まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊NEWSLETTER 670 新年のご挨拶

2012年01月01日 | まつたけ山復活させ隊とは

京まつたけ復活・里山再生市民運動
  里山再生活動への誘ない!

  100本のマツタケが踊る Fairy Ring   岩手県 沿岸北部2010.10                                      

 

                                                                2012.1.1
        3.11大震災の復旧・再興を祈念して

まつたけ山復活させ隊(まつたけ十字軍運動)の活動について 

参加者の皆さん!   全国の支援者・読者の皆さん! 参加希望の皆さん!

 昨年は、定例開催を50回、番外開催7回、年間参加者は1,618名、全国8ヶ所からの見学があり、2005年来の延べ
参加数13,895人、参加者の事故もなく先ずは大盛会であった.運営も支援者・参加者のカンパ、薪販売の売上など仲間の工夫が一定の成果を見せており、「お陰様で順調である」と報告申し上げます. 

はじめに
 依然として、世界では1年間に、40,000種もの生物が絶滅していると推測される(約13分に1種の割合).生物1種が絶滅すると、その累はおよそ10から20種の生き物に及ぶという. 
 日本では、ほ乳類が23.3%、両生類33.9%、汽水・淡水魚類36.0%、陸・淡水産貝類34.3%など、そして維管束植物7,000種の24.1%などが何らかの形でその生活を脅かされている(2009年、環境省).絶滅危惧種とされている5割の生き物が、私たちの生活の場(里地里山)の居住者である.それほどに里地里山の変わりようは大きい.
 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
 世界に類を見ない独特のまつたけ食文化を作りあげた京都は、近代マツタケ学発祥の地でもある.故濱田 稔先生が、京都市左京区岩倉尼吹山にマツタケを研究するフィールドを設けたことによる.私たちの活動エリアもこの近くである. 
 1960年代の日本の近代化は、燃料源を山の資源から化石資源に、肥料を山の資源から化学合成品に変えた.私たちの生活を豊かに便利に変えもした.資源を使われなくなった山は緑で埋まった.『山の緑が豊かになった』、『樹を伐らないことはいいことだ』と評価された.
 緑が豊かになって、フクジュソウやヒメシャガなど、メダカやアメンボなど、チョウ類やニホンウサギなど身近
な生き物の姿が消え続けている.私たちは、「豊かな緑で生物が住めない」という里山の異変を見過ごしてしまった.トキ、オオタカなどの営巣木である里山のアカマツもかつての姿は無い.マツタケも里山のきのこであり、絶滅危惧種に指定される地域が増えている.
 残念ながら、尼吹山を初め岩倉地区の山は、ヒノキの植林が盛んであったために、植林地外もヒノキ林に占拠されつつある.また、多くの山は活用されず、本来の里山とは異なる生態系となってしまった.ニホンザル、ニホンジカなどの獣害が目に余り、アライグマなど外来種の被害も増えている.心ない林家は、里山の荒廃を認めるが、放置することを良しとしている.
 私たちは、岩倉の山を憂う林家から山を無償で借りている.そこを活動拠点として、マツタケ山づくりに取り組んでいる.アカマツの生活にかなうエリアに若いアカマツ林を再生したいと強く願っている.また、里山の現状を危惧する全国の仲間と交流を進め、この活動の輪を広げたいと願っていて、我々の成果は、情報として世界に発信されている.
 全国で多くの市民が、生活を脅かされている生き物の生息地である里山の再生活動を展開しているが、私たちはマツタケの生活する里山(アカマツ林)を復活させたいと活動する日本いや世界でも例のない団体であろう. 
 私たちのマツタケ山づくり(下記§3参照)は、山-川-畑・水田(-海)のつながりを重視する.マツタケ山づくりの際、大量に出るバイオマスは、「自然」との共生型すなわち徹底した有機物循環型「農林業」に組み込み利用するよう努力する. 
 活動は、木を伐る人・運ぶ人、軽トラを貸してくれる人、薪をつくる人、病害木を焼却する人、畑や水田を守る人、食事を作る人、設備を造る人、道具類を整備する人、拠点環境を整備する人、道路を補修する人、バイオトイレを守る人、多機能窯を守る人、山を提供する人などすべての参加者が、運動の目的を実現するために互いに対等で支え合い助け合うことを大前提としている. 
 活動には、理念と目的はあっても参加者の行為を縛る規約はない.しかし、何をしても良いわけでは決してない.個の能力を最大限に発揮でき、参加者の数だけ面白いことが創造できるようにと願ってのことである.活動は個の参加者の総和以上のものを生むと確信している.                                  

