)降水確率(京都府南部、午前7時)が60%以上の日は、原則的に山づくり作業は中止.しかし、山や畑にも、「雨の日には雨の、雪の日には雪の景色がある」といって、皆さんは補修や軽作業などされます.
5)持参するもの:昼食は作るので、MY皿と椀と箸、コップなど、料理の持ち帰り容器、飲料水(お茶があるので水筒)など.
6)道具類や備品は、個人購入のものや皆さんのカンパで購入したものです.大切に扱うよう願います.汚れは洗った後、保管場所に戻すこと.また、使用した食器やコップ類は洗って戻すこと.出したゴミ等は各自持ち帰ること.

7)参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.食材費(実費)+消耗品費として現在 400円を徴収.

<活動拠点へのアクセスなど>
8)集合場所:京都バス「岩倉 村松」行き終点「村松」.あるいは現地アカマツ林(京都市左京区岩倉村松町138-20バス停「村松」から北東へ450m徒歩6分).
叡山電鉄「岩倉」駅から現地アカマツ林へ2.3Km(徒歩30分)
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側(40分)
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル 1番、約10分)
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車) 

9)<皆さんの活動の様子を見ることができる>
ブログ画面左下ブックマーク(Bookmark)中のNikonまつたけ復活・里山再生運動を左クリックすると、ニコンオンライン写真集の画面に飛ぶ.ログインの必要はありません.アルバム一覧からお好きなものをご覧下さい.スライドショー、大きい写真を印刷したり保存したりできます.

開催予定日 2009年9月―12月
活動場所は岩倉香川山. 活動開始は、午前10時頃.終わりは午後4時頃.
第206回09月11日(金)ブログ報告:三輪
第207回09月19日(土)ブログ報告:榎本
第208回09月25日(金)ブログ報告:宮崎
第209回10月03日(土)ブログ報告:三輪
第210回10月09日(金)ブログ報告:榎本
第211回10月17日(土)ブログ報告:池内
第212回10月23日(金)ブログ報告:三輪
第213回10月31日(土)ブログ報告:吉村
第214回11月07日(土)ブログ報告:榎本
第215回11月13日(金)ブログ報告:宮崎
第216回11月21日(土)ブログ報告:三輪
第217回11月27日(金)ブログ報告:榎本
第218回12月05日(土)ブログ報告:池内
第219回12月11日(金)ブログ報告:宮崎
第220回12月19日(土)ブログ報告:三輪 大忘年会 感謝祭
年末年始で休み
第221回01月09日(土)ブログ報告:榎本

まつたけ十字軍運動とは?
今、1年間に40,000種もの生物が絶滅(約13分に1種)していると推測されている.生き物1種の絶滅は、10種から30種の生き物の絶滅を呼ぶという.
日本で、802種の動物が絶滅危惧種とされ、7000種の維管束植物の24.1%(4種に1種)が絶滅危惧種に挙げられている(2007年).
環境省によれば、絶滅危惧種の50%強に当たる生物の生息地は、人里離れた奥山でなく里地里山と呼ばれる私たちの生活の場である.緑が豊かになって生き物が追われている!
私達の周りにありふれた生き物であったフクジュソウやヒメシャガなど、メダカやチョウ類やニホンウサギなど、またオオタカやイヌワシなどが、消え続けている.マツタケも、京都府では絶滅危惧種に指定されている.
生物の保全・多様性上危機に瀕する里山(アカマツ林)をマツタケ山に戻すことが目的である.私たちのマツタケ山づくりは、山-川-畑・水田(-海)のつながりを重視する.マツタケ山づくりで生まれるバイオマスの利用を、「自然」との共生型すなわち徹底した有機物循環型「農林業」に組み込む.また、我々の成果は、情報として正しく発信し、全国に230万haあるアカマツ林に普及させることを願っている.
近代的マツタケ学発祥の地、京都市左京区岩倉を活動拠点として、我々は循環型農林「業」を楽しむ.「楽しむ」ということにおいて、いわゆる農林業的作業と異なる.
時折のイヴェントや開催日のコアタイムに集まることによって、作業の情報などを共有し、互いの知恵や技術を学び、また、里山復活の喜びをともにする.
運動は、食事を作る人、木を伐る人・運ぶ人、薪をつくる人、病害木を焼却する人、畑や水田を守る人、設備を造る人、道具類を整備する人、多機能窯を守る人、拠点を整備する人、道路を補修する人、バイオトイレを守る人などすべての参加者が、互いに対等で支え合い助け合って維持運営されている.
まつたけ十字軍運動全体は、アリストテレス風に言えば、個の参加者の総和以上の意味を持つ.それ故、参加者はこの運動の全体性を見失わないようにしたい.

主 催 
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学者)  
〒607-8421 京都市山科区御陵岡ノ西町38-27.
075-581-8932, 090-6227-4305

共 催 
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典(京都大学こころの未来研究センター)
TEL/FAX 075-753-9682 / 携帯 080-6123-4706

香川理化学研究所
代表 香川 晴男
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