§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
 この活動の理念と目的(§1)を理解し、以下のことを遵守せねばならない.尚、初めての方は事前に連絡が必要(連絡先は下記主催参照;まつたけ十字軍運動吉村まで).

1)参加に資格は問わない.

2)集合場所:京都バス「岩倉 村松」行きの終点「村松」.あるいは香川山(これは自称:京都市左京区岩倉村松町138-20 バス停「村松」から北東へ450m徒歩6分).

3)集合場所へのアクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側、約45分)
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、35分)
エ)京都市営地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番、約15分)
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

4)例会開催は、週1回.活動日はブログと香川山掲示板に呈示.活動の始まりは午前10時頃から、終わりは午後4時頃までとする.参加時間は自由、ただし、コアタイム(昼食時)の参加は必須.

5)参加費は無料;ただし、消耗品購入は皆さんの浄財カンパで行う.或いは必要に応じて徴收.食材費(実費)+消耗品費として現在400円を徴収.

6)降水確率(京都府南部、午前7時)が60%以上の日は、例会は開催するが、山づくり作業は原則中止.香川山設備等の補修など日頃できない作業を実施.

7)服装や装備等:山で軽作業できる服装(運動靴か長靴か地下足袋、雨具、タオル、手袋など)を着用のこと.ノコ・ナタの持参が望ましい(ゲスト用に少し準備されている).

8)声を掛け合い、無理をせず、事故を起こさないように各自勤めること.傷害保険等は各自加入のこと(推奨)とし、事故の責任は当事者に帰すものとする.

 9)持参するもの:昼食は作るので、マイ皿と椀と箸、コップ、料理の持ち帰り容器、飲料水(お茶があるので水筒)など.また、使用した備え付けの食器やコップ類は必ず洗って戻すこと.

10)道具類や備品は、個人購入のものや皆さんのカンパで購入したものである.大切に扱う必要がある.道具類は汚れを洗った後、保管場所に戻すこと.保管庫の整理整頓を心がける.いかなる「資源」の提供も主催者の許可を必要とする.出したゴミ等は各自持ち帰ること.

11)畑の使用(希望)については、阿閉(♂)さんと榎本さんに相談すること.成果物は、全体の所有に帰すが、作物採取の際には栽培者に感謝の意を伝えること.

§3 私達のマツタケ山造り
 マツタケ未発生アカマツ優占林に於いては、作業内容は以下の二通りに分けることができる.これらの意味をよく理解し作業をすることが必要である.マツタケ発生林作業は「ここまで来た!マツタケ栽培」を参照
 しかし、多くの山には、アカマツがない状態である.アカマツ生息に適した場所は、できるだけ早く若いアカマツ林を取り戻す作業を行う必要がある.それには皆伐後地掻を行い、天然下種更新でアカマツ林を復活させる.

①植生の調節
 植物の密度の適正化:平均地温の調節、落葉量の調節,土壌水分含量の適正化.伐る樹種、残す樹種、作業時期にこだわる必要はない.除伐材は必ず集積地へ移動する.
○アカマツ:枯損木,被庄木は地際から切る.枝払い後、玉切りして用途別に集積地に運び出す.枯損木は焼却する.
○広葉樹他(含ヒノキ、スギ):大径木:株元直径5cm以上の木は地際から切る.枝払い・玉切り後、それぞれ用途別に集積地へ移動.      
○中小径木:最近の異常気象による発生期の高温障害を防ぐために、直径1~5cmの木は密度を5-7本/m2に調節
する.日当たり、風通しや落葉量を調節する.中段切りをしなくてもよい.枝払い後、集積地に運び出す.   
○灌木等:膝頭より低い草本や灌木は地際から切ったり,根から抜き集積地へ移動.

②土壌条件の適正化(地掻)
 落葉落枝層と腐植層の厚みの適正化.以下の(a)~(c)の条件を改善.林外に運び出す.地掻の強さは、褐色森林土壌が見え隠れする程度に実施する.
(a)物理的要因:土壌の硬度,土壌構造や保水力の改善,根のB層への移行を促進.
(b)化学的要因:有機物供給源の除去=富栄養状態の改善.
(c)微生物的要因:土壌微生物の質と量の改善=競争微生物や病原微生物の減少.
  
§4 こんな活動をしています!
活動内容や作業区を簡単に紹介すると、
1)香川山
○ヤマガラグループ(ヤマガラの里Cエリア)
 ゲート入り口右側斜面を整備中.このエリアを若いアカマツ林に戻す予定.シイタケの原木栽培実施.
 エリアのススキ刈り取りなど補整作業に取り組んでいる(作業は適宜実施).
○皆伐区は、予定どおりに再生が進み、アカマツ幼樹の群落が美しい.斜面の補整作業を実施している.
マツノザイセンチュウ病による枯損木が周辺に目立っている.伐倒焼却を継続中.

2)澤田山
 マツタケの生息地を再生するというエリアとコナラ林を整備するエリアとがある.各整備地ごとにネライを定めて各班は独自に作業を進めている.

第1整備地は、
○阿閉班
 マツタケ山づくりが行われている.数年前に作業を始めた区は、美しいアカマツ林になってきている.その斜面上部はエスケープした檜など大径木と中小径木、灌木の処理がなされ、地掻を行い、その後にアカマツ実生苗を移植している.エリアの予定作業が終わり、更に、作業場所を斜面左に拡大している.マツノザイセンチュウによる枯損被害との闘いも継続中.

第2整備地は、
○ヤマガラの里班 
 以前から整備を始めているところは「ヤマガラの里A地区」と呼び、整備が完了している.その西に当たるところを尾根部(アカマツ林再生作業中)、傾斜地部(コナラ林にする)など3区に分け、それぞれ生態的特徴を生かした整備を進めている.ここは「ヤマガラの里B地区」と呼ばれる.
 現在、作業エリアでは、アカマツが無いに等しいが、尾根筋は、アカマツ林再生作業が、平地ではコナラを中心とした広葉樹林再生作業が行われている.ここには鹿ネットが張られている.バイオマスは堆肥化し畑に入れている.コナラやアカマツの薪を委託製造する.詳細は前田さんにお尋ね下さい.

第3整備地は
○中広班
 尾根筋が広葉樹林にしたてあげられているが、斜面は長年放置されていて、この立木密度、この林床堆積物では
班の力量では歯が立ちにくい.作業エリアを広めずに尾根筋をアカマツ林に、斜面は広葉樹林にという作業が進行中.
シイタケの原木栽培を実施.小川を利用してワサビのイモを栽培.大雨があると流され苦労が絶えない.

3)玉城山
2班が共同で作業をしている。
○榎本班
○三品班
 市民によるマツタケ山づくりのお手本として有名になった.今まで、プロによる手入れで、マツタケ発生の復活は、「有から有は簡単である」と実証されている.しかし、市民による手入れでマツタケ発生の成果が出たケース(2007)は、ここが日本初の地である.その後の発生がないので、発生ポイント周辺に覆土を試みた.シロが生きていたなら必ず元気になる.
 昔は、山全体がマツタケの発生に適したアカマツ林であったが、林道が造られたためにその下のエリアからマツタケが消えた.岩泉まつたけ研究所の向林試験林内で、全く同じことを経験している.林道を一つ通すだけのように考えがちだが、周りの環境ががらりと変り水の流れも変化する.もちろん放置の影響で遷移が進んでいる. 
 尾根筋には、アカマツ林密度が比較的高く残っているので、榎本班と三品班で上部と下部からマツタケの生活するアカマツ林の再生作業に取り組んでいる.三品班は予定地の作業が終わり、尾根筋下部のマツタケ山づくりに取り組んでいる.松枯れ対策として、マツタケのホストでもあるツガの種子を散布している.
 地表の堆積物を堆肥化し、冬には水田に鋤き込む.マツのザイセンチュウ病害木の伐倒焼却活動が一旦終了したように見えたが、再開している.
 
4)葉わさび栽培班(榎本さん担当)
 岩手県岩泉町では、葉わさび産業が売り上げ1億円を越えている.それはともかくとして、わさび漬けやお浸しがうまい.ここでは温度のことや鹿害対策が課題である.安定栽培の可否をさぐっている. 興味のある方は、世話人の榎本さんにおたずね下さい.

5)陶芸(岩倉焼)班(内田さんと杉山さん担当)
 全国から応援いただいたカンパで耐火煉瓦を購入.香川山BCに、みんなで窯を造った.「行ってこい帰ってこい」と命名された窯で岩倉焼を制作している.目下幾多の課題を抱えつつも自らの技量を磨いている.近藤高弘さんが進めるポスト民芸運動の旗手(!?)達である.

6)ニホンミツバチ保全班(世話人は杉山さんと内田さん)
 課題は、人と各種スズメバチ対策である.これに難渋しているのが実情である.各地に巣箱を設置しているが、心ないミツバチ泥棒対策のため巣箱設置場所は非公開.

7)賄い班
 マツタケ山づくりを終えて戻ってくる参加者の楽しみの一つである.豊かなメニューとリッチな食事を準備する.月に一度 男厨派メニューが登場する.これもまた人気がある.

8)米づり班(世話人は玉城さんと前田さん)

1・前準備 1・下肥の施肥     (地掻きした木の葉やパラパラに腐った木等の下肥
(1月~3月)         を持ち込む。山中で良く醗酵したものが良い)
(4月上旬) 2・荒起こし    (耕運機にての作業となります)約一日  
(4月下旬) 3・二度目の荒起こし  (耕運機にての作業となります)約一日  
2・溝更え  毎年4月の初めの日曜日頃に村人が集まり行われます。一人又は二人必要。
     村の三か所に張出されます。          
     行かないと不参加料三千円が徴収されます。名義は藤村史子さんです
3・苗床作り  4月初旬に玉城兄宅で消毒や専用土造・籾掻きをします。    
(4月上旬)  メンバーは5~6名お願いします。        
4・代搔き  荒起こしの後、つら付け用波板を設置して引水して代搔きをします。
(5月上旬)  (主に耕運機にての作業となります)約一日      
5・田植え  濁りが取れて、稲が植えられる状態になったら、行います。日は苗の状況と
(5月上旬)  天気次第となります。4~5名はほしい処です。    
6・水管理  昨年は主に前田さんにお願いしていました。25~35度を保つ程度の水温
(5月~9月)  を保つ程度です。夜も温度が極端に下がらない様多い目にします。
     水漏様れも有りますので朝夕の見回りが必要になります。  
7・草取り  くわい・稗・イグサ等の水生の草は取って田圃から出します。又、畦の草刈り
(6月~7月)  もチョクチョク必要でしょう。周りの田圃の迷惑にならない様、時期を見て、
     実施します。活動日に1~2名で半日程度で出来ると思います。
8・稗取り  稲の花が咲く前に追い肥をします。化成肥料。と同時に稗取りを2~3名で
(8月)  行います。 (都合の付く人で)(多くの人が入ると細根を切ります)
9・稲刈り  気候にもよりますが、水切りから3週間位で可能になると予想しています。
(9月中)  活動日に合せれば良いのですが・・・・。難しいので前々日位の連絡です。
その後2~3日  米の乾燥・籾すり・を行って玄米となります。夏は冷凍保存します。
     6~7名の参加が欲しいです。        
 以上で一連の行程が終了しますが、天候次第の処が多い為常時観察が必要です。  
 昨年迄の作業で参加して要領を知っている人と覚えたい人の参加を求めます。  

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§5 今年の予定と目標 

1)若い松林をつくろう!京都の景観・伝統行事を守ろう!全作業区で実施.

2)葉わさび安定化、コゴミ、モミジガサ、花ズッキーニーなど栽培検討

3)年報をつくろう!(内田さん担当) 間もなく配付されます!
 写真記録と共にまとめた年報を作っておきたい.
○年間の活動概要(定例日、特別行事、参加会員推移、BC整備や台風対応などの共同作業、来場者記録ほか特記事項).
○各班の現状スケッチ=立地、現況、目標、試験作業中などの特記事項.
○畑、田の成果など、窯などの活動記録.
○その他

4)京都造形芸術大学通信教育部環境学受講生がマツタケ山づくりに参加 9月8日(土)に予定.受講生が地元に戻り里山づくりの重要性を啓蒙したり実践すること、また、彼らの作品にこの体験が反映されることなどが期待される.

5)各地との交流推進
 今年は、岩手県洋野町大野在住でまつたけ山復活させ隊メンバーの小沢一男さんなどとマツタケ発生調査を実施する予定.1週間宿泊(予).
北海道旭川、岩手県洋野町大野高校、岩手県岩泉町岩泉商工会、石川県珠洲市金沢大学能登学舎、滋賀県彦根市滋賀県立大学荒神山、滋賀県近江八幡市沖島、和歌山県高野町岩田山、香川県小豆島マツタケ研究会.

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主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 matsutake10@gmail.com

